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タックスニュース
2015.07.27


【時事解説】臓器を製造、バイオ3Dプリンティングの可能性



 最近、3Dプリンター技術を医療分野に応用した「バイオ3Dプリンティング」技術がめまぐるしく進化しています。

3Dプリンターとは、文字通り三次元のプリンティング機器です。

私たちが普段利用しているプリンターは紙などの二次元のものに文字や図を印刷します。

3Dプリンターは三次元の造形物をつくるところに特徴があります。

インクの代わりに樹脂などを用いることで、スマートフォンのカバーや靴といった日用品からフィギュアなどの趣味のもの、さらには大型の3Dプリンターを用いることで、自動車や家までもこしらえることが可能になっています。

 経済産業省の「新ものづくり研究会」のレポートによれば、3Dプリンター関連の市場は、2020年、製造された製品や関連のサービスまでを含めると、全世界で21兆円にもなるといわれています。

なかでも、医療分野のバイオ3Dプリンティングには、大きな期待が寄せられています。

 では、具体的にバイオ3Dプリンティングで何ができるのでしょうか。

すでに、人工骨や、歯、義手、義足はつくられています。

義手は利用者の手の形のデータをもとに製造するので、従来よりも、個々の患者の体に合ったものをつくることができます。

 また、人工皮膚や角膜、軟骨、血管などを作った例は報告されています。

アメリカの化粧品会社、ロレアルでは、人工皮膚をバイオ3Dプリンターでつくっています。

これにより、製品開発での動物実験をなくすことに成功したといいます。

 そして、現在は、さらに進化して、心臓や腎臓、肺といった重要臓器の製造にまで取り組むようになり、注目を集めています。

 バイオ3Dプリンティングは従来の3Dプリンティングとどこに違いがあるのでしょうか。

靴を3Dプリンターでこしらえるならば、インクの代わりに樹脂を用います。

ところが、バイオ3Dプリンティングはインクでもなく、樹脂でもなく、「細胞」を使うところに大きな特徴があります。

 患者が提供した細胞を用いて、患者の体のデータを入れることで、バイオ3Dプリンターで心臓や肝臓、血管などの臓器をつくります。

これにより、薬では治らない患者に対して、臓器移植で治療できるようになります。

 すでに、いくつかの企業で、開発に取り組んでいるところが出てきました。

NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)はiPS細胞から心臓などの臓器を製造する技術の開発に取り組んでいます。

まだ、端緒についたばかりで、実用化は先とのことですが、将来は臓器不全の患者が、ドナー探しに苦労することなく、バイオ3Dプリンターで製造された臓器を移植することが珍しくない時代が来る可能性もあります。

 ただし、一般に利用できるようになるには、乗り越えなければならない壁はたくさんあります。

一例を挙げると、プリンティングのときに熱が出るのですが、これにより細胞が死滅してしまうといった問題があります。

ほかにも、コストや安全性など、解決しなければならない課題は山積みになっています。

 とはいえ、バイオ3Dプリンティング技術の発展は、画期的な治療ができる可能性を生みだしました。

その分、期待も大きく膨らんでいます。
関連市場におけるビジネスチャンスは今後、増えると予想されます。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)


記事提供:ゆりかご倶楽部







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