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税制メールマガジン 第32号 財務省


税制メールマガジン 第32号                 2006/09/29 

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◆ 目次

1 巻頭言 
2 税制をめぐる最近の動き
3 税の競争と公平な土俵
4 諸外国における税制の動き 〜イギリスの租税教育〜 
5 編集後記

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1 巻頭言 

 先般、政府税制調査会の石会長より「会長談話」(今後の税制改革につ
いての議論に向けて)が発表されました。この3年間、政府税制調査会では、
経済社会の構造変化に対応した税制のあり方について審議されてきました。
そのなかで、2004年6月に経済社会構造の「実像」について分析を行って
おり、この機会に改めて読み返してみました。「実像」は「人口減少・超
高齢化」、「右肩上がりの経済の終焉」「家族のかたちの多様化」、「働
き方の多様化」「グローバル化の進行」、「財政事情の深刻化」などをは
じめとするキー(鍵)となるファクトを冷静に分析しています。

 私は東京オリンピックの年に生まれ、いわゆるバブル経済の直前に社会
人になりましたが、人々の働き方や家族のあり方をはじめとして、世の中
が刻々と変化していることを実感します。ただ、何となく変わってきてい
るという感覚だけではなく、データに基づいて様々な角度から客観的に分
析してみて、今日に至るまでの経済・社会の変化の姿を正確に捉えること
が、税制を含めいろいろな制度設計をする上で大切な出発点になることは
いうまでもありません。
 
 また、世代ごとに生きてきた時代が異なる以上、今現在の経済・社会の
姿をどうみるかということについても、考え方、感じ方は異なるはずです。
例えば高度経済成長の時代を若手サラリーマンとして過ごした私の父の世
代と私自身の考え方が異なるように。このような世代間の受け止め方の違
いは違いとしつつ、幅広い年齢層で「今はどうなっているのか」「将来に
向けての課題は何なのか」ということについて、議論するための共通の土
俵が必要であり、これが世代を超えた共通認識をもつための第一歩でもあ
ると思います。皆さんも是非ご一読いただければと思います。

 http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/top.htm

                   主税局総務課主税企画官  鑓水 洋

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2 税制をめぐる最近の動き

(1)日・英新租税条約を発効させるための外交上の公文の交換が行われま
 した。

・概要は、下記URLにてご覧いただけます。
 
  http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy180913igi.htm

(2)下記のとおり、税制調査会が開催されました。

【9月5日(火)】
 第61回基礎問題小委員会
 第52回総会・第62回基礎問題小委員会合同会議
 ・これまでの審議等を踏まえた主な論点について
 ・今後の税調の運び方について

【9月12日(火)】
 第53回総会・第63回基礎問題小委員会合同会議
 ・「会長談話」について
 ・自由討議
  「今後の税制改革についての議論に向けて(会長談話)」は、下記URL
  にてご覧いただけます。

  http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/top.htm

・これまでの審議の概要等は、下記URLにてご覧いただけます。
 (順次、掲載を行っているため、直近の開催分が未掲載の場合がござい
 ます。)

  http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy012.htm

・税制調査会の資料は、下記URLにてご覧いただけます。

  http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/top_zei3.htm

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3 税の競争と公平な土俵

 税の競争、ということばを聞いたことがあるでしょうか。

 現代は競争社会といわれ、競争の功罪が盛んに議論されています。企業
間競争でも、「価格・規模・品揃え」面の競争は悪い競争で、「品質・技
術・財務内容」面の競争は良い競争であるとか、技術革新や効率改善とい
う生産性の向上に結びつくものは良い競争、ダンピングなどの事業基盤を
損耗させるものは悪い競争、などなど。

 税の競争は、国家間の競争で、自国への投資を促進するために、税率を
引き下げたり、一定の所得に対して税制上の優遇措置を採ったりすること
を指します。それでは、そのような競争は良い競争でしょうか、悪い競争
でしょうか。

 一つの考え方は、race to the bottom(縮小均衡に向かう競争)になる
税の競争は悪い競争なので、協調して止めて、止めなければ制裁すること
にしよう、というものです。国家間を簡単に移動できる人、事業、企業は
結局、一番税金の安い国に行くから、結局、どの国も税金を取れない。い
わゆる縮小均衡。それでも、国のサービスがタダで供給できない以上、ど
こかから税金は取ってくる必要がある。国家間を簡単に移動できる人・企
業から取れないのであれば、その分、簡単には移動できない人・企業から
多く取る必要がある。けれど、これは不公平ではないか、というわけです。

 他方、税金が下がることはどうして悪いのか、国の提供するサービスの
対価が税金だとすれば、国のサービス効率を高め、同じサービスをより廉
価に供給できるようにするのは、むしろ良いことじゃないのか、という議
論もあります。さらに、そもそも、税制は国の主権の根幹を成しているの
だから、どのような税制にしようとも、他国が文句を言う筋合いではない
ではないか、と。

 確かにその通りかもしれません。けれども、それは、あくまで自国の課
税権の範囲内で完結している場合。サービスは他国で受けるけれど、税金
は安い国で払いたい、という行為を誘引するのであれば、他国に迷惑をか
けていると言わざるを得ません。例は悪いかもしれないけれど、例えばD
VDのコピーガードをはずすソフトを販売するような行為。それ自体は何
の付加価値も生まないのに、本来支払うべき正当な対価を払わずに済ませ
られるということを「価値」として売るのは、明らかに不公正な行為でし
ょう。

 良い競争のための必要条件は、企業間でも国家間でも、公正な競争を確
保する基盤が整っていることです。例えば、本来、他国に支払うべき税金
を支払わずに済むようにすることが問題だとすれば、逆に、その「他国」
が、その支払われるべき税金を徴収できるようにすれば良いのです。この
ためには、税制の透明性を高め(隠れて特定の者に恩恵を与えない)、課
税上に必要な情報の交換に応じることが重要になるでしょう。

 税の競争の功罪については、今後とも様々な意見が戦わされていくだろ
うと思います。けれども、少なくとも、公平な土俵(level playing field)
の上で競争が行われなければならないことは間違いないでしょう。現在、
先進国(OECD加盟国)のみならず、タックス・ヘイブンと呼ばれる国
や、国際金融センターを有する途上国などが、一つのテーブルについて共
通の公平な土俵を作ろうという議論が始まっています。税制の議論が国内
だけで完結しない良い例ではないでしょうか。

                   主税局参事官室 緒方 健太郎
                                         
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4 諸外国における税制の動き 〜イギリスの租税教育〜

 財務省ホームページのアクセス週間トップ10の常連に、「ゴー!ゴー!
ふぁいなんす★タウン」という租税教育のページがあります。そこで、広
報担当者に、租税教育とは何ぞ?と尋ねてみたところ、「次代を担う児童
・生徒の皆さんに税の意義や役割について考え、理解を深めてもらうこと
です。」とのこと。

 私はイギリス税制の調査を担当しているので、イギリスにも子ども向け
の租税教育ページがあるのか調べるべく、イギリスの歳入関税庁(日本の
国税庁と税関を合わせた組織に相当)のホームページへ。すると、ありま
した、"Education zone"なるページが。税務当局の歴史、税務調査官の一
日、密輸取締り、麻薬探知犬などについて説明されていて、中には、税金
クイズや税金用語クロスワードパズルといった、遊び心のあるものもあり
ます。また、イギリスの財務省と歳入関税庁が共同して作成している"The
 Red Box"というページもあり、こちらは、税や財政について、ゲーム形
式で楽しく学べるようになっています。

その一部をかいつまんでご紹介しますと、
・ 所得税が導入された経緯(ナポレオンとの戦争の戦費調達のため、
 1799年に導入されたとのこと)
・ 付加価値税(日本の消費税に相当)の仕組み
・ 密輸・脱税との闘い
・ 17世紀から連綿と続く税務当局の歴史
などなど。中には、思わず高「へぇ」をあげたくなるような話もあり、ち
ょっとした大人の教養(小ネタ?)集めにもなります。
また、2年間の主税局勤務で培った知見と、僅かながらの英語力と、運で
もってクイズにも挑戦してみましたが、こちらは骨のある内容でした。き
ちんと予習してからでないと、正解は難しいかも知れません。

 秋の夜長、税について考えるため、酒の肴になりそうな小ネタを集める
ため、英語力を試すため、日本や諸外国の租税教育のホームページをご覧
になってみては、いかがでしょうか。大人も楽しめます。

 ちなみに、今朝、もうじき3歳の息子に「税金ってな〜んだ?」と聞い
てみたところ、「ゼイキン?ん?オソウジのこと?」とのとぼけた答え
(最近、掃除機に興味をもっているせいでしょうか)。わが家の租税教育
は、これからです。


 日本の租税教育のページについては、こちらをご覧ください。
 財務省 「ゴー!ゴー!ふぁいなんす★タウン」
 http://www.mof.go.jp/kids/top.html

 国税庁 「税の学習コーナー」
 http://www.nta.go.jp/category/gakusyu/kyousitu.htm

 また、イギリスの租税教育にご興味のある方は、こちらをどうぞ(英語
です)。
 歳入関税庁(HM Revenue and Customs)の租税教育のページ
 http://www.hmrc.gov.uk/about/education.htm

                      主税局調査課 城戸 格

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5 編集後記

 はじめまして。本号から税制メルマガの編集を担当することになりまし
た高宮と申します。実は、この9月に厚生労働省から財務省に出向してき
ました。「各省庁間の緊密な連携の強化」と「広い視野に立った人材の養
成」のための人事交流というわけです。今はまだ税制のずぶの素人ですが、
医療、年金、雇用など社会保障分野でのこれまでの経験を活かしながら、
自分なりに、これからの日本の財政をどうすべきか、そのための税制とは
どうあるべきか、考えていこうと思います。面白くてためになる税制メル
マガの発行を心がけていきますので、よろしくお願いいたします。次回発
行は10月下旬の予定です。(高宮)

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ご意見募集のコーナー

 政府税制調査会では、今後の審議の参考にさせていただくため、広く国
民の皆様から、御意見を募集しております。

http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/iken/iken.htm

このメールマガジンについてのご意見、ご感想はこちらへお願いします。

mailto:mg_tax@mof.go.jp

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