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Monday, February 18, 2019


2019年2月の税務トピックス【消費税率引上げに伴う31年経過措置の原則】



はじめに

 「消費税法の一部改正に伴う(平成28年改正法3)」の規定による複数税率による改正後の消費税(以下「31年新消費税法」といいます。)は、

平成31年10月1日から施行されますので、平成31年10月1日以後に期限が到来する申告にあたっては、8%(以下「旧税率」といいます。)が適用されるものであるか、8%(軽減税率)又は10%(標準税率)(以下単に「新税率」といいます。)が適用されるものであるか、その税率の切り換え時点については慎重に区分計算する必要があります。

 そこで本稿では、消費税率の切り換えに伴う31年経過措置の原則の概要と実務上の留意点について解説します。


T 31年経過措置の原則

 31年新消費税法は、平成31年10月1日(以下「31年施行日」といいます。)以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等並びに31年施行日以後に国内において事業者が行う課税仕入れ等に係る消費税について適用され、

平成26年4月1日(以下「26年施行日」といいます。)から31年施行日の前日までの間に国内において事業者が行った資産の譲渡等及び課税仕入れ等に係る消費税については、なお従前の例によることとされています(新平成28年改正法附則15)。

 なお、31年施行日以後に行われる軽減対象資産の譲渡等については、軽減税率が適用されます(31年経過基本Q&A問1)。


U 31年施行日前の契約に基づく取引

 31年施行日の前日までに締結した契約に基づき行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等であっても、31年施行日以後に行われるものは、原則として、その資産の譲渡等及び課税仕入れ等について新税率が適用されます(31年経過通達2)。


V 31年施行日の前日までに購入した在庫品

 31年施行日の前日までに仕入れた商品を31年施行日以後に販売する場合には、原則として、その販売については新税率が適用されますが、商品の仕入れについては施行日の前日までに行われたものですから、課税仕入れに係る消費税額は旧税率が適用されます(31年経過通達3,31年経過基本Q&A問2)。


W 31年施行日を含む1年間の役務提供を行う場合

 役務の提供に係る資産の譲渡等の時期は、物の引渡しを要するものにあってはその目的物の全部を完成して引き渡した日、物の引渡しを要しないものにあってはその約した役務の全部を完了した日とされています(消基通9−1−5)。

 例えば、平成31年3月1日に、同日から1年間のコピー機械等のメンテナンス契約を締結するとともに、1年分のメンテナンス料を受領した場合には、資産の譲渡等の時期は役務の全部を完了する日である平成32年2月28日となりますので、新税率が適用されます。

ただし、契約又は慣行により、1年分の対価を収受することとしており、事業者が継続してその対価を収受したときに収益に計上しているときは、31年施行日の前日までに収益に計上したものについては旧税率を適用して差し支えありません(31年経過基本Q&A問6)。


X 決算締切日の取扱い

 「法人税法における決算締切日(法基通2−6−1)」の取扱いを適用している場合であっても、施行日前に行われた資産の譲渡等及び課税仕入れ等については旧税率が適用され、31年施行日以後に行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等については、原則として、新税率が適用されます(新平成28年改正法附則15)。

 例えば、決算締切日を毎年9月20日としている場合、平成31年9月21日から平成31年9月30日までの間に行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等については旧税率が適用されることとなります。

 なお、継続的に、売上げ及び仕入れの締切日を一致させる処理をしている場合には、平成31年9月21日から平成31年9月30日までの間の売上げ及び仕入れについては、平成31年10月分の売上げ及び仕入れとして、消費税の申告をして差し支えありません(31年経過基本Q&A問5)。


おわりに

 平成31年10月1日以後の取引については、原則として新税率で課税することとされています。

 しかし、取引の形態及び契約の内容等によっては新税率での消費税等の転嫁が困難な場合も想定されますので、例外として31年経過措置の特例も規定されています。

 次回の会報では、この31年経過措置の特例の解説をします。


税理士法人右山事務所 所長 宮森俊樹


記事提供:ゆりかご倶楽部





参考URL


国税庁HP新着情報(国税庁トップページ)

2月18日朝時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:平成31年2月15日


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