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タックスニュース
2012.08.24


新興国ビジネスの新しい開発手法



 近年、国内よりも海外、とくに新興国向けビジネスを伸ばしたいと考える企業が少なくありません。

その背景にあるのは、新興国の成長率があります。

経団連の研究機関である21世紀政策研究所は、2050年インドは日本のGDP〔国内総生産〕を

抜くと予想しています。

新興国は、日本企業の生産拠点としての役割だけでなく、すでに日本製品の買い手として

なくてはならない存在になっています。

今後も、その新興国の市場に、ビジネスの機会を求める傾向は強まるでしょう。

 その一方で、残念なことに新興国事業に力を入れるものの、

現地での売上を伸ばせない企業も少なくありません。

そこで、現地で「売れる商品」を効率よく、低コストで開発する手法が求められるようになりました。

そのなかで、最近注目を集めているのが「リバース・イノベーション」という開発手法です。

第一の特徴は、現地で開発した技術を自国に逆に持ちこみ活用する、

文字どおり技術を「リバース」するところにあります。

 そもそも、現地で商品が売れない原因は何か。

その一つは、現地のニーズを取り入れていないからです。

新興国向け製品は、日本で開発した製品に手を加えるという、

国内向けが出発点になっていることが少なくありません。

 現地で売れる商品にするには、現地の生活環境(低所得、停電が多い、

高温多湿など)から来る、特有のニーズを取り込んだ製品にしなければなりません。

リバース・イノベーションは現地でゼロから設計するため、ニーズに合った商品が生まれ、

売上に繋げられる点にメリットがあります。


 初めて、新興国向けの開発手法「リバース・イノベーション」を成功させたのは、

米国の大手電機メーカー、GE(ジェネラル・エレクトリック)です。

中国の病院では、米国製の大型で高価な医療機械は、設置場所や金銭的なことが

障壁になり購入できないところが多くあります。

そこで、GEは中国の事情に適した、格安で小型な超音波装置を開発し広めました。

さらに、その技術を自国に持ちこんだのがリバース・イノベーションの始まりです。

 日本では、東芝の薄型テレビ「Pシリーズ」が事例としてあります。

この商品は、もともとはベトナムで開発されました。

現地は停電が多く、テレビを楽しんでいても途切れてしまうことがあります。

そのなか、東芝は、ノートパソコンで培ったバッテリー技術をテレビに応用し、

停電が起きても消えないテレビを開発し、現地の人たちの生活に役立ちました。

 そして、この技術は、日本が原発事故の影響で電力不足が懸念されたとき国内に持ちこまれ、

新製品誕生に至ったのです。国内開発期間はわずか2ヵ月といいます。

 リバース・イノベーションのメリットは、現地に合わせた製品を開発するので、

現地の人たちが欲しいと思う商品が生まれること。

そして、メーカーにとって重要課題である開発期間の短縮ができる点にあります。

加え、同じ技術を新興国だけでなく国内や他の先進国に転用することで、

一機種当たりの開発費も下がっていきます。

 リバース・イノベーションは新興国での売上向上と開発費削減を両立させることから、

今後、ますますの広まりが期待されています。



(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)



記事提供 ゆりかご倶楽部







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