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減価償却費の計算 定額法


参考 新・法人税通達が公表 耐用年数 設備の判定明確化
減価償却資産の耐用年数の適用に関する取扱通達会計の詳細 1 (pdf) 2009.0.13
減価償却資産の耐用年数の適用に関する取扱通達会計の詳細 2 (pdf) 2009.0.13
耐用年数の適用等に関する取扱通達の付表 (pdf) 2009.0.13

 * 定額法による減価償却費の計算方法(平成19年度改正分)



定額法(新)に減価償却費の計算(平成19年4月1日以降取得分)
算式 取得価額×定額法(新)の耐用年数に応じた償却率=定額法償却限度額


旧定額法に減価償却費の計算(平成19年3月31日以前取得分)
算式 (取得価額ー残存価額(取得価額×10%)×旧定額法の耐用年数に応じた償却率=定額法償却限度額

※注意
 個人の事業所得・不動産所得などの減価償却費は平成19年分までは、帳簿価額が5%になるまで減価償却できます。

 帳簿価格の未償却残高が5%になったら、平成20年分から、未償却残高が1円になるまで平成20年から平成25年分の5年間にわたって均等に減価償却費を計上します。

 たとえば、取得価格1,000,000円とすると、5%が50,000円の未償却残高になったとします。
   償却限度額={取得価額ー(取得価額×95%)+1円}÷60×12月
    10,000 ={1,000,000ー950,000+1}÷60×12で10,000となり、実務的には、平成20年分〜平成24年分は、10,000円で、平成25年分に9,999円となります。

  法人の場合も、同様の計算ですが、法人は、平成19年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

  なんと、ケチくさいというか、複雑というか、5%になったら、翌年全額償却できるようにすればよいものを。
  しかも、旧定額法と定額法(新)で2つの償却率が並存することになる。なんと、面倒なことか。平成19年3月31日以前取得分も新定額法の償却率にすればいいものを。


定額法による減価償却費の計算方法と会計処理の方法



定率法と同じ内容の例題により、仕訳処理とあわせて解説しています。
法人の建物の減価償却と所得税法の法定償却である個人事業中心になろうかと思います。
仕訳処理については、一例ですので、ほかの仕訳方法でも結果が同じになればよいと思います。
ポイントは車両運搬具の下取金額 1,000,000円を消費税の区分処理において課税売上に経理処理することと、損益をまちがえないことです。


 * 定額法による減価償却費の計算方法



算式 (取得価額ー残存価額(取得価額×10%)×定額法の耐用年数に応じた償却率=定額法償却限度額
※参考 減価償却費は帳簿価額が5%になるまで減価償却できます。


 * 説例
事業年度(平成16年1月1日〜平成16年12月31日)の平成16年3月10日に車両運搬具である新車乗用車を 2,000,000円で取得し、事業の用に供して、平成18年6月20日に2,500,000円の新車購入の際、下取り価格1.000,000円にてだした場合です。下取りにだした場合も固定資産を譲渡したことになります。なお、旧定額法の償却方法により計算されています。



 * 1. 取得した年度の定額法による減価償却費の計算(取得年度)

 (2,000,000円-2,000,000円×10%)×0.166×10ケ月/12ケ月=249,000円→定額法償却限度額 (定率法では531,666円となります)

・法人の場合ですと任意償却といって償却限度額以内の償却費を仕訳処理します。
・個人の場合でしたら、 強制償却ですので、249,000円を減価償却費として必ず経理処理しなければなりません。
・10ケ月は16年12月31日まで事業の用に供した月数 9ケ月と21日ですので、1月未満は切り上げて10ケ月となります。
・償却率0.166は車両運搬具の乗用車の法定耐用年数 6年に応じた定額法の償却率です。

仕訳方法
直接法により仕訳処理をする場合
(借方)減価償却費
(不課税取引)
249,000 (貸方)車両運搬具
(不課税取引)
249,000


間接法により仕訳処理をする場合
(借方)減価償却費
(不課税取引)
249,000 (貸方)減価償却累計額
(不課税取引)
249,000


注 1 直接法とは車両運搬具の減価償却費の金額を帳簿価額から直接減額する会計方法です。

    決算書上の表示
        固定資産
           車両運搬具  1,751,000    ← 2,000,000-249,000=1,751,000
    
注 2 間接法とは車両運搬具の減価償却後の帳簿価額を間接的に表示する会計方法で、購入の取得価額から減価償却した金額の累計額を控除する形で表示する会計方法です。

    決算書上の表示
        固定資産
           車両運搬具      2,000,000
            減価償却累計額   △249,000

注 3 直接法・間接法のどちらの仕訳処理でもかまいませんが、実務上は直接法の仕訳方法のほうが簡単だと思います。



 * 2. 取得した年度の翌年度の定額法による減価償却費の計算(平成17年1月1日〜平成17年12月31日)

  (2,000,000円-2,000,000円×10%)×0.166×12ケ月/12ケ月=298,800円→定額法償却限度額 (定率法では468,398円)

仕訳方法
直説法による仕訳処理の場合
(借方)減価償却費
(不課税取引)
298,800 (貸方)車両運搬具
(不課税取引)
298,800


間接法による仕訳処理の場合
(借方)減価償却費
(不課税取引)
298,800 (貸方)減価償却累計額
(不課税取引)
298,800


・12ケ月は事業年度の1年間を通じて事業の用に供した場合です。
・減価償却限度額については、1と同用の意味です。



 * 3. 3年目(平成18年1月1日〜平成18年12月31日)の定額法による減価償却費の計算

  18年6月20日に、新しく2,500,000円の乗用車を購入して、下取価格1,000,000円にて出している。
  なお、差額1,500,000円を現金にて支払っている。

  (2,000,000円-2,000,000円×10%)×0.166×6ケ月/12ケ月=149,400円→定額法償却限度額  (定率法では159,489円)

.6月は平成18年1月1日〜平成18年6月20日で5ケ月と20日につき、1月未満切り上げにて6ケ月となります。

仕訳方法

直接法による仕訳処理の場合(2,500,000円の購入した車の分の償却関係は省略)
(借方) (貸方)  
減価償却費
(不課税取引)
149,400 車両運搬具
(不課税取引)
149,400 (減価償却分)
     車両運搬具
(課税売上)
1,000,000 下取金額
固定資産売却損
(不課税取引)
302,800 車両運搬具
(不課税取引)
   302,800  
車両運搬具
(課税仕入)
2,500,000 現金
(不課税取引)
1,500,000 購入


間接法による仕訳処理の場合(2,500,000円の購入した車の分の償却関係は省略)
(借方) (貸方)  
減価償却費
(不課税取引)
149,400 車両運搬具
(課税売上)
1,000,000 課税売上部分
減価償却累計額
(不課税取引)
547,800 車両運搬具
(不課税取引)
1,000,000  
固定資産売却損
(不課税取引)
302,800      
車両運搬具
(課税仕入)
2,500,000 現金
(不課税取引)
1,500,000 購入


注意 1 固定資産売却損の計算  △302,800=1,000,000-(2,000,000-249,000-298,800-149,400)

 下取価格が1,000,000円、2,000,000円は最初の購入価格、249,000円は購入年度の償却費、 298,800円は購入の次年度の償却費、149,400円は下取年度の償却費です。

 つまり、下取価格の 1,000,000円から、当初購入価格の 2,000,000円から償却した累計額 (249,000円と298,800円と149,400円との合計額 697,200円)を差し引いた金額 1,302,800円との差額が △302,800円です。

 帳簿価額 1.302,800円のものを1,000,000円で下取り(売却)して、損失 302,800円ということです。
初めての方には、う〜んと唸ってるかもしれませんね。大丈夫、私も、う〜んとうなったクチですから。
定率法で売却益 159,553円で、定額法だと売却損 302,800円なのですから、あってるんかいと疑いたくなる。
あってました。

定率法の場合  売却益159,553-減価償却累計額(531,666+468,398+159,489)=△1,000,000円
定額法の場合  売却損 △302,800-減価償却累計額(249,000+298,800+149,400)=△1,000,000円


注意 2 個人の所得税法上から
 うなったついでにもう一つ、個人の場合は、強制償却ですから、減価償却限度額を減価償却費として必ず計上しなければなりませんから、上記の仕訳処理をしなければなりません。

 ところで、所得税法では、車両運搬具は、総合譲渡といって、事業所得とは別に計算しなければなりません。
この固定資産売却損 302,800円は事業所得ではなく、固定資産の総合課税の短期譲渡所得になります。
何それ・・・わからない・・・ このへんでやめておいたほうが、よさそうかなァ・・・

 ゆえに、所得税の確定申告書の総合譲渡の欄に記載するところがありまして、譲渡損 302,800と別に記載することになります。

 だから、会計プログラムにて上記仕訳をするときには、私は、固定資産売却損 302,800 の際に、固定資産売却損の勘定科目を使わずに事業主貸勘定を使います。事業所得からはずしておくのです。

 そして、所得税の確定申告書に総合譲渡の譲渡損 302,800円を記載します。


注意 3 法人の場合で
 減価償却費の計上は任意償却ですので減価償却限度額以内の計上であればよく、これも、実務上ですが、こういった下取りの場合に減価償却費を計上しないで、処理つまり減価償却費を 0 にて仕訳をしてしまうことのほうが多いのです。

その際の直接法による仕訳処理を記載しますと、
(借方) 車両運搬具(購入)
(課税仕入)
2,500,000 (貸方)現金
(不課税取引)
1,500,000
    車両運搬具
(課税売上)
1,000,000
固定資産売却損
(不課税取引)
452,200 車両運搬具
(不課税取引)
452,200


間接法による仕訳処理
(借方) 車両運搬具(購入)
(課税仕入)
2,500,000 (貸方)現金
(不課税取引)
1,500,000
減価償却累計額
(不課税取引)
547,800 車両運搬具
(課税売上)
1,000,000
固定資産売却損
(不課税取引)
452,200 車両運搬具
(不課税取引)
1,000,000
       


1,452,200円=2,000,000円-249,000円-298,800円
2,000,000円は 16年3月10日の取得価格、 249,000は購入年度の減価償却費、 298,800円は
購入した次の年度の減価償却費です。つまり3年目の下取り(売却した年度の償却費を計上しないで
計算した帳簿価額によって、売却益を計上しています。
損益も消費税額の計算においてもまったく違いはでません。

@減価償却費を計上した場合
   △302,800円( 固定資産売却損) - 149,400円 (3年目減価償却費)=△452,200円
A減価償却費を計上しなかった場合
   固定資産売却損  △452,200円

なお、消費税の計算については、下取価格である 1,000,000円が課税譲渡価額となります。
ええ・・・ じゃ、どうしたらいいの・・・ って返ってきそうです。


直接法の仕訳処理による場合(3年目減価償却費計上のとき)
(借方)減価償却費
(不課税取引)
149,400 (貸方)車両運搬具
(不課税取引)
149,400 (減価償却分)
固定資産売却損
(不課税取引)
302,800 車両運搬具
(不課税取引)
302,800  
    車両運搬具
(課税売上)
1,000,000 (下取金額)
車両運搬具
(課税仕入)
2,500,000 現金
(不課税取引)
1,500,000 (購入)

赤字の部分の金額 1,000,000 円が課税売上げとなります。
ちなみに、減価償却費 149,400 円は課税対象外(不課税取引)、車両運搬具 2,500,000 円は課税仕入、車両運搬具 149,400 円は課税対象外(不課税取引)、現金 1500,000 円は課税対象外 とします。

簡易課税ですと 車両運搬具 1,000,000 円が課税売上で事業者が自己に「おいて使用していた固定資産のの譲渡になりますので第4種事業に該当します。


間接法の仕訳処理による場合(3年目減価償却費計上のとき)には
(借方)減価償却費
(不課税取引)
149,400 (貸方)車両運搬具
(不課税取引)
1,000,000  
 減価償却累計額
(不課税取引)
547,800 車両運搬具
(課税売上)
1,000,000 下取価額(売却価額))
 固定資産売却損
(不課税取引)
302,800      
車両運搬具
(課税仕入)
2,500,000 現金
(不課税取引)
1,500,000 (購入)


3年目の減価償却費を計上しなかった場合の仕訳処理(法人のみ)直接法・間接法とも減価償却費 149,400円 を計上しないで、 固定資産売却損 302,800円に 149,400円を足した金額 452,200円 としてください。

  まとめ
直接法は、取得価額から償却累計額を差し引いた後正味の帳簿価額であらわし、間接法は取得価額と償却累計額を両建てしたものとご理解ください。取得価額から償却累計額を引けば、同じ帳簿価額ですから。


余談
わかりやすく説明をこころがけたつもりですが、難解になってしまった部分がありますが、お許しを願います。
それにしても、法人税法において、公正妥当な会計処理に基づく決算による利益云々とありますが、税法自体が公正妥当な会計基準をくるわしており、会計学からみれば、真実性の原則、継続性の原則など、ほとんど守られない取扱いが多く、税務会計なる特殊な分野なっており、通常の簿記から見ると、理解できないことが多く、消費税がからんでくると、消費税の税区分が仕訳の一部になってきて、ますます複雑怪奇となってきます。

もっと、簡単に税法をしようと思えばできるのに、どんどん複雑になってきています。
一般の方でも専門家でももっと簡単に理解して計算できるようになってほしいものです。

最初は課税区分を表示していなかったのですが、あとで付け加えました。
上記のような場合は分解しないと消費税の課税区分が記載できなくなる場合が生ずるからです。
なお、上記の仕訳以外でも仕訳処理がいくつかできます。
また、他の項目の仕訳部分も随時、課税区分を記載していきたいと思います。



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