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タックスニュース
2014.03.03


2014年3月の税務トピックス



T 平成26年税制改正大綱における交際費等の特例の拡大について

 1.当該大綱に記載された「交際費等の特例」の拡大

 (1)交際費等の拡大についての記事

 平成26年度税制改正の目玉の一つに大法人も含めた交際費等の特例の拡大(以下「50%拡大規準」といいます)が挙げられますので、その箇所を示しますと次のとおりです。

「(1)交際費等の損金不算入制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。

  @ 交際費等の額のうち、飲食のために支出する費用の額の50%を損金の額に算入することとする。

 (注)飲食のために支出する費用には、専らその法人の役員、従業員等に対する接待等のために支出する費用(いわゆる社内接待費)を含まない。

  A 中小法人に係る損金算入の特例について、上記@との選択適用とした上、その適用期限を2年延長する。」

 また、その趣旨については「企業の交際費に着目した消費活性化のための措置」としています。

 そして、まだ条文も見ないうちに「交際費課税緩和の対象にはゴルフ接待等の飲食費は含まず」(週刊税務通信、平成26年1月27日号)という記事が登載されました。

 その内容は、平成18年度税制改正において設けられた交際費等から除外する「いわゆる5,000円規準のQ&A(平成18年5月・交際費(飲食費)に関するQ&A・Q7)」にゴルフ・観劇・旅行等に際しての飲食等は、主たる目的である催事と一体的なものとして一連の行為に属し飲食等の主たる目的ではないから除外するとしています。

 このQ&Aの考え方が基本的には同様となるのでゴルフ等の飲食費は「50%拡大規準」には含まれないとしています。


(2)(1)についての考え方

 5,000円規準は、その金額の範囲内であれば華美なものとはいえず社外の者に対するものであればビジネス上の経費として差し支えないとした見解等から交際費課税から除外したものであり、50%拡大規準は、改正前においては大法人は全額交際費課税の対象となったものです。

 それを消費活性化のために飲食費に限り50%拡大規準で法人税法の損金の額に算入しようとする政策なのです。

 極論すれば5,000円規準で除外されたゴルフ等の飲食費が50%拡大規準でも救済されなくなります。

 これで果して政策に合致した解釈といえるか疑問です。

 私は、5,000円規準はむしろ営業上の経費としての考え方も含めて飲食費を主たる目的として固目に考え、他方50%拡大規準は、消費活性化の見地から飲食費を通常の交際費等と考え、それに拡大の特例を与えようとするものだと考えています。

 従って、第一に私はこの二つの規準を同一の考え方で律しなければならないとする考え方に賛同することができないのです。

第二にそのように考えることによりゴルフ一連の飲食費が、50%拡大規準から除外され政策に沿わなくなるのではないかと思います。

第三に国会の審議も未了、主務官庁の正規の見解も未了の時期に民間の雑誌社が、正規の見解まがいな記事を登載することは拙速だと考えられます。


(3)この問題についての対処

 この問題については、拙速すぎた記事だと考えて下さい。

 そして、法案が審議され、主務官庁の見解も出揃った後に顧問先を指導するようにして下さい。

 すなわち、自信のない指導、又は単に受け売りの指導は、後における禍根の基となりますので留意が必要でしょう。

 税務の専門家である税理士は、磨き上げた知識で物事に対処して下さい。


U 3月の税務
 3月17日(月)に平成25年分所得税確定申告が終ります。本年度から「国外財産調書」の提出も加わりましたので大変だと思います。この仕事が終ったら消費税増税に対処して下さい。


法学博士・税理士右山昌一郎


記事提供 ゆりかご倶楽部





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