タックスニュース
22.11.26


財務省2011年度税制改正


 財務省は、2011年度税制改正要望において、租税特別措置等に係る政策の事前評価書につき、制度的に他の企業年金等へ移行できない適格退職年金に係る税制優遇措置及び適格退職年金の積立金に対する特別法人税の撤廃若しくは課税停止措置の延長を行う方向を盛り込んだ旨の報道がありました。

 この背景には、支えあう社会を実現するとともに、経済・社会の構造変化に適応し、国民が信頼できる税制の構築を目指すとしており、金融庁と厚生労働省も要望しています。

 適格退職年金は、受給権保護の仕組みがより優れている確定給付企業年金法の施行(2002年4月1日)に伴い、10年間という猶予期間を設けた上で廃止することが決定しております。

 現在、他の企業年金等(厚生年金基金、確定拠出年金、確定給付企業年金及び中小企業退職金共済)への移行を促進していますが、倒産などで企業が存在しない等の理由により、企業年金等に移行できない適格退職年金が存在しているケースもあります。

 財務省によりますと、適用数は2009年度末93件で296人、2010年度末84件で267人で、今後、2011年度末には75件で240人、2012年度末66件で210人、2013年度末58件で187人を見込んでいます。

 このため、財務省は、企業が存在しない等の場合には、企業年金等に移行できない適格退職年金に限って、廃止期限後においても、税制優遇措置(運用時には非課税、給付時等には公的年金等控除や退職所得控除等)を継続しようとするというものです。

 このまま、企業が存在しない等のために、企業年金等に移行できない適格退職年金は、何も措置を講じなければ、廃止期限後には税制優遇措置がなくなることで年金受給額が減少してしまいます。

 そもそも、企業年金等へ移行可能であることを前提に廃止が決められたことから、企業年金等に移行できない適格退職年金については、廃止期限後も税制優遇措置を継続することにより、受給権の保護が図られ、安定した老後の所得確保が図ることができると主張しています。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成22年10月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


記事提供 ゆりかご倶楽部







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