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タックスニュース
2014.05.26


【時事解説】中国経済の景気減速とリスク



 最近、中国経済の先行きに関して、リスクを懸念する声が広がっています。

不安要因の中心にあるのが「影の銀行(シャドーバンキング)」問題です。

シャドーバンキングとは銀行以外の金融機関による融資を指し、その額は中国全体で500兆円にものぼるといわれています。
これが焦げつき、不良債権になると、世界経済へ大きなダメージが及びます。

 実際、2014年1月、債務不履行(デフォルト)の危機が起こり、さらに懸念が強まりました。

このときは、「理財商品」といわれる金融商品が期日までに投資家に元利金を返済できず、支払いの遅延が生じました。

このまま行けばデフォルトに陥るという状況下、この危機は、第三者の投資家が政府の意向を受け、理財商品を買い取ることで最悪の事態を免れることができました。

 とはいえ、問題が根本から解決したわけではありません。
理財商品が問題となっているのは、投融資先が、石炭採掘や不動産など過熱気味の事業が多いにもかかわらず、審査は銀行に比べてずさんな点にあります。

中国の個人投資家はこうした金融商品を元本の保証がないにもかかわらず、銀行などに比べて高利回りが見込めるという理由で多く購入しています。

 中国の経済が失速するなか、とくに、理財商品のなかでも不動産を対象とした商品がデフォルトに陥る可能性が高いといわれています。

これまで、不動産開発事業者は土地の値上がりを狙い投資してきました。
ところが、土地の価格が下がれば、過熱気味だった事業が沈静化し、予定していた利益が得られない事態になります。結果、開発資金の返済が滞ることが生じます。

 実際にデフォルトに陥るとなると、理財商品を購入した個人投資家が損失を被るだけではありません。
デフォルト発生時には、不動産開発業者は当初予定していた土地の値上益が得られず、経営破たんする事態に及びます。
結果、シャドーバンクはもとより、こうした不動産会社に融資していた銀行にも損失が及びます。

 中国の理財商品の問題の一つは、中国政府当局がこうした理財商品などが全体でいくらあるのか、そのなかで債務不履行になる可能性がどのくらいあるのか、正確に把握しきれていない点にあります。

現行の融資総額は、ほとんどが試算です。
予想以上に、不良債権の額が膨らむ事態も起こり得ます。

 ただし、中国当局も手をこまねいているだけではありません。
この事態を乗り越えるため、4月に対策を打ち出しました。
デフォルトを起こりにくくするため、銀行監督局は中国内の信託会社に対して、理財商品の償還や増資に備えるように求めました。

 さらに、中国政府は、理財商品の販売を登録制にするなどの規制を打ち出し、融資の実態を把握する体制を整えました。

もう一つ、中国企業は理財商品のデフォルト懸念をふまえ、相次いで社債などの発行を見送りました。
こうした警戒感は、実際にデフォルトが生じたときの損失を小さくします。

 これまでも、リーマンショックやアジア通貨危機など、世界規模の経済危機は何年かの周期で訪れています。

中国の金融リスクなど、経済危機を起こす要因を知っておくと、実際に危機が起こったときにいち早く対処できるので、情報として頭のすみに置いておくことが大切です。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)



記事提供 ゆりかご倶楽部





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