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Tuesday,December 06,2022


《コラム》副業が事業所得となる基準



 副業の事業所得と雑所得の区分について、国税庁は、令和4年8月に実施したパブリックコメントの結果を公表し、

あわせて税務の取扱いを示す通達を改正しました。


◆帳簿の記録と保存が必要

 寄せられた約7,000件の意見に対し、国税庁が示した基準は、収入金額にかかわらず、帳簿の記録、保存があれば、

一般的に、営利性、継続性、企画遂行性を有しているので、概ね事業所得になるとしています。

パブリックコメントでは、収入金額300万円以下の副業は、反証のないかぎり雑所得としていましたので、300万円基準がはずされたことは朗報です。


社会通念上、事業と称するに至る程度

 しかし、改正通達では、帳簿の記録、保存がされたとしても、「社会通念上、事業と称するに至る程度」で業務が行われていることとする基準は残されています。

 通達の解説には、次のような場合には、事業性を認めるか、個別に判断するとして2つの事例をあげています。

@ 収入金額が僅少と認められること
 例えば、副業収入が、概ね3年間、300万円以下で、主たる収入に対する割合が 10%未満の場合をいいます。

A 活動に営利性が認められないこと
 例えば、3年程度赤字で、かつ、赤字を解消する取組みを実施していない場合、具体的には、収入を増加させ、所得を黒字にするための営業活動等を実施していない場合をいいます。


節税対策の副業には歯止め

 通達の解説から見える国税庁の意図は、営業活動を積極的に実施せず、わずかばかりの収入を事業所得の赤字として申告し、

給与所得と損益通算している場合、これまでどおり、税務署が事業性の有無を個別に判断する姿勢を示したものといえます。


積極的に副業に挑戦する人には追い風

 一方、副業で自分のスキルを積極的に活用し、営業活動をしている人には、すぐに収入がなくても、事業性を認める是々非々の姿勢を示したものと思われます。

 岸田首相は、5年間で1兆円を投じる「人への投資」を掲げ、転職、副業の受入企業への支援を新設、

拡充し、リスキリングから転職まで一括で支える制度の創設方針を示しました。

積極的に副業に挑戦する人には、追い風となるのではないでしょうか。


記事提供:ゆりかご倶楽部


追記
昔は会社が、社会が認めなかった副業が時代の変化とともに認められてきている流れがある。
課税の公平とは、労働への対価、利益への対価など所詮、課税の公平などないが、課税の公平を追い続けると、
これまた、おかしくなってくるものでもある。
ゆえに、利益金額には、この利益金額もくせものではあるが、利益のもとには公平であるべきと考える傾向がある。
雑所得の赤字は他の所得から引けないという税法だが、はたして今後はどうなっていくのでしょうか。

[Studying English]
リスキリング:reskilling
新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得すること。

スキル(skill)に re が頭に、ing の進行形がついた造語の英語か?
いずれにせよ、re は 再、再び、再度、繰り返しとかいう意味の接頭辞(prefix)。ingは進行形でやり続ける。
skill (技術、技)を、といった意味か。





参考URL


国税庁HP新着情報(国税庁トップページ)NATIONAL TAX AGENCY


12月6日朝時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:2022年12月5日

≪法令等≫
●「令和4年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)

≪お知らせ≫
●令和3事務年度 法人税等の調査事績の概要(令和4年12月)


■財務省

財務省 各年度別の税制改正の内容

総務省  税制改正(地方税)

ご意見箱 財務省

法令解釈通達 |国税庁

消費税の軽減税率制度について|国税庁

国税不服審判所/公表裁決事例
国税庁/税務訴訟資料
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