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タックスニュース
2014.07.01b


2014年7月の税務トピックス



 ○ 税務調査手続に係る事前通知の明確化

 1 事前通知の法定化

 平成26年度税制改正において、税務調査手続に係る事前通知制度が改正のうえ法定化されました(国税通則法74の9)。

 この事前通知の内容は、原則として実地調査を行う前に「調査開始日時、調査開始場所、調査目的、調査対象税目、調査期間、調査対象帳簿書類等、調査相手の納税義務者調査を行う当該職員、調査日時・場所の変更及び事前通知事項以外の非違事項の調査」の10項目について書面ではなく口頭で通知することとされました。

 実際の運用としては、税務代理権限証書を提出している税理士等(以下「税務代理人」といいます)が存在する場合には、納税者の方には実地の調査を行うことのみ通知し、その他の事前通知事項は税務代理人を通じて通知することに取り扱われていました。

 しかし、実地調査を行う旨の通知を受けた納税者は、その内容が分からないことから多くの場合税務代理人に事前通知の内容を問い合わせすることになります。

そうすると納税者に対して「実地調査を行う」という抽象的な通知が果たして必要なのか、また税務代理人は代理権を有しているので複線化を避けるためにその代理権に任すことはできないかという議論が生じてきます。


2 税務代理権限証書の改定

 国税庁は、これらの事情から改訂税務代理権限証書(以下「改訂証書」といいます)を作成し、その改訂証書に事前通知に係る「調査の通知に関する同意」の事項を新設して、その事項がチェックされた権限証書については、事前通知はその税務代理人のみに行えば足りることに取扱いが変更されました。

 この取扱いについては、次の4点に留意する必要があります。

 @ 新取扱いは、平成26年7月1日以後に行う事前通知から適用されることとされていますが平成26年6月30日前の同意も改訂証書の中に設けられていますので利用できます。

 A 権限証書における同意のチェックは、個別的なものですから継続性がなく権限証書毎にチェックして提出する必要があります。

 B 現行の税務調査は、同時調査として実施されていますので権限証書の中の「税務調査の対象となる事項・税目」にそのすべての税目《例えば、所得税(復興特別所得税を含む)、法人税(復興特別法人税・地方法人税を含む)、消費税及び地方消費税(譲渡割)、所得税(復興特別所得税を含む)※源泉徴収に係るもの等》の記載がない限り同意の取扱いを受けることができず納税者に「実地調査を行う」という通知が実施されることになりますので同時調査の対象となる税目については、すべて記載しておく必要があります。

 C 印紙税は、同時調査の対象となったとしても税理士法において税理士業務の対象税目とはされていません(税理士法2条)。
 
 したがって、印紙税につき権限証書にその税目を記載したとしても事前通知については、納税者に行うことになり、また、調査の結果についても納税者に説明を行うことになります。

 なお、この取扱いの変更については、国税庁は「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」を公表しています。


 U 7月の税務
 所得税の予定納税額第1期分の納期限は、7月31日ですが同減額申請は、7月15日が申請期限です。税理士法施行63周年(7月15日)も忘れないで下さい。

法学博士・税理士右山昌一郎



記事提供 ゆりかご倶楽部





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