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税制メールマガジン 第33号 財務省


税制メールマガジン 第33号                 2006/11/02 

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◆ 目次

1 巻頭言 
2 主税局職員コラム
3 諸外国における税制の動き 〜フランスの悩み―雇用問題を巡って〜 
4 編集後記

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1 巻頭言 

 私事になりますが、先日中学校一年生になる子供の誕生日を迎えました。
誕生日といえばプレゼントがつきものですが、今回新たな提案をしてみま
した。というのは、自らの成長を記念してここまで育ててもらったことに
感謝の意を込めて、親にプレゼントとして何かご馳走してはどうか、とい
うものです。子供はもちろん自ら稼いだ収入があるわけではなく、親への
プレゼントのための元手は主としておじいちゃん、おばあちゃんからもら
ったお年玉ということになります。お金の流れからみれば、老齢者が実質
的に孫名義で蓄えたものを現役サラリーマン世代である我々に還元すると
いうことです。
 
 少子化・高齢化の中で「世代間の公平が必要」、「高齢者=弱者という
構図を超えて、むしろこれまで支える側だった現役世代に対し、皆でサポ
ートする必要」ということが言われます。こうした主張を「顔」が見えな
いマクロ的な視点で訴えてもなかなか実感がわかないわけですが、今回一
つの家庭の中で実践してみてはどうか、と思ったわけです。これが仮にう
まくいったとして、おじいちゃん、おばあちゃんは「騙された」というで
しょうか。私の勝手な想像かもしれませんが、多分そうではないと思いま
す。そしてこの図式は何も「お年玉」に限ったことではないと思うのです。
今後、高齢者人口の増加に伴い社会保障のための若者の負担が増えていく
という中で、おじいちゃん、おばあちゃんが、わが子(更には将来その子
を支える孫)の負担が増えることをみて喜ぶでしょうか。自分にできるこ
となら少しでも軽くしてあげたいという気持ちなのではないでしょうか。
「世代間の公平」ということが実は身近な生活の中での問題であることを、
一人一人が実感していくことが、今後の少子化・高齢化の中でどうしたら
いいのかを考えていくカギになるような気がします。
 
 ところで、冒頭申し上げた我が家の提案は・・・。日頃の親の教育がば
れてしまいますし、子供の名誉のためにも詳らかにしないほうがいいかも
しれません。

                       主税企画官 鑓水 洋

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2 主税局職員コラム 
  
 主税局審議官の古谷です。
 「審議官」というのは副局長とでも思っていただければ結構です。主税
局には局長の下に2人の審議官がいて、局内の仕事を分担しています。私
自身は法人税と、消費税や酒税などの間接税を担当しています。

 私は、この夏の人事異動で審議官に着任するまでの1年間、米コロンビ
ア大学の客員研究員としてニューヨークで研究生活をしていました。第2
期ブッシュ政権下で進められている税制改革や社会保障改革の動向把握を
中心に、アメリカの税財政についての調査・研究を目的とした滞在でした
が、この間の公務に加え、様々な人種、民族が生活するアメリカの大都会
の今を実体験する良い機会にもなりました。

 そんな中で、改めて「税制は社会を写す鏡」という感を強くすることも
しばしばありました。寄付税制もそのひとつです。

「アメリカは寄付文化の進んだ国。日本もこれに習い、寄付税制をもっと
寄付を奨励する方向で改めるべきだ。」という意見をよく聞きます。私も
基本的にこれに賛成ですが、アメリカと日本では社会の成り立ちや考え方
がかなり違うのも事実です。

 帰国直前の6月、著名な投資家ウオーレン・バフェット氏が総額300
億ドル以上の株式を慈善事業に寄付すると発表し話題になりました。アメ
リカにはカーネギーやロックフェラー以来の大資産家による寄付の伝統が
今も脈々と生きています。私も、ニューヨーク滞在中、美術館や博物館な
どに出かけては、社会還元的な慈善活動の恩恵にずいぶん浴したものです。
しかしながら、アメリカではこうした慈善活動はお金持ちの善意にとどま
ってはいません。低所得の人も含め一般の庶民が地元の教会やNPO活動
へ多額の寄付をしています。寄付は人々の日常生活の中にあります。私が
住んでいたアパートの隣人も10万ドルの年収から毎年9千ドルを教会へ
寄付しており、年収の1割程度を教会や慈善事業に寄付するのは全く普通
なのだということでした。この背景には、移民社会での宗教的な結束の強
さに加え、所得格差の大きな社会で、税による政府の所得再分配政策より
も個人の意志による慈善寄付が一種のセーフティーネットとしての役割を
果たしているといった事情もあるようにも思います。

 こうした視点で日米の公益寄付に対する税制の違いを見ると対照的なこ
とにも気づきます。アメリカでは、個人は所得の50%まで寄付金控除が
受けられますが、法人企業は所得の10%が限度です。日本では個人は所
得の30%までですが、法人企業は所得の2.5%と資本金の0.25%
の合計まで。加えて、企業の場合には公益寄付でなくても贈与一般につい
て寄付金控除を受けることができ、特定の寄付が全額非課税となる指定寄
付金の制度もあります。日本ではフィランソロピーやメセナというと企業
中心ですが、アメリカでは寄付は個人がするものという大前提で税制もで
きているようです。

 日本の税制を論じる際、ついつい外国の制度を自分に都合よく引っ張り
がちなのを自戒しつつ、制度の国際比較や外国の仕組みを参考にする場合
の「視点」や「評価」の難しさを感じます。制度の背後にある社会状況や
歴史にも思いを馳せる必要がありそうです。

                     主税局審議官 古谷 一之
                                         
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3 諸外国における税制の動き 〜フランスの悩み―雇用問題を巡って〜

 外国人観光客が最も多く訪れる国といえば…?そう、フランスです。
2003年の世界観光機関の統計によれば、その数ざっと7,500万人。フラン
スの人口は約6,200万人ですので、人口以上の外国人観光客がフランスを
訪れるというから驚きです。もちろん、フランスは近隣の8ヶ国と接して
いるため、国境を越えた往来が多いという事情があるとは思いますが、人
々を惹きつけてやまない「何か」を持った国であることは間違いないでし
ょう。最初の問いに対して、「たぶんフランスかな?」と人々に思わせて
しまうこと自体、この国の魅力を示しているのではないでしょうか。

 一方、フランス国内では、長年にわたって雇用問題が大きな関心事とな
っています。1990年代以降、フランスの失業率は10%前後であり、中でも
若者の失業率は20%を超えています。今年の春、若者向けの雇用促進措置
(CPE)を巡り、激しいデモが繰り広げられたことは記憶に新しいところ
です。また、2007年春には大統領選を控えていますが、過去の大統領選に
おいても雇用問題は常に最大の論点となっています。

 フランス政府はこれまで様々な雇用対策を行ってきましたが、2001年に
は「雇用のための手当(PPE)」という税制面での措置が導入されました。
低所得勤労者を主たる対象とした税額控除であり、控除し切れない部分に
ついては還付を行うという措置です。受給資格を得るための最低所得額が
設定されているため、低所得勤労者や失業者の勤労意欲を高める効果があ
るとされています。

 しかしながら、このPPEを巡り、近頃困った事態が起きているようです。
PPEを不正に受給しようとする人が急増しているのです。フランスの会計
検査院の調査によれば、PPEの受給資格を得るまたは受給額を増やすこと
を目的とした、所得額の不正申告が横行しているとのことです。不正受給
の正確な額は不明ですが、数百億円に上るのではないかといわれています。
さらには、失業保険についても、架空の従業員を解雇し、支給された失業
手当を雇用主が着服するといったケースが増えているとされており、フラ
ンス政府を悩ませています。

 雇用問題のみならず、その対策が不正に利用されてしまうことに悩むフ
ランス。フランスがその悩みから解放され、より一層人々を魅了する国に
なって欲しいなと、日々フランス税制を調査している者として願うばかり
です。

                     主税局調査課 佐藤 智紀

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4 編集後記

 10月24日の衆議院財務金融委員会などにおける所信表明で、尾身大
臣が租税教育にも触れられました。「国を支える税金を国民が負担するこ
とは、民主主義国家の基本であります。」「自分たちの代表が国の支出の
在り方を決めることの裏腹として、国を支える税金を負担しなければなら
ないということを、幼いうちから学ぶことが重要であります。今後、租税
教育のより一層の充実に向けて、関係各方面に働きかけてまいります。」
旨の発言でした。自分たちの社会を維持するため、必要な公共サービスの
内容とその費用分担を代表を通じてみんなで決定し、その決定に従い費用
をみんなで分担するとともに、その決定のとおりに公共サービスが提供さ
れているかをみんなで点検することが大切、ということを伝えたいという
ことかなと考えました。これから平成19年度税制改正の議論に注目が集
まるかと思いますが、そもそも税金の意義とは何なのかを考えることも重
要です。                         (高宮)

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