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タックスニュース
2015.09.07


【時事解説】含み損を実現損に



 経営を考える上でキャッシュフローは重要です。

キャッシュフローを増加させるには、キャッシュインを増やすかキャッシュアウトを減らすしかありません。

キャッシュインを増やすには、銀行や取引先などの外部の取引先との交渉が大きなウェートを占め、そう簡単にはできません。

一方、キャッシュアウトの減少は自社内だけでできるものが多く、決断次第で即効性が期待できます。その一つの方策に税金の圧縮があります。

 資産に含み損がある場合を考えてみます。

損は含みのままでは何の価値も持ちません。

しかし、含み損を実現損に変えることで節税手段として有力な武器になります。

本業で利益が出ているなら、含み損を抱える資産を売却して、含み損を顕在化させることにより課税所得を圧縮し、税額のキャッシュアウトを抑えるのです。

本業で収益を上げ税金を払いながら、含み損を抱える遊休資産を保有し続けることほど、キャッシュフローから見て無駄なことはありません。

 「資産を売るのは、価格が高くなるまで待とう」と考える経営者もいるかもしれません。

しかし、時代は変わっています。高度成長時のように資産価格が目に見えて上がる時代ではありません。

将来の不確定な値上がりに期待をかけるより、現在の安値を有効に利用して税金を抑える方が合理的です。

 含み損を有する資産を売却すると、以下のような効果が生じます。

 プラス効果(1)…総資産・総負債の圧縮

 資産の売却代金で借入金を返済すれば、資産・負債を圧縮できます。借入金返済に使えるキャッシュは資産の直接の売却代金だけではありません。

含み損の実現化で削減できた税金額も、その分キャッシュが残るのですから、借入金返済に回すことができます。

資産を圧縮できれば、ROA(総資産利益率)は向上し、将来の減損リスクを減らすこともできます。

 プラス効果(2)…将来利益の増加

 借入金が減れば支払利息が削減できますし、売却した資産が減価償却資産であれば減価償却費が減少します。

それは、将来の損益計算にプラスの効果をもたらします。

 マイナス効果…当期損益の低下、自己資本比率の低下

 一方、含み損を実現化すれば、当期の損益計算書上の損益は悪化し(場合によっては赤字になるかもしれません)、貸借対照表上でも自己資本比率は低下します。

 しかし、損益の悪化も自己資本比率の低下も実態上は既に存在していた事実です。

含み損の実現化はそれを表面化させたに過ぎません。

そうしたマイナス事象は隠しておくより表面化させた方が的確な経営戦略が取れるはずです。

重視すべきは表面上の決算書の悪化を糊塗することではなく、当面のキャッシュフローの改善です。

 経営者にはキャッシュフローの観点から保有資産を不断に見直していく姿勢が求められるのです。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)


記事提供:ゆりかご倶楽部




9月7日朝時点での新着情報は、以下の通りです。

国税庁ホームページ掲載日:平成27年9月4日

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