タックスニュース
220520b


分掌変更退職金に注意


 2009年3月10日の長崎地裁によりますと、紙器製造販売業A社で、20数年取締役に就いてきた妻が監査役となったことに伴い、役員退職金の支給を決議し、その退職金を損金に算入して申告しましたが、原処分庁(国側)が否認し、賦課決定処分の取消を求めた裁判例があります。

 判決では、

 @妻は原告の代表者の海外出張時に通訳を務めていたが、他の従業員が担当になった
 A妻は監査役の任務のほかは原告の業務にほとんど関与しない
 B妻は飲食店業を営むため別の会社の設立準備を行い、設立後は代表取締役に就任し、毎日その経理や従業員の管理に携わっていたと判示しました。

したがって、地位または職務の内容が激変したと判断し、国側の主張を退けました。

 そもそも、分掌変更退職金を支払った処理をしたことに問題があると指摘する専門家もみえ、この判決は、一概に納税者が勝った良い判決とみるには問題がありそうです。

 結果論ですが、完全に退職してしまうことが、リスク回避のうえでも無駄な訴訟費用をかけずに済んだのかもしれません。


(注意)
 上記の記載内容は、平成22年4月30日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


記事提供 ゆりかご倶楽部







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