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タックスニュース
211109b


相続税抜本改革スタート 遺産課税方式で税負担も



 鳩山内閣が新たに編成した政府税制調査会(会長=藤井裕久財務相)で現在、今後の税制抜本改革に向けた方向性が議論されています。

相続税については、現行の「法定相続分課税方式」から「遺産課税方式」へ改める方向が有力視されています。

 「法定相続分課税方式」とは、法定相続人数をもとに相続税の総額を算出し、それを実際の相続分に応じ按分して課税する方法。

累進税率の緩和を狙った仮装分割への対応や、分割困難な資産相続への配慮といった観点に立っていますが、
@他の相続人が取得したすべての財産を把握しなければ税額計算できない
A取得した財産が同額でも相続人数によって税額が異なる場合がある
B居住や事業の継続に配慮した特例措置により無関係な共同相続人の税負担まで緩和される・・・など
不合理な点も多くなっています。

 政権交代で現実味を帯びてきた「遺産課税方式」は、被相続人の遺産総額に対して課税する方式です。

被相続人が生前に貯蓄した富の一部を社会に還元するという考え方にもとづくもので、遺産分割の仕方によって相続税の総額が変わることがないため税務の執行がしやすいというメリットがある一方で、各相続人の取得額に応じた累進税率が適用されないため「担税力に応じた課税」という点では限界があるという指摘もあります。

 民主党政策集「INDEX2009」によると、「相続税の課税ベース、税率の見直しについては、社会の安定や活力に不可欠な中堅資産家層の育成に配慮しつつ検討」「税収を社会保障の財源とすることも検討」「相続税の課税方式の見直しに合わせて、現役世代への生前贈与による財産の有効活用などの視点を含めて、贈与税のあり方も見直す」としており、相続税・贈与税の抜本的な見直しに前向きです。

 民主党がかねてより主張してきた遺産課税方式への転換。基礎控除や税率構造の見直しとあわせて今後の課税ベース拡大に向けた議論に注目が集まります。


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