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タックスニュース
210828


適用拡大は嬉しいが… 欠損金繰戻還付のアメとムチ



 欠損金の繰戻還付の対象となる企業の範囲が今年から広がりました。

 欠損金の繰戻還付とは、今事業年度の決算で赤字となり欠損金が生じた場合、前事業年度に納めている法人税があれば、今期の赤字と前期の黒字を相殺して前期に納めた法人税の還付を受けることができるという制度です。

 適用要件は、
@還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度まで連続して青色申告書を提出していること、
A欠損事業年度の確定申告書を青色申告により期限内に提出していること、
B同時に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出していること――などです。

 これまでは、適用対象が「設立5年以内の中小企業」と限定されていましたが、麻生内閣の追加経済対策により適用対象が拡大。

新たに適用対象となったのは、
@普通法人のうち各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの(保険業法に規定する相互会社等を除く)、
A公益法人等、
B協同組合等、
C人格のない社団などです。

平成21年2月1日以後に終了する事業年度に発生した欠損金からの適用となっています。

 ですが、適用に際してはそれなりに“リスク”もともないます。

ここでいうリスクとは、「欠損金の繰戻還付を適用した会社には税務調査が入る」というもの。

税務当局関係者によると、「いったん国庫に入った税金が出て行くことになる際は厳重な確認作業が行われる」のだといい、欠損金の繰戻還付は一度納めた税金を還付する特例になるため、監督官庁としてはおのずとチェックが厳しくなるというわけです。

 「適用者は必ず申告内容をチェックする。机上調査だけで終了するものもあるが、実地調査に移行するものも多い」(同)ともいわれており、多くの税理士を脅かす材料になっているといいます。


(エヌピー通信社)

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