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税制メールマガジン 第29号 財務省


税制メールマガジン 第29号                 2006/07/04 

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◆ 目次

1 巻頭言 〜歳出削減と増税/歳出・歳入一体改革〜
2 税制をめぐる最近の動き
3 「増税が目的」なのではありません
    〜 みんなが安心して暮らせる社会をつくりたい
4 諸外国における税制の動き 〜スウェーデンの実情〜 
5 編集後記

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1 巻頭言 〜歳出削減と増税/歳出・歳入一体改革〜

 わが国の財政は、持続不可能な状態に陥っており、その再建が必要です。
小泉政権の下で、5年間にわたり、公共事業の削減をはじめ、年金・介護
・医療制度の見直し、三位一体改革など、小さな政府を目指した歳出の節
減・合理化が進められてきましたが、わが国が抱える財政赤字はあまりに
も大きいため、この先、更なる歳出削減を続けていくだけでは十分な財政
再建はできません。増税は、できるだけ小さくしたいところですが、不可
避です。その場合、増税を歳出削減の後回しにしてできるだけ先送りした
い衝動にかられますが、それは誤っています。

 プライマリー・バランス(PB)について、

 PB≧(名目利子率−名目成長率)× 債務残高

という債務残高のGDP比を発散させないための条件式(所要黒字額)に
着目すれば、財政健全化を先送りすればするほど、右辺の債務残高が増大
するほか、下手をすると名目金利も上昇しかねないため、右辺すなわちP
Bの所要黒字額が増えます。10問ある算数の宿題を明日の朝やればいい
やと放っておいて朝起きてみたら11問になっていた、ということになっ
てしまうのです。ですから、歳出削減だけでは財政再建できないという場
合、いたずらに増税を先送りして財政健全化を遅らせることは、自らの首
を絞める愚策です。

 これに対して、「それじゃあ歳出削減をうんと加速してそのあと増税す
ればいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、歳出削減するにも雇
用調整などの痛みが伴いますから、性急すぎては国民経済や国民生活への
影響が大きくなりすぎます。むしろ、無理なく(性急すぎず)じっくり歳
出削減を続けていくほうが、トータルとしての歳出削減を最大化でき、増
税の必要性を小さくできるはずです。

 ちなみに、同じことが増税についても言えます。性急すぎては国民経済
や国民生活への痛みが大きくなりすぎる惧れがありますから、必要な税負
担増の度合いによっては、何年かに分けて増税すべきでしょう。その意味
でも、早く着手し、次の負担増までに時間的余裕を持つほうが賢明です。

 なお、もし「歳出削減が終わってから増税しよう」ということであれば、
歳出削減が完了した時点の景気情勢が悪くても増税するのか、という問題
があり、結局また先送りになりかねません。また、そもそも、歳出は不断
の見直しが必要ですから、「歳出削減をやり尽くしてから」などと言って
いたのでは、極端にいえば、いつまでも増税しないで先送りしようという
ことになりかねません。

 90年代において、欧米先進各国はそれぞれ財政健全化を計画的に推進
し、大幅な財政赤字の縮小ないし財政黒字の達成をみました。各国とも、
歳出削減と増税の両方を合わせ業で実施しています。その前後関係につい
てみると、歳出削減と増税を並行して行っており、決して増税を後回しに
はしていません。

 歳出削減が終わってから増税するのではなく、両者を並行して実施すべ
きことについてみてきましたが、某大学で講演したとき、二十歳前後の学
生さんからいただいた意見が印象的でした。「そんなの、理屈をこね回さ
なくたって当たり前じゃないですか。なんで大人の人たちが作った借金を
僕らが返さなきゃならないんですか。早く増税して、借金をつくった大人
たちが自分で返済すべきじゃないですか。」と。目からうろことは、この
ことではないでしょうか。

 わが国は、わずか30年間という、おおむねほんの一世代の間に、事実
上世界一の借金大国になってしまいました。これは、主として私を含めた
昭和生まれ世代の大人たちがつくってきたものです。やむを得ざる景気対
策と高齢化の進展による社会保障費の増加とによって積みあがった借金と
はいえ、先送りしてよいという理由にはなりません。歳出削減をこの先ど
こまでやるか明確に示しつつ、増税をいたずらに先送りしないで並行して
進めることが必要です。これこそ、「歳出・歳入一体改革」と言われる所
以です。

                              主税局広報担当主税企画官 矢野 康治

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2 税制をめぐる最近の動き

下記のとおり、税制調査会が開催されました。

【6月2日(金)】
 第46回総会・第55回基礎問題小委員会合同会議
 ・法人課税について
 ・国際課税について

【6月16日(金)】
 第47回総会・第56回基礎問題小委員会合同会議
 ・歳出・歳入一体改革について
 ・消費税について
 ・個別間接税について

【6月30日(金)】
 第48回総会・第57回基礎問題小委員会合同会議
 ・これまでの審議等を踏まえた主な論点
  (個人所得課税、資産課税、納税環境整備)


・税制調査会の資料は、下記URLにてご覧いただけます。

  http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/top_zei3.htm

・これまでの審議の概要等は、下記URLにてご覧いただけます。
 (順次、掲載を行っているため、直近の開催分が未掲載の場合がござい
 ます。)

  http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy012.htm

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3 「増税が目的」なのではありません
    〜 みんなが安心して暮らせる社会をつくりたい

 財務省といえば財政至上主義の役所、中でも主税局は「何が何でも増税
したい」連中などとお考えではありませんか。何年も主税局で働いていま
すが、残念ながら、こんな誤解を受けることが少なくありません。でも、
私たちもごく普通のサラリーマン・消費者です。無駄な税金なんて、ビタ
一文払いたくはありません。

 私たちの仕事の目的は、増税をすることではありません。みんなが安心
して暮らせる社会をつくること、そのために必要な会費をどのように集め
るかというルールをつくることなのです。そして、今だけよければいいの
ではなくて、子供たちの時代にもすばらしい日本の社会を維持したいので
す。そのためにいろいろな努力をして、どうしても必要ならば、国の会費
を引き上げるという手段も考えなければならないのです。

 ご存知の通り、私たちの国の台所事情は、毎年大赤字で、子供たちの世
代へ借金をつけまわしているのです。これを放置したら、年金も、医療保
険も、学校教育も維持できなくなるかもしれません。また、万一国が破産
したら、経済は大混乱し、働き場所もなくなってしまうかもしれません。
この豊かな日本でそんなことが起こるなんて想像しにくいかもしれません
が、世界には国が借金を返せなくなり、経済が大混乱した例は沢山あるの
です。

 あっ、いけない。「大変だ、大変だ」と悲観的なことばかり唱えるので
はなく、前向きに解決策を考えなくてはいけません。

・無駄な税金を払わなくていいように、支出を徹底的に削る。
・必要のない資産は売り払って、借金の返済に充てる。
・本当に必要な国のサービスに見合う会費は、今の世代できちんと負担
 し合う。

他にもいいアイディアがあるかもしれません。どうぞ、一緒に考えましょ
う!

                     主税局総務課 青木 孝徳

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4 諸外国における税制の動き 〜スウェーデンの実情〜

 6月9日にドイツで開幕したサッカーのワールドカップでは、世界各地
から32カ国が出場し、熱戦を繰り広げています。様々な国の税制に注目
する良い機会ですので、今回は出場国の中からスウェーデンを取り上げて
みましょう。

 皆さんはスウェーデンという国についてどのようなイメージをお持ちで
しょうか。スウェーデンといえば、サッカーの強豪国として有名なのはも
ちろんですが、福祉が非常に充実した国としても知られています。年金制
度や介護保険制度、児童手当制度などは福祉政策のモデルとして取り上げ
られることも多く、「福祉先進国」というイメージを持たれる方も多いこ
とでしょう。

 一方で、高福祉の財源として、税や社会保険料の負担が非常に大きい点
にも特徴があります。租税負担額の国民所得比を見ると、我が国が23.0
%(2006年度)であるのに対し、スウェーデンは49.9%(2003
年)、社会保障負担を含めた国民負担率では、我が国が37.7%(200
6年度)であるのに対し、スウェーデンは71.0%(2003年)と、と
もに2倍近い水準となっています。

 また、個別の税目で見ると、我が国の消費税率が地方消費税を含めて5
%であるのに対し、我が国の消費税にあたる付加価値税の税率は25%と
なっています。個人所得課税の税率は、我が国では地方税が一律10%、
国税が5%〜40%の6段階(ともに税源移譲後)となっているのに対し、
地方税が平均30%(市によって異なります。)、国税が20%と25%
の2段階となっています。スウェーデンの所得税は所得控除の額が小さく、
低所得者に対しても高い税率が適用される点に特徴があるため、税負担は
我が国と比べても高い水準にあると言えます。

 では、こうした高い税負担が国民に受け入れられているのはなぜなので
しょうか。理由を聞いてみると、社会保障制度を支えるために広く負担を
分かち合う、という意識が国民の間に共有され、国民が高負担を当然のも
のとして受け入れているためだと言われます。「税金は確かに高いが、そ
れによって高水準の社会保障制度が支えられているのでやむを得ない。」
との考え方が国民一般に浸透しているというのです。

 こうした議論を聞くと、国のあり方と税制の議論というものが密接に関
連していることが改めて実感できると思います。どのような国のあり方と
税制を目指すのか、給付に見合う負担を受け入れるのか否か−スウェーデ
ンの事例は、我が国としても考えなければならない問題を投げかけている
のかもしれません。

                     主税局調査課 荒井 夏來

国民負担率の内訳の国際比較(日米英独仏瑞)

 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/020.htm

税制調査会 第15回総会・第18回基礎問題小委員会合同会議 議事録(海外
調査報告等)

 http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/gijiroku/b15kai.htm
 
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5 編集後記

 サッカーのワールドカップでの熱戦の模様が連日放映されており、寝不
足な毎日を過ごしている方が多いのではないでしょうか。日本代表は、残
念ながら決勝トーナメントに進むことはできませんでしたが、各試合とも、
一喜一憂しながら、とても楽しく観戦できました。日本代表のこれからの
活躍にますます期待します。次回発行は7月下旬の予定です。(角田)

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ご意見募集のコーナー

 政府税制調査会では、今後の審議の参考にさせていただくため、広く国
民の皆様から、御意見を募集しております。

http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/iken/iken.htm

このメールマガジンについてのご意見、ご感想はこちらへお願いします。

mailto:mg_tax@mof.go.jp

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