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タックスニュース
220624


法人税基本通達9-4-1や9-4-2の適用のある子会社


 2010年10月1日以後に100%グループ内の法人間で寄附が行われた場合、支出側法人では寄附金を全額損金不算入とし、受領側法人では受贈益を全額益金不算入とされることはご存じのとおりです。

 この改正は、担当者、実務家等の間で、現行の法人税基本通達9−4−1、9−4−2に示されている子会社の整理損、支援損に関する取扱いが以前より注目されていました。


※法人税基本通達9−4−1
(子会社等を整理する場合の損失負担等)

 法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等(以下9−4−1において「損失負担等」という。)をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるときは、その損失負担等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。

(注)子会社等には、当該法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる(以下9−4−2において同じ。)。


※法人税基本通達9−4−2
(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)


 法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以下9−4−2において「無利息貸付け等」という。)をした場合において、その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。

(注)合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に判断するのであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱う。

 上記通達の趣旨は、次のとおりです。
 一概に無利息又は低利貸付けといっても、そのことについて経済取引として十分説明がつくという場合には、子会社整理等の場合における損失負担等と同様に、常にこれを寄附金として取り扱うのは相当でないといえます。

  そこで、そのようなものについては、税務上も正常な取引条件に従って行われたものとして取り扱い、寄附金としての認定課税をしない旨を明らかにしたものです。


 つまり、法人税基本通達9−4−1と9−4−2は、親会社が行う損失負担や無利子貸付等について、やむを得ない相当な理由がある場合には、子会社等に対して供与する経済的利益は、「寄附金としない」取扱いを示したものであるのに対して、グループ法人税制の規定は、法人による完全支配関係を有する法人間であれば、税務上、「寄附金となるもの」について、支出する側、受領する側のいずれにおきましても、移転する経済的利益に係る損益を認識しないとするものですので、そもそも直接的な関係はないことになります。

 したがいまして、100%グループ内の法人間で、法人税基本通達9−4−1と9−4−2の取扱いの適用を受ける支援損や整理損があった場合には、支出する側では、損金算入とし、受領する側では、受贈益以外の雑益として益金算入として処理することが明らかになりました。
 該当されます方は、ご確認の上、くれぐれもご注意ください。


(注意)
 上記の記載内容は、平成22年5月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



記事提供 ゆりかご倶楽部







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