|
|
Section |
税務会計ニュース170613高年齢者雇用安定法が事業主の義務に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律を一部改正する法律」が平成16年6月11日に公布されました。主な改正ポイントは次の通りです。 1.定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等による高年齢者の安定した雇用の確保 (平成18年4月1日施行) 2.求職活動支援書の作成・交付 (平成16年12月1日施行) 3.募集及び採用についての理由の提示 (平成16年12月1日施行) 今回は特に影響の大きい1の定年の引上げ義務等を中心に、この法律についてご説明します。 <導入の背景> 日本では少子高齢化社会を迎え、2007年からは労働者人口の減少が見込まれています。それは国力や経済力の減退とも密接につながっています。 この様な見通しの中において、退職された(る)高年齢者の労働知識・労働力が今後ますます必要となっていきます。 次に、個人の側からみてみると、年金の支給開始年齢が上がりつつあり、昭和36年4月2日以降生まれの方(女性は5年遅れ)については65歳からの支給になります。 通常の定年60歳から年金がもらえる65歳までの生活資金をどのように工面したら良いのか、ということはとても重要な課題です。 こうした理由から、高年齢者の労働機会を創出することにより、国も企業もそして個人も安心して諸活動できる仕組みが必要となり、この「高年齢者雇用安定法」が平成18(2006)年4月1日より施行される運びとなりました。 <法律の主旨> この法律の主旨を一言でまとめると、「高年齢者の安定的・継続的雇用が図られること」といえます。 <法律の内容> ◆平成18年4月以降、事業主は以下の中から選択し、実施する義務を負います。 1.定年の延長 →65歳(男性の年金支給年齢)まで定年を延長します。 2.継続雇用制度の採用 →高年齢者を定年後も引き続いて雇用する制度を労使協定で定めます。 3.定年の廃止 →60歳定年そのものを廃止しますす。 ◆雇用確保年限は平成25年度までに段階的に引き上げられます。 定年の延長や継続雇用制度を選択した場合、雇用を確保しなければならない年限(定年の延長の場合は定年、継続雇用制度の場合は継続雇用年限)は平成25年4月1日以降65歳となりますが、それ以前については年金の支給開始年齢に歩を揃えた形で、3年ごとに引き上げられます。 ・平成18年4月1日〜:62歳 ・平成19年4月1日〜:63歳 ・平成22年4月1日〜:64歳 ・平成25年4月1日〜:65歳 ◆「継続雇用制度」における経過措置があります。 継続雇用制度を選択した場合、法律施行の平成18年4月1日までに体制を整えるのは企業負担が大きいということを考慮し、経過措置〔時限的特例〕が設けられています。その経過措置とは労使双方の話し合いがどうしても折り合いがつかない場合、以下の一定期日までの期間は、就業規則を定めることで制度を導入しているとみなされる措置です。 <一定期日とは> ・大企業:平成21年3月31日まで ・中小企業(従業員数300名以下):平成23年3月31日まで <留意点> 継続雇用制度とは、「現に雇用している高年齢者が希望しているときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度」のことをいいます。 原則としては、希望者全員を対象とすることが求められますが、事業主と労働者側がよく話し合い、労使協定により継続雇用する高年齢者の基準を定めた場合は、継続雇用制度を導入したとみなされます。 ここで問題になるのが、どういう基準が「継続雇用する高年齢者の基準」として適切であるかです。 これについて厚生労働省では、「望ましい基準」として以下の2点を掲げています。 1.意欲、能力等を具体的に測るものであること(具体性) 2.必要とされる能力等が客観的に示されており、該当可能性を予見することができるものであること(客観性) 要するに、従業員にとって継続して働くことができる基準(努力目標)が数値化、明確化されており、また、誰の目から見ても適正であることが「望ましい」ということです。 <具体例> ・過去○年間の出勤率○%以上の者 ・直近の健康診断の結果、業務遂行に問題がないこと ・過去○年間の平均考課が○以上であること ・○級土木施工管理技士の資格を有する者 ・勤続○年以上の者 当然、事業主の恣意的志向の強いものや、法令等に反するものは認められません。 <具体例> ・上司の推薦がある者に限る ・男性(女性)に限る ・組合活動に従事していない者に限る 少子化の進行により労働者不足が懸念される中、今後の企業にとって高齢者の雇用継続は重要な課題のひとつでもあります。是非、前向きに検討され、より良い制度の導入をご検討下さい。 |
戻 る(平成17年の記事一覧へ) |