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タックスニュース

190822


相続税の物納申請が大幅に減少



 国税庁が公表した「平成18年度 相続税の物納申請状況等について」によると、平成18年度の相続税について、物納の申請件数と申請金額がいずれも大幅に減少しています。

 平成18年度の物納申請件数は前年度比59.8%の1036件、申請金額も同57.8%の472億円でした。

物納の申請件数は平成11年度から8年連続、申請金額も平成15年度から4年連続の減少です。

申請件数がピークだった平成6年度と比べると、申請件数で6.4%、申請金額で3.2%まで減っていることになります。

 このように物納申請が減少している理由のひとつは、不動産取引の活発化と土地価格の上昇でしょう。

不動産は物納される財産の大多数を占めています。
土地の価格が下落し、不動産取引が低調だった時代には、土地を売却して現金化すること自体が困難でした。

さらに、申告・納付期限(相続があった日から10ヵ月後)までに急いで現金化しようとすれば、買い叩かれてしまいかねず、結果として物納せざるをえない状況があったのです。

 これが、現在のように土地価格が上昇傾向にあり、不動産取引も活発化していれば、「不動産を売却して相続税を支払った方が得」となるケースが増えています。

 また、平成18年度税制改正で物納の仕組みが変わったことにより、「とりあえず物納」という行為が減ったことも理由の一つとして考えられます。

同改正においては、物納財産の枠組みが広がったとともに、税務署が行う物納適格・不適格の判断も早くなりました。これを単純に考えれば、「物納しやすくなった」ようにも見えます。

 しかし、同改正前の物納申請では、相続税の申告・納付期限までに金策等が間に合わない場合には物納申請を出しておいて、その結果が出るまでに金策を図るという裏技「とりあえず物納」がありました。

 税務署の判断が早くなるということは、この裏技が使いにくくなるということです。
さらに、税務署の判断を早くするために、不動産については測量資料などの提出資料が増えており、これにかかる時間や費用もばかになりません。

実態は明らかではありませんが、こうしたことも物納申請が減っている要因として考えられるのです。






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