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タックスニュース
2015.07.13b


国外転出時課税猶予に不可欠な納税管理人



 出国する段階で未実現のキャピタルゲインに課税する「国外転出時課税制度」が7月1日にスタートしました。

知らないうちに課税対象者になって対応が遅れてしまうことのないよう、「納税管理人」の選任など、制度の概要を改めて確認しておきたいところです。

 1億円以上の有価証券などを持っている人が国外に転出すると、出国段階で金融資産が譲渡・決済されたとみなされ、含み益に所得税が課税されます。

国税庁はこの国外転出時課税制度の専用ページをウェブサイト上に設けていて、制度開始1カ月前にはパンフレットや申告書関係・計算明細書関係の様式、記載例を追加しました。

 対象者は、株式や投資信託などの有価証券、匿名組合契約の出資持分、未決済の信用取引・発行日取引・デリバティブ取引といった資産を合計で1億円以上所有し、国外転出をする日より前の10年間で国内に5年を超えて住所を持っている人。

潜在的な課税対象者の数は明確ではありませんが、一定の資産を持っている人は資産状況や制度概要を確認しなければならないでしょう。

 対象資産が生み出す利益がまだ現金として手元にない含み益の時点で課税されることから、納税資金が不足することもあります。

そこで5年の納税猶予制度が設けられているのです。注意をしなければならないのは、猶予を受けるためには国外転出時までに「納税管理人」の届け出をしなければならない点。

国税庁の最新パンフレットでも「手続が必須となりますので、ご注意ください」と納税者に呼び掛けています。

 納税管理人は、所得税法上の非居住者(日本に住所を持たない人)が確定申告書を提出する必要があるときに選任するもので、非居住者に代わって税務署からの通知の受け取りや確定申告をする役割を担います。

親族が納税管理人になることが多いですが、税金の専門家である税理士(個人)や税理士法人を選任することも可能とされています。


<情報提供:エヌピー通信社>


記事提供:ゆりかご倶楽部







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