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タックスニュース
2013.05.10


独自技術・知的財産を秘密にしていては・・・



 熊本県のゆるキャラ『くまもん』は熊本県のイメージアップや県産品の売上げアップに大きな貢献をしていますが、熊本県はキャラクターの使用料を一切取っていません。

使用の条件は熊本県産の食材や製品を使用すること(をうたうこと)のみで2012年の売上高が、少なくとも前年比11.5倍の293億6,200万円となりました。
もし使用料を取っていたら、これだけの普及はあったでしょうか?

 また、世界中の人気キャラクター「キティちゃん」はハードルの低いライセンス契約をコンセプトにしています。

条件として、「キティちゃん」に口をつけないことや、鼻と目の位置を固定するなどはありますが、多様なキティちゃんが世界中にあふれています。

 最近はスマホ向けに無料のアプリを公開して顧客を集めているところも増えています。
最初は無料で使ってもらい、顧客を集めてから有料戦略に移行したり、広告媒体としてアピールしたりしているケースが増えています。

 今、みなさんが日常使っているインターネット。
これも使用料はありません(プロバイダーは利便提供者です)。

もともとは、ARPANETという米国の軍事ネットワークを民事に転用したもので、現在、IPアドレスやプロトコルについての国際管理は国際的な非営利団体が行っています。
もし、米国が特許の申請をしていたら、これだけ普及していたでしょうか?

 米国はこの技術をオープンソース化し、誰もがインターネット技術の開発に参加可能にしました。
その上で、米国はインターネット技術競争で勝ち、現在の優位性を築いたのです。

 知的所有権に固執しないで、まずシェアを確保し、ユーザーを増やしその後地位を獲得する戦略が徐々に増えています。

今まではまず、権利を確保し、他社の権利を侵されないよう防御することが一般的でした。

しかし、GoogleはLinuxでITシステムを構築し、Androidをオープンソース化することで圧倒的な優位性を獲得しました。

 サムスン電子は、Android向けのソフトを無償で提供し、その多くがGoogleによって採用されています。

ソフトの新機能を知り尽くしているサムスンは、それによっていち早く新機能を搭載した最新機種を市場に投入できるなど、Google とともにAndroid端末のビジネスにおいて圧倒的な優位性を獲得できます。

サムスンはAndroidを自社のビジネスに有利なソフトにすることができ、市場で圧倒的な優位性を獲得することになるわけです。

 日本でも、ノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授らのiPS細胞に関する知財オープンの好例があります。

京大では、iPSアカデミアジャパンという組織を設立し、知財を管理していますが、利潤を追求しない教育・研究機関、NPOには無償での知財の利用を認めています。

これによって、iPS細胞関連技術の研究が世界中で急速に進んでいます。
そして、iPS細胞を利用する多くの分野の勝った企業・研究者とともにiPSアカデミアジャパンと山中伸弥教授は常に最大の受益者であり続けます。

 まず権利を確保する、というのではなく普及させて実を実らせてから最大の受益者になる、このような新しいトレンドに注目していきましょう。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)



記事提供 ゆりかご倶楽部





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