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不動産業の経理・仕訳の仕方その1 その2 その3 仕訳例(新築物件) 仕訳例(中古物件) 仕訳例(転売物件) 不動産業、とりわけ、土地(更地)を購入して、新築建物を工務店・建設会社にて建築して売却する場合(いわゆる建売住宅)。 中古建物付土地(いわゆる中古戸建)をリホームして売却する場合。 中古マンションを購入して販売する不動産業の経理・仕訳のしかたについて記載してみたいと思います。 土地や借地権は非課税で、建物部分は課税ですので、消費税の処理の方法が、一般の仲介専門の不動産業とは異なり複雑になります。 また、賃貸の仲介を行なっている場合など、業種は同じでも実態はかなり異なります。 自社物件にて賃貸収入を得ている場合など、実際、課税売上と非課税売上が混在していて、経理の仕訳や判断が複雑になる場合が多い業種です。 見解のわかれる部分も多く、下記はケースバイケースにより私見によっています。 経理・仕訳のしかた 1.仕入れた時に、販売不動産(棚卸資産)の勘定科目を使用します。 仕入勘定を用いません。 いわゆる、単価が高い商品ですので、個別法にて経理処理を行います。 また、例では、消費税の処理を個別対応方式として説明してあります。 例1 更地(ないし取り壊す古家がある場合)を2500万円購入して、新築の戸建を(1200万円)建てて、新築建売物件として販売する場合。 @契約時の手付金の経理処理 (借方)前払金(補助科目・不課税) 1,000,000 (貸方) 現預金 1,000,000 取得して所有権の登記移転するまでは、前払金勘定を使用します。 補助科目は、支払先名・物件名となります。 預金はやはり補助科目を設定します。 仕入に伴う仲介手数料850,500円につき、半金を契約時にしはらった場合 (借方)前払金(補助科目・不課税) 425,250 (貸方) 425,250 この前払金の補助科目は、仲介不動産屋さんのお名前・物件名とします。 なお、前払金、現預金とも消費税の対象外・不課税の処理をします。 不動産業の場合は、決算時に、税務添付資料として「不動産売買の内訳明細書」を記載しますので、物件ごとに個別に仕入先名、物件所在地、仕入・売上の仲介手数料など数が多い場合には、物件台帳の整備が必要になります。 中間金がある場合には、上記と同様に前払金勘定を使って同じ処理をします。 A残金支払・所有権移転登記時の経理処理 (借方)販売用不動産(補助科目・非課税仕入) 25,000,000 (貸方)前払金(補助科目) 1,000,000 現預金 24,000,000 土地は非課税ですので、非課税処理をします。 販売用不動産の補助は、所在地・土地 所在地・建物のように、土地と建物を別にすることをおすすめします。 B残りの半金の仲介手数料の支払の経理処理 (借方)販売用不動産(共通課税仕入) 850,500 (貸方)前払金(補助科目) 425,250 現預金 425,250 土地の利用目的が新築建物を建築して販売する場合ですので、共通課税仕入ないし その物件の売却価額にて課税分と非課税部分に按分することになります。 注意1 個別対応方式ではなく、一括比例配分方式ですと課税仕入となり、売上全体にかかる課税分、非課税分に応じて按分されます。 一括比例配分方式を採用した場合は2年間は変更できません。課税売上割合が低いときなどは、一括比例配分方式が有利になる場合が多いです。 決算時に、両方計算して、有利な方を選択することもできますが、2年の継続適用ですので注意が必要です。 C所有権移転時の付随費用 イ. 司法書士に支払う抵当権設定・所有権移転の報酬 (借方)支払報酬または支払手数料(共通仕入) 85,000 租税公課 100,000 (貸方)預り金(源泉所得税の補助科目) 7,500 現預金(補助科目) 177,500 司法書士への報酬は、10,000円を超えると10,000円を超える部分の報酬額の10%の所得税を源泉徴収します。 請求書・領収書に源泉税が記載されていますので、それに従います。 「共通仕入」とは、非課税売上(土地)と課税売上(建物)との両方に対応するものです。 販売管理費が該当して、非課税売上と課税売上との合計額にて、按分します。 ※これらの取得付随費用は、販売用不動産(棚卸資産)とすることもできますし、費用として処理することもできます関係から、有利になる管理費の共通仕入にしてあります。 なお、源泉徴収した所得税は、給与所得の源泉徴収税額と一緒に納付します。 ロ. 収入印紙代 (借方)租税公課(不課税) 10,000 (貸方)現金 10,000 ハ. 固定資産税精算金 1月1日に所有する人に固定資産税が賦課されるため、暦年途中の売買においては、月割りなどで固定資産税を按分して清算することがよく行なわれます。 この固定資産税精算分は固定資産税なので、消費税の対象外(不課税)・租税公課扱いとされると思われる方が多いですが、(個人的にはそれでもいいんではと思いますが)、直接的仕入費用に該当して、棚卸資産扱いとなり課税仕入扱いの見解となっています。 (借方)販売用不動産(非課税売上に対応する課税仕入れ) 25,650 (現金) 25,650 個別対応ですと、上記の場合は、非課税売上に対応する課税仕入れとなりますが、中古物件ですと固定資産税評価額等による按分となり、課税仕入部分と非課税仕入部分に按分することになります。 非常に複雑面倒ですので、租税公課勘定でもよいと思います。 注意 古家を取り壊す予定の場合においては、古家の価格はないものとして取扱います。 取り壊し費用ついては、土地の上に建物を建設しますので課税と非課税に区分するか、共通課税仕入にすることになります。 土地そのままの転売のための取り壊し費用は、非課税となります。 かなり複雑で、見解のわかれるところです。 なお、個別対応方式における土地造成費、仲介手数料は、土地の利用目的に応じて 取扱いが異なります。 参考例 @その土地に自社ビルの建設をする場合において イ. 課税売上のみの業務を行なっている場合 課税 ロ. 非課税売上のみの業務を行なっている場合 非課税 ハ. 課税・非課税の両方の業務を行なっている場合 課税・非課税(共通用) Aその土地に貸ビルの建設をする場合 課税 Bその土地に分譲マンション(土地付)の建設をする場合 課税・非課税(共通用) C転売するための土地 非課税 ですが、土地の利用目的に応じて取扱いがことなります。 古家を取り壊して新築建物を建設する場合の解体費用 (借方)販売用不動産(共通課税仕入)となります。 次のページは、工務店等への建築代金からとなります。 ※【弥生会計ソフト】 ・業務ソフトに関する無料相談実施中! ・まずはお試し!「弥生会計」無料体験版ダウンロードはこちら ・弥生会計ソフトシリーズの購入はこちらからどうぞ! |