タックスニュース
2012.02.08


2012年2月の税務トピックス


 平成24年度税制改正大綱(以下「改正大綱」といいます。)が民主党政権の下で平成23年12月10日に閣議決定され公表されました。

 しかし、私達は平成23年度税制改正法案(以下「旧改正法原案」といいます。)が積残しになっている現在、どうして積残しになったか、又積残しになった旧改正法原案と改正大綱との関係はどうなっているのか、この二点を把握しないと今後の税制改正が見通せないと思います。
 そこで、今月はこの二点について述べることにします。

T 税制改正について

 1.旧改正法原案の積残しについて

 旧改正法原案は、第177回通常国会(平成23年1月24日〜同年8月31日)に次の3つの項目と内容(括弧内表示)を有する法案として提案されました。

  (1) 税制抜本改革の一環をなす改正案(個人所得課税、資産課税、地球温暖化対策税及び法人課税)

  (2) 政策税制の拡充・納税者利便の向上・課税の適正化に係る改正案(納税者権利憲章の策定等国税通則法の抜本改正・雇用促進税制等政策税制の拡充・寄附金税制の拡充・その他納税者の利便の向上、課税の適正化等)

  (3) 期限切れ租税特別措置の延長等(中小法人に対する税率軽減・公害防止用設備の特別償却等)


 旧改正法原案の国会審議は紛糾し、政府は自民党・公明党・民主党の三党協議(平成23年6月8日)に基づき次の2つの法案に修正(以下「旧改正法修正法案」といいます。)して提案しました。

  <1> 「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案(以下「構築法案」といいます。)

  <2> 現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案(以下「整備法案」といいます。)


 構築法案は、前記の旧改正法原案の(1)に(2)の中の「納税者権利憲章の策定等国税通則法の抜本改正」を加えたものとして設定されました。

 整備法案は、旧改正法原案の(2)の残りと(3)によって設定されました。

 その後「整備法案」は、平成23年6月22日に成立し、平成23年6月30日に施行されています。

 他方「構築法案」は、当該通常国会では成立せず積残しの状態となり国会休会中も継続審議することとされました。


 2.旧改正法修正法案における積残しの処理について

 積残し法案としての「構築法案」は、その後に開会された第179回臨時国会(平成23年10月20日〜同年12月9日)に付議され、民自公の3党協議により、

「構築法案」の再修正を行い、当該法案の中の法人課税及び国税通則法の抜本改正(納税者権利憲章及び調査前書類交付を除きます。以下これらを「納税者権利憲章等」といいます。)が、

旧改正法再修正法として、平成22年11月30日に成立し、同年12月2日に公布・施行されています。
その他は法案から削除されました。


 3.旧改正法再修正法から削除された法案の取扱いについて

 前記削除法案は、平成24年度税制改正案と社会保障・税の一体改革の2つに分離されて今後審議される予定です。

その概要は次のとおりです。

  (1) 平成24年度税制改正案へ:給与所得控除の上限設定、特定支出控除の見直し      等

  (2) 社会保障・税の一体改革へ:相続税、贈与税の見直し、納税者権利憲章等など


法学博士・税理士右山昌一郎


記事提供 ゆりかご倶楽部







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