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タックスニュース 2012.02.27 中小企業の技能承継と人材育成「技能」とは、職人が現場での経験を通して獲得したノウハウなどのように、教養や訓練を通して獲得した能力のことをいい、技能を他者に引き継ぐことを「技能承継」といいますが、昨今、多くの中小企業にとって技能承継をいかに円滑に進めるかが課題となっています。 技能承継は、団塊の世代が一斉退職する、いわゆる2007年問題としても関心が高まっていましたが、定年延長や再雇用で急場を凌いできました。 しかしながらベテランの技能に依存し続けるのもそろそろ限界にきており、技能承継をしっかり行い、企業のもつ事業基盤を維持、発展させていくことが、喫緊の課題となっています。 にもかかわらず、多くの中小企業において実際にはうまくいっていないという状況がみられます。なぜなのでしょうか? まずベテラン側の問題としては、従業員の指導スキル・ノウハウの不足があげられます。 多くのベテランは、自分自身はできてもそれを他人に教えることが苦手なのです。 また、教え手側のもつ能力がどの程度のものかが、不透明でわかりにくいという側面もあります。 逆に若手側の問題としては、能力の不足や、そもそも若手そのものの数が不足していることなどがあげられます。 このように、中小企業の技能承継においては、教え手側、受け手側の双方に課題があるのです。 では、実際に技能承継を円滑に進めるには、どのようにすればよいのでしょうか? 技能は人から人へと承継されるものであることから、技能承継を人材育成と一体のものとして位置づけることが重要になります。 技能承継を人材育成と一体のものとして位置づけるとは、具体的にはどのように行えばいいのでしょうか? 技能承継の「教え手側」であるベテラン従業員の指導スキル・ノウハウが不足している場合には、ベテラン個人任せにせず、社内の第三者がサポートすることで解決できることもあるでしょう。 また、ベテランの能力が不透明な場合は、スキルを肩書き、資格、認定などによって「見える化」することによって対応できます。 技能承継の「受け手側」である若手従業員の能力にばらつきがある場合には、一人ひとりのレベルにきめ細かく合わせたカリキュラムを提供するなどの解決策が考えられます。 さらに、技能承継を推進することへのインセンティブをベテラン、若手双方に付与することも重要です。 ベテランには、若手に教えることの重要性を理解してもらったり、気力や体力の維持に配慮することで対応できるでしょう。 また若手には、やりたいことを若手自身に宣言させて自主性を尊重するなど、活躍の場を積極的に与えつつ従業員全体のやる気を引き出す方策などがあるでしょう。 若手の採用難に対しては、地元の学校との絆を大切にしつつ、自社のファンになってもらう様、努力することが求められます。 このように技能承継の取組みを人材育成と一体のものとして位置づけることによって、社内のコミュニケーションが活性化し、そのことが技能承継の円滑化にも繋がっていくことになるのです。 (記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター) 記事提供 ゆりかご倶楽部 |
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