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タックスニュース
210602


試用期間と本採用拒否



昨年来の不況の影響を受け、業績の悪化した企業による新卒者の内定取消しが問題とされ、企業名も公表されています。

内定取消しをしなかった企業でも、試用期間の満了による本採用拒否を検討せざるを得ない企業があるかもしれません。

試用期間とは

 従業員を採用するに当たり、履歴書や面接等だけでは、その資質や適格性について十分に判断できないため、後日の調査や観察による最終決定を留保する趣旨で設けられているものです。

判例によると、試用期間とは解約権留保付雇用契約とされ、当初から期間の定めのない通常の雇用契約が締結されているが、試用期間中は使用者に労働者の不適格を理由とする解約権が留保されている、とされています。

本採用を拒否できる場合とは?

 採用決定後における調査や試用中の勤務状態により、当初知ることができず、また知ることが期待できなかったような事実を知ったことにより、その者を引き続き雇用するのが適当でないと判断する客観的に合理的な理由が存在し、それが社会通念上相当であると認められる場合です。

例えば、重大な経歴詐称、出勤率不良、無断欠勤が多い、勤務態度が悪く、上司から指導を受けても改善されない、協調性を欠き従業員としての適格性を欠く等が拒否できる正当な事由とされています。

なお、企業は従業員に対し教育・研修を行う立場にあるため、まずは注意・指導する必要があります。

業績悪化を理由に本採用を拒否できる?

 急激な業績悪化を理由に本採用を拒否できるかどうかは、正社員の場合と同様に「整理解雇の法理」に照らして判断されます。

@人員削減の必要性、
A解雇回避義務、
B解雇基準・選定の合理性、
C手続きの妥当性、
が整理解雇の四要件です。

解雇する場合は30日前に予告するか解雇予告手当を支給することになりますが、試用期間開始後14日以内に解雇した場合は、支払う必要はありません。

法律は会社を守ってくれません。

会社を守り、最終的に従業員を守るのは社長です。
事前に法律を知り、先手を打つことでトラブルを回避できることもあるのです。


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