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相続税の小規模宅地特例についての最高裁判断



 特定の税務について、最高裁の判断を基に国税当局の取り扱いが180度変わることがあります。

 たとえば、2005年の最高裁判決ではゴルフ会員権の名義書換手数料の取り扱いが変わり、2006年の最高裁判決では一定の農地転用決済金や協力金の取り扱いが変わっています。
 
 そして、今般、また税務上の取り扱いが変わるかもしれない判断が最高裁でありました。

 相続税には「小規模宅地等の特例」という制度があります。
これは、相続財産の中に住宅や事業に使われていた宅地等がある場合、その宅地等の評価額を減額する特例です。

 今回の事案は、この「小規模宅地等の特例」に係わるものです。

市から区画整理の名目で立ち退きを求められ、自宅を取り壊した土地について、その後に発生した相続で同特例が適用できるかどうかが争われました。

国税当局では、この土地が区画整理の対象であるため宅地や事業用とはなりえず、さらに仮換地も更地のままであったことから同特例の対象にはならないとし、高裁まではこの国税当局の主張を支持していました。

 しかし、最高裁は「相続開始直前に相続した土地は更地となり、仮換地も宅地として使われなかったのは、公共事業における仮換地指定で両方の土地の使用が共に禁止された結果」で、やむをえなかったと指摘。

さらに「仮換地を宅地として使う予定がなかったと認めるに足りる特段の事情がない限り、特例は適用される」と判断。
審理を高裁へ差戻しました。

 つまり、公共の用途で「やむをえず」一時的に土地や仮換地を更地にせざるを得なかった場合、その時点で発生した相続においては「特段の事情が認められない限り」特例の適用を妨げないという判断です。

なお、相続人の男性は仮換地の使用禁止が解けた後、すぐにビルを建てて住んだそうです。







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