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タックスニュース
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平成22年4月の税務トピックス



T 平成22年3月までに発布された法令等

 ○ 清算所得課税の課税方式の変更を巡って

 平成22年度税制改正法案は、平成22年3月2日に衆議院で可決され参議院に送られ年度内成立が確実視されるようになりました。

 この改正法案のなかに法人税の清算所得課税の課税方式の変更が含まれています。
 それは、現行の財産方式を改め通常の所得課税方式に変更するというものです(法人税法案第7条)。

 この改正案の適用は、平成22年10月1日以後に解散が行われた場合に適用されることとされています(改正法案附則第10条第2項)。
 
・現行法人税の清算所得の計算は次のとおりとされています。
 残余財産の価額−(解散時資本金等の額+解散時利益積立金額)=清算所得の額

・改正案による清算所得の計算は次のようになります。
 土地売却益等+債務免除益−経費−期限切れ欠損金=清算所得の額

 すなわち、通常の所得課税方式と異なるところは、清算所得に限り「期限切れ繰越欠損金」も政令の定めるところにより損金に算入するとした点にあるといえます(法人税改正法案第59条第3項)。


ここで設例を基に考えてみましょう。

 土地を4億円で売却し、借入金5億円のうち4億円を弁済し残額1億円は債務免除を受けた。
なお、未処理損失4億円は、すべて期限切れ欠損金であり内容は交際費等の否認額であり、法人税法上の繰越欠損金はありません。

 現行法では、残余財産の価格が零ですから清算所得は発生しません。
 しかし、改正法によれば、清算所得の額は次のようになります。
土地売却益2億円+債務免除益1億円−経費0−繰越欠損金0=清算所得3億円…(税率27.1%から30%へ変更)

 まさか交際費等で否認された繰越欠損金を清算所得で利用できる政令は設けられないと考えられます。

 したがって、財産がないところに課税が発生することになり、どのようにして申告した税額を納付するかが問題になります。
そこで改正法施行日後を見据えて清算に係る法人税課税の事前チェックを行う必要があります。

 この事前チェックで納付不能な法人税額が算出されるのであれば、改正清算所得が施行される前(平成22年9月30日以前)に解散を検討する必要があると考えられます。

 景気が低迷するなかで清算所得の課税方式の変更は、当該法人に重大な影響を及ぼす可能性がありますので該当法人については、是非事前チェックをして対策をたてて下さい。

U 4月の税務
 4月は、固定資産課税台帳の縦覧期間(4月1日から20日まで)がありますので、縦覧してその内容を確認しましょう。
すなわち、固定資産税(都市計画税を含みます。)の第1期分の納付が4月中に到来することから納得して納付することは大切なことです。


法学博士・税理士右山昌一郎


記事提供 ゆりかご倶楽部







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