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タックスニュース
2015.08.03


2015年8月の税務トピックス



T 「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」の取扱い

 「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与に係る非課税措置」(以下「子育て対策措置」といいます。)は、平成27年度税制改正として同年4月1日から施行されています(措法70の2の3)。

 当該子育て対策措置は、本誌2月号で少子高齢化社会の解消に役立つ適切な改正大綱であるとして次の概要だけを述べました。

 「当該大綱の「子育て対策措置」は20歳以上50歳未満の受贈者の結婚(300万円を限度)・子育て資金に充てるためその直系尊属が贈与者となり、受贈者1人につき1,000万円まで一括贈与でき、この贈与に係る贈与税を非課税にする措置です。

ただし受贈者が50歳に達したときに当該資金に残額があれば、そのときに贈与があったものとして贈与税を課税する仕組みです。」

 この改正につき、税制改正が行われ、かつ、当該改正に係るQ&A(国税庁、平成27年4月1日)が発遣されましたので、実務の主な留意点について述べることにします。

 1.当該措置の始まりは、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの時限立法で、その間に20歳以上50歳未満の個人(以下「受贈者」といいます。)が、その直系尊属(以下「贈与者」といいます。)からの書面による一括贈与の1,000万円を限度とした金銭又は信託受益権(以下「金銭等」といいます。)を受贈者が銀行等と子育て対策措置に係る契約を行い、当該銀行等に預入して口座を作成したときに子育て対策措置は始まります。

 2.子育て対策措置に係る費用としては、結婚、妊娠、出産、育児関係という項目を示し、その項目の中で一定の使途の費用がこの特例の対象となるとしています。

 そこで項目別の支出適格費用の内容についてはQ&Aの記載を参考としてもらうこととして、ここでは、特に各項目別の留意点のみについて述べることにします。

1)結婚費用の留意点

 結婚費用の特例支出額は、300万円とされています。

この費用の留意点としては、結婚式費用のみではなく受贈者又はその配偶者の居住の用に供する家屋の受贈者による賃貸借契約及び転居に要した費用が特例の対象となります。

しかし、この費用は賃貸借契約の日が入籍日(戸籍謄本にて証明)の前後各1年間の期間内であって当該賃貸借契約日から3年を経過する日までの間に支払われたものが対象となります。

(2)出産費用の留意点

 この費用の留意点としては、出産費用のみならず出産を目指した不妊治療に係る費用(公的助成に関係なく、実際に病院に支払った金額)が特例の対象となります。

ただし、海外で受けた不妊治療費は、医療法に基づくものでないため特例の対象とはなりません。

(3)育児費用の留意点

 この費用の留意点としては、受贈者の子であり、小学校就学前の子に係る一定の費用のみが特例の対象となります。

この費用も公的助成とは関係なく、実際の支払額により算定されます。

(4)その他の留意点

 子育て対策契約期間中に贈与者が死亡した場合に領収書で払出していた口座の残高は、受贈者が贈与者からの相続又は遺贈により取得されたものとみなされて相続税の対象となります。

又受贈者が孫である場合もいわゆる「20%加算」の適用は受けません。


法学博士・税理士右山昌一郎
記事提供:ゆりかご倶楽部







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