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タックスニュース
2013.06.25


医療法人の特殊性 社員と出資



社員と言えば、一般的に社団法人等の構成員をさします。

株式会社では社員=株主、持分会社でも社員=出資者、また、中小企業等協同組合であれば組合員=出資者です。
                  
しかし、持分の定めのある医療法人にあっては、必ずしも社員=出資者ではありません。

社員(出資)の権利

社員たる地位は、いわゆる社員権は社団の特殊性によりその権利に差異があります。

社員権には、一般的に共益権と自益権があると言われ、前者は議決権であり、後者は配当請求権、残余財産分配請求権、持分の払戻し請求権等です。

この社員権、一定の制約はあるもののそれ自体譲渡等の対象となって、投下資金の回収や所得等をももたらします。
それ故、その地位は相続税・贈与税の課税の対象になります。

医療法人の出資の特殊性

持分の定めのある医療法人の出資者としての社員権は特殊です。

医療法人の社員権、共益権は一身専属でその譲渡はできず、譲渡できるのは自益権(出資持ち分)だけです。

もちろん、その譲渡はまったく自由で、非公開株式会社や持分会社、協同組合等のような制限はありません。

出資者たる社員の自益権(財産権)

また、医療法人は剰余金の配当が禁止されていることから、持分の定めのある医療法人の社員である者の出資の財産権は、持分の払戻し請求権と残余財産分配請求権だけです。

この持分の払戻し請求権は社員資格を喪失(退社・死亡)したときに請求することができます。

また社員の死亡の場合は、その相続人は「出資持ち分」を相続することに代えて「払戻し請求権」を相続することもできます。
この払戻し請求権、時効は10年です。

出資者たる非社員の自益権(財産権)

一方、非社員の出資者には持分の払戻し請求権はなく、残余財産分配請求権のみです。

したがって、その相続人はその出資持ち分たる残余財産分配請求権のみを相続するだけです。

医療法人が解散しない限り、その価値は実現しません。
まさに、社員か非社員かでその取扱いは雲泥の差です。

にもかかわらず、社員と非社員のその出資持ち分の相続税・贈与税の評価額は同じです。

非社員の相続人は、その財産権を復活させるためには社員となるか、それとも出資持ち分を当該医療法人の社員に譲渡する以外にないようです。



記事提供 ゆりかご倶楽部





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