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税制メールマガジン 第31号 財務省


税制メールマガジン 第31号                 2006/08/31 

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◆ 目次

1 巻頭言 
2 新主税局長からひとこと
3 諸外国における税制の動き 〜アメリカ企業年金改革法の成立 −
 「猛獣ハンター」をハンティング!?〜 
4 編集後記

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1 巻頭言 

 このたび広報担当主税企画官に異動して参りました鑓水(やりみず)と
申します。前任の矢野に引き続きまして、どうぞ宜しくお願い申し上げま
す。広報担当になって最初のメルマガですので若干自己紹介をさせていた
だきますと、直前は熊本県庁で3年ほど勤務しておりました。20年ほど
まえに財務省に入ってから、「税」という名のつく職場とは基本的に無縁
のサラリーマン生活を送ってきたものですから、このような形で税制につ
いて発信する仕事を担当させていただくことについて、非常に緊張感を覚
えています。
 
 広報ということで申し上げますと、熊本県庁に勤務中、県の政策をとり
まとめるような仕事や、地域振興に関する仕事をやっておりましたが、広
報についても一時期担当させていただきました。その際感じたことは、行
政から県民・国民の方々に本当に訴えかけたい情報を発信することが如何
に難しいかということです。非常にインパクトのある事件ものは、放って
おいても伝わっていきますが、地域のもつ資源・特色や地道な政策努力な
どはなかなか伝わりません。とはいえ奇をてらったような言葉で飾って発
信しても、中身が伴わなければすぐにメッキが剥がれてしまいます。要は
きちんとした内容に裏打ちされたものを分かりやすく発信しつづけるしか
ない、ということだと思います。
 
 先日、大阪で日本の財政・税制について教育関係者の方々などを対象に
してお話をする機会がありました。財政や税制改革というテーマはとかく
専門的になってしまい、生活感覚から遊離したものになりがちです。改め
てこの問題を伝えることの難しさを実感したわけですが、今日本が直面し
ているのは、専門家の机上のテーマということにとどまらず、現在・将来
の生活そのものを左右する、まさに国民一人一人の問題であります。そう
いう意識をもって、タイムリーで正確な情報をできるだけわかりやすくお
伝えし、読者の皆様が自らの問題としてお考えいただく一助となるよう努
めてまいりますのでよろしくお願いいたします。

                 主税局総務課主税企画官 鑓水 洋


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2 新主税局長からひとこと

 7月28日に主税局長に着任いたしました石井です。

 主税局には、平成13年から平成16年までの三年間、審議官として在籍し
ておりましたので、二年ぶりに税制の企画立案の仕事を担当することにな
りました。

 ここ数年、政府は、様々な税制改革を進めてきました。私自身も、平成
14年度税制改正における連結納税制度の導入、平成15年度税制改正におけ
る研究開発減税など政策税制の集中・重点化、消費税の信頼性・透明性を
向上させるための特例措置の見直し、平成16年度税制改正における国から
地方への税源移譲等の作業に携わりました。これらを通じ、経済社会の重
要な基盤である税制は、全体として公正なものであると同時に、その時代
の政策課題に適切に対応していかなければならないと強く感じました。

 また、直前の一年間は、国税庁で、国税の賦課・徴収という執行の仕事
をしてきましたが、個々の納税者の方に適正に納税していただくためには、
税制が理解され信頼されるものであることが重要であると思いました。

 政府は、本年7月に「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」
を閣議決定しました。この中で、成長力の強化と財政健全化の両立という
基本方針の下、歳出・歳入一体改革に取り組んでいくこととされました。
この歳出・歳入一体改革では、2011年度の基礎的財政収支の黒字化や2010
年代半ばの債務残高GDP比の安定的な引下げという財政健全化の目標が示
されています。

 また、歳入改革に関しては、社会保障給付の安定財源確保、経済の国際
競争力強化とその活性化、子育て支援策等の充実、地方分権を推進するた
めの地方税源の充実といった中長期的にわが国税制に求められる課題が示
されました。これらの要請にこたえるため税体系全般にわたる抜本的・一
体的な税制改革が必要になるとされています。

 今後、広く意見をうかがい、検討を深めながら、この「基本方針2006」
で示された方針に沿って、税制改革に取り組んでいきたいと考えておりま
す。

                       主税局長 石井 道遠

                                         
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3 諸外国における税制の動き

 アメリカ企業年金改革法の成立 −「猛獣ハンター」をハンティング!?

 本年8月、アメリカで企業年金改革法が成立しました。この法律は、確
定給付型年金における積立ての強化など、退職給付金制度を抜本的に改革
するものです。ここ10年ほど、アメリカでは企業年金の積立て不足が深
刻な問題として取り上げられてきたこともあり、この法律はそうした問題
に対応すべく検討されてきたものでした。

 さて、そんな企業年金改革法ですが、実際の条文は、幾つかの大きな項
目に分かれて構成されており、例えば「関税」や「寄附金」といった、企
業年金とは全く異なる内容の項目も含まれています。その中に、ハンティ
ングをする人たちに適用される所得控除を従来よりも厳しく設定する旨の
項目が入れられており、最近アメリカで一部報道を賑わせています。所得
控除を厳しくするというのは、この法律の対象となるハンターたちに対し
て、より多くの税金を払ってもらうことを求めることを意味します。アメ
リカでは、州によってハンティングはレジャーやスポーツの一つとして、
日本よりもはるかに普及しているという現状があるのですが、今回の法律
で対象になっているのは、ハンティングの中でも、特にアジアやアフリカ
にまで出向いて猛獣をハンティングするような「猛獣ハンター」たちです。

 従来、そのような「猛獣ハンター」たちの多くは、自分たちが狩猟した
猛獣の剥製や象牙などを博物館や駅などに寄附することで、ハンティング
にかかった費用(例えば、アフリカまでの旅費や剥製を作るための費用な
ど)を全て所得控除することができました。これは、博物館など「寄附金
優遇団体」に該当するような団体に寄附した際には、それにかかったコス
ト分だけ寄附金控除が与えられるという仕組みを利用したものであり、こ
うした行動は租税回避にあたるといわれてきました。動物愛護団体らも、
アフリカ象やサイといった絶滅に瀕した野生動物を平気で殺してしまう
「猛獣ハンター」に対してきわめて批判的で、今回の法案の審議に際して
も、米国を代表する動物愛護団体が、情報提供などを通して大きな貢献を
しました。

 今回成立した法律では、そうした「猛獣ハンター」たちの租税回避行為
に対応するため、剥製などを寄附する場合に適用される特別な規定として、
対策が盛り込まれました。すなわち、従来は、剥製などを寄附するまでに
かかったコストは、全て所得から控除することができたのに対して、今回
の改正からは、「猛獣ハンター」たちが寄附する剥製などを作るのに直接
かかったコスト(剥皮代など)しか控除できない、という旨の条項が加え
られたのです。これにより、「猛獣ハンター」たちは、これまで控除され
てきたハンティング・コストの多くを所得控除することができなくなり、
租税回避行為を制限されることとなりました。事実、アメリカ政府の試算
によると、今回の「猛獣ハンター」に関係する改正によって、今後10年
間で4,900万ドル(日本円にしておよそ57億円に相当)の増収が見
込まれるということです。

 こうした一連の動きに対して、動物愛護団体などが、法案を成立させた
米国議会に拍手喝さいし、今回の企業年金改革法を大いに賞賛したことは
言うまでもありません。また、今回の法案の担当委員会であった上院・
政委員会のグラスリー委員長からも、審議に協力した動物愛護団体に対し、
感謝の意が表明されるとともに、「今度は猛獣ハンターたちがハンティン
グされる番だ(It is time for (中略) hunters to become the hunted.)」
という発言もあったそうです。
                    (主税局調査課 向井 豪)


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4 編集後記

 先月、八ヶ岳近くの高原に住む友人を訪ねました。友人のお宅は農家な
のですが、その地域では、水利当番があり、御主人が現在委員に当たって
いるとのお話でした。都市部に住んでいて、地域で消防や水利などの当番
制を経験したことのない私は、大変だなあと思いましたが、考えてみれば、
地域にとって必要なことは、自分たちが分担して作業するか、お金を出し
合ってアウトソーシングするか、どちらかの選択しかありません。私たち
の日常生活を見回してみると、非常に多くのものがアウトソーシングされ
ています。その一部を行政が担っていますが、行政サービスにかかるコス
トを税金だけでは賄いきれないために、私たちの日本は莫大な借金を抱え
ています。行政サービスの効率化は当然必要ですが、普段意識せずに受け
ている様々なサービスについて、そもそも必要なのか? 必要ならば、そ
れを自分たちで担えるのか、お金を出してアウトソーシングした方がいい
のか? 効果やコスト負担も考えながら、原点に立ち返って考えてみては
いかがでしょうか。
                            (あられ)


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