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タックスニュース 2014.07.28 【時事解説】ロボット産業は日本の成長をけん引するか日本のロボット産業が変わろうとしています。 6月7日、政府は新たな成長戦略の原案を明らかにしました。 その中には次世代ロボットの開発、普及策が明記されています。 政府が示す通りに、日本はロボットを成長の原動力とすることができるのでしょうか。 政府が打ち出す「ロボット戦略」とは、低価格で使いやすいロボットを世界に先駆けて普及させるというものです。 補助金を出すなどの支援により、競争が激化するロボット産業で、日本の競争優位を築こうとしています。 安倍総理大臣は「ロボット事業は成長戦略の大きな柱である」と語り、新成長戦略の閣議決定の前週にロボットメーカーを訪問するなど、意欲を示しています。 日本は労働人口の減少が続き、また介護や農業などの分野では、人手不足が起こると言われています。 ロボット産業の発展は、ビジネスのチャンスを広げるだけでなく、日本が抱える社会的な課題を解決するのにも貢献するといえます。 ところで、これまでも日本は性能のよいロボットを開発し、「ロボット王国」と呼ばれていました。 ただし、工場の製造ラインに組み込まれる「産業用ロボット」の占める割合が高く主流となっています。 世界では、アメリカのロボットメーカーがより安価なものを率先して開発しています。 そこで、今回、政府は工場向けに加えて「介護」「農業」「災害」と合計4つ、集中する分野を掲げ、国内の市場規模を2012年の約7,000億円から、2020年には3倍超の約2.4兆円に伸ばそうとしています。 工業向け以外の分野でも成功できるか、ここに日本のロボット産業の成否の分かれ目があります。 ロボット戦略が打ち出される中、6月5日、ソフトバンクモバイルはロボット産業に参入することを発表しました。 同社は工場向けではなく、人型ロボット「Pepper」を2015年2月から発売するといいます。 この人型ロボットの特徴は、人の感情や声のトーンを認識する点にあります。 さらに、認識した結果をもとに返事をするので、まるで感情をもった生き物のようになっています。 もう一つの特徴は、価格が安価なことにあります。 ソフトバンクによると、一台19万8,000円で販売するそうです。 工場用のロボットは一台数千万円もし、製造ライン全体では1億円以上もの価格になることもめずらしくありません。 それに比べると、「Pepper」の価格はこれまでの日本のロボットの常識を覆すほどの価格だといえます。 ソフトバンクの「Pepper」をみると、低価格で使いやすいロボットを普及させるという、ロボット戦略は着実に前進しているようにもみえます。 ただし、これまでの日本は、薄型テレビや携帯電話のように、世界に先駆け高性能、高品質な製品を開発することは比較的得意とします。 最初は高シェアを得ますが、市場が成熟するにつれ競合企業が増え低価格化がはじまります。 そうなると、人件費の安い新興国がコスト面で優位となり、日本は価格競争に負けシェアを落とすといったことが幾度となく繰り返されてきました。 日本は、工場向けの高性能ロボットでは優位に立っていますが、今後、低価格帯の市場も制することができるのか。 当初掲げた通り、ロボット産業が日本の成長の源泉となるのか目が離せません。 (記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター) 記事提供 ゆりかご倶楽部 |
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