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タックスニュース 2023年の記事一覧へ Fri,October 13,2023 【時事解説】MMTに対する懸念近年MMT(Modern Monetary Theory、現代貨幣理論)が財政破綻懸念論に対して強烈な反対論を述べています。 MMTの主張を簡単に要約すると、次のようになります。 「通貨発行権を持つ国家は債務返済に充てる貨幣を自在に創出できるために、デフォルト(債務不履行)に陥ることなく、政府債務残高を増やせる。 政府債務拡大に伴う国民経済に対する懸念は唯一インフレである。 だから、インフレの兆候がない限り、財政支出拡大をためらうべきではない。」 我が国は言うまでもなく通貨発行権を有する独立国家であり、また、現在インフレの兆候はないのですから、MMTに立脚すれば、まだまだ財政赤字は拡大できる、ということになります。 伝統的な経済学に基づく財政再建を行うと、国民負担が避けられません。 一方、MMTが有効であれば、日本の財政状態に問題はなく、財政再建は不要ですから、国民に負担をかけずに済みます。 そうであれば、現在の国民だけでなく将来世代もハッピーでありMMTに賭けてみたい誘惑に駆られますが、果たしてMMTは信頼に足る理論なのでしょうか。 私は、MMTに依拠して財政拡大を続け、政府債務残高を増加させ続けることは、以下の理由から危険だと考えています。 一つはワイズスペンディングに対する懸念です。ワイズスペンディングとは文字通りに訳すと「賢い支出」ということになります。 財政支出を行うときは、効果のより高いものを選択することが求められます。 それは当然のことですが、ワイズスペンディングを行うためには、財源に限度があることが前提になります。 財源に限りがあるから、財政効果の測定と順位付けが重要となるのです。 MMTのようにインフレになるまで大丈夫だといった漠然とした考えの下では、ワイズスペンディングの必要性はなくなり、無駄な財政支出を加速する危険性があります。 したがって、財政規律が働かず、財政赤字拡大の勢いが増します 二つ目は、引き締めへの転換ができるかです。 MMTに基づき、財政運営をしていけば、財政は拡大し続けます。 そうすれば、どこかでインフレの兆候が出てくるでしょう。 さて、そのときに急に財政拡大から引き締めに転じ、インフレを制御できるかが問われます。 財政引き締めのためには財政支出削減か増税が必要になりますが、財政拡大で恩恵を受けた既得権益層は財政支出削減に激しく抵抗しますし、増税は選挙で嫌われます。 日本のこれまでの実績を見れば、緊縮財政や増税の政治的決断がたやすくできるとは思えません。 たとえ、できたとしても、相当な時間がかかるのは必至です。 つまり、インフレの兆候が発生した時点で緊縮財政に転換することは極めて困難ですし、あるいはたとえできたとしてもかなり時間がかかりますから、手遅れになり、悪性インフレまで突っ走ってしまう危険性が高いのではないかと思います。 さらにもっと懸念されるのは到来するインフレの性格の問題です。 モノとマネーの相対的関係としてとらえることができる通常のインフレであれば、マネーの流通量を絞ることにより、インフレを抑えることができます。 この場合は、インフレはなだらかに連続的に発生します。 しかし、財政拡大が余りに過大になり、通貨が大幅に過剰になると、インフレは単なる通貨量過剰の問題から通貨そのものの信用状態の問題に転化します。 その通貨がもはや信用できないという状態になってしまえば、財政支出を多少引き締めたところで、もはや「焼け石に水」といった状況になりかねません。 MMTは現在の世代に痛みをもたらさないだけに頼ってみたい気もするのですが、それだけに危険です。 もし、MMTが単なる課題の先送りに過ぎないとすれば、我々は将来世代に過大なツケを負わせることになってしまいます。 (記事提供者:(株)日本ビジネスプラン) 記事提供:ゆりかご倶楽部 [Studying English] ![]() 参考URL ■国税庁HP新着情報(国税庁トップページ)NATIONAL TAX AGENCY ■財務省 ・財務省 各年度別の税制改正の内容 □総務省 税制改正(地方税) ■ご意見箱 財務省 □法令解釈通達 |国税庁 ■消費税の軽減税率制度について|国税庁 ◆国税不服審判所/公表裁決事例 ◆国税庁/税務訴訟資料 |
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