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タックスニュース
23.09.02


二重ローン問題「個人債務に特例的処理」


 中小企業や個人事業者らの復興を妨げると指摘される「二重ローン問題」。

政府の研究会は7月、「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」を策定し、金融機関などが債務免除を行う際の指針としています。

しかし、債務免除について税務面でみると意外な税負担に繋がるケースもあることから、国税庁は今回、債務免除に係る税務上の運用について文書回答を行いました。


 文書回答は、「個人債務者の私的整理に関するガイドライン研究会」(高木真二郎座長)が策定したガイドラインに沿って、債権免除が行われた場合の債権者・債務者の課税関係について示したものです。

 二重ローン問題では、債権者である金融機関からの協力≠得られることが必要ですが、同時に債務免除によって発生する税負担も大きな壁となります。

というのも、債権放棄では税務上、必ずしも損失として扱われるとは限らないからです。

税法上の要件に適わなければ、単なる「債務者への寄付」とみなされ、損金性は認められません。

 一方、債務免除された債務者には免除された債務が「経済的負担の解消」、つまりそれが経済的利益としての益金性、「債務免除益」を認められることがあります。


 照会に対し国税庁は、ガイドラインの対象としている債権者(主に金融機関)の債権放棄によって生じた損失は、

法人税基本通達9−6−1「金銭債権の全部又は一部の切り捨てをした場合の貸倒れ」に該当するもので、

「合理的な基準により債務者の負担整理を定めているものに準ずる」ことから、法人税法上、「債権放棄の日に属する対象債務者の事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する」としています。


 また個人債務者が受けた債務免除益については、所得税法基本通達36−17「債務免除益の特例」で規定する「債務免除益のうち、

債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたもの」に該当し、

所得税法上、「各種所得の金額の計算上、収入金額又は総収入金額に算入しないものとされる」と回答しています。



<情報提供:エヌピー通信社>



記事提供 ゆりかご倶楽部






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