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タックスニュース
210618


役員出向の処理ミス注意 負担金との差額は寄付金



 今年2月、約4億円にのぼる朝日新聞社の脱税事件が発覚しました。

朝日新聞社が負担した出向社員の給与について、子会社に対する“寄付金”とみなされ、申告漏れを国税当局から指摘されたのです。

出向先の子会社は同社に対して給与負担金を支払わなければいけませんが、この給与負担金9500万円が支払われていなかったためです。

 出向元の企業が出向社員への給与を支払う場合、出向先から出向元へ給与負担金が払うこととされ、この給与負担金は出向者への給与として取扱います。

原則として、出向社員が出向先で使用人であれば、その給与負担金は損金処理できますが、出向した社員が出向先で役員となっているケースでは少し複雑になります。

 出向役員に対する給与負担金の処理は、出向役員に対して定額的に報酬が支払われていれば損金処理できます。

 しかし、臨時で給与が支払われた場合や、出向契約時に想定した出向期間中の給与合計額を超える金額を支払った場合は、役員賞与とみなされ損金不算入となります。

 ただし、臨時的に支払われる給与であっても、事前確定届出給与、一定の利益連動型給与ならば、それらにかかる給与負担金は損金算入できます。

 ところで、給与負担金と出向役員に支払われる報酬に差額があれば、差額分は寄付金として課税されることになりますが、出向元と出向先の給与ベースに格差がある場合や、社員が出向したことによる損失を実質的な給与負担だけではカバーしきれない場合など、合理的な理由があれば損金処理できます。

 なお、出向役員の給与負担金を損金処理するには、出向先企業の給与負担金が株主総会や社員総会などで決議されていること、出向契約などで出向期間、出向負担金があらかじめ設定されていることが必要です。


(エヌピー通信社)







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