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タックスニュース
200603


ペット葬祭業課税の新局面



●非課税から課税への流れ
宗教法人のペット葬祭業非課税を否認した平成17年3月24日の名古屋地裁の判決は、その後平成18年3月7日の名古屋高裁の判決でも支持されて確定しました。

一般事業者が利益の獲得を目的として行っている事業と同じ類型の事業から生じた収益に対して公益法人といえども税制上の便宜を提供すべき根拠がなく、また、謝金等の支払が任意になされる性質のものか、それとも対価債務の履行としてなされるものかも税制適格の判断の基準である、との見解が示されていました。

 また判決はペットの死体の処理は、法的には廃棄物でありペットの葬儀・遺骨処理・死体引取り・法要等はそれぞれ請負業・倉庫業に該当し、塔婆・骨壺塔の販売は販売業に該当すると認定していました。

●今度は固定資産税が舞台
 この判決からすると、宗教法人がペット等の遺骨を収蔵保管する行為は倉庫業に該当することになります。

この判決より前に「ペットの飼主からペットの遺体が持ち込まれると境内の建物内にあるロッカーにおいて1年間無料で遺骨を安置した後、飼主が希望すれば年間2万〜5万円で安置・供養していたお寺さんに対し、東京都が平成15年の調査でこのロッカーを確認、平成16年にロッカー部分についてのみ固定資産税と都市計画税約138万円を課した」という事例がありました。

●流れは堰きとめられるか
平成18年5月25日の地裁判決は「民間業者の動物霊園と大きな違いはない」として、課税を適法としましたが、平成20年1月23日の高裁判決は「江戸時代から動物供養が行われ、現在もペットの供養法要を行っており地域住民から厚い信仰を受けており、保管施設は非課税の宗教施設といえる」とし、特定の教義・作法で供養していることや宣伝・広告をしていないことを挙げ「民間業者と同様に営利的なものとはいえない」との理由で、東京都の課税処分を違法とする逆転判決を出しました。

東京都は最高裁に上告しましたが、さて最高裁はどういう結論を出すことでしょうか。







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