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190511


【時事解説】格差社会アメリカの役員報酬問題



 米シンクタンクの調査で1965年に企業の最高経営責任者(CEO)と労働者の報酬格差は24倍であったが、89年には71倍、2005年には262倍に拡大したとの調査結果がある。

最近日本も格差社会になったと言われているが、アメリカこそ真の格差社会であり、役員報酬に関する限り、日本では格差がないことに気づく。

 そのアメリカで、今ある動きが起きている。もともとアメリカの株主は業績を上げている企業の経営者の報酬アップには比較的寛容だったが、一部の企業の役員報酬が業績と無関係に高騰するという問題点が浮上してきた。

数年前の就任時より株価が下がってしまったにもかかわらず、日本の常識からすればまったく信じられない水準の退職金(ファイザーCEOが246億円等)が支払われているのだ。

 経営者に寛容なアメリカの株主も、ここに至っては、さすがに報酬の絶対水準が高すぎることに我慢できなくなったのだろう。

上場会社の役員報酬への監視の目を厳しくしようとしている。

一つの表れとして、米下院で「上場企業の役員報酬を株主総会での承認事項とする」法案を審議している。

もう一つの表れとしては、年金基金など機関投資家が個別企業に対して「役員報酬案への株主投票」を認めるよう提案している。

 これはアメリカ型コーポレート・ガバナンスが機能しなくなってきている証拠である。

「株主の代理人である報酬委員会が、経営者へのチェック機能を果たせなくなった結果、株主が自ら株主総会に乗り込まざるを得なくなった」と今回の一連の事象を解釈できるからだ。

本来、人間社会では正しいことが正しく行われなければならない。

そのために完璧な制度をつくって正しく運用しようする。しかし、その主旨通り運用することは本当に難しい。







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