【会計Info】経理・税務会計情報サイト 

税制メールマガジン 第24号


税制メールマガジン 第24号    財務省            2006/02/01 

------------------------------------------------------------------

◆ 目次

1 巻頭言 〜「中福祉−低負担」の国日本〜
2 税制をめぐる最近の動き
3 税収見積もりへ理解を!
4 諸外国における税制の動き 〜欧州における税制の調和〜
5 編集後記

------------------------------------------------------------------

1 巻頭言 〜「中福祉−低負担」の国日本〜

 このほど、平成18年度予算ベースでみた租税負担率と、これに社会保
障負担率を加えた国民負担率が公表されました。

 よく、「高福祉−高負担」の国を選ぶか、「中福祉−中負担」の国を選
ぶか、「低福祉−低負担」の国を選ぶか、という議論があります。「受益」
と「負担」の水準をどのレベルで釣り合わせるかという国のあり方に関す
る議論です。わが国は、現状、いったいどういう国なのでしょうか。

 「福祉」という場合に、これが歳出全体を指す場合と、社会保障を指す
場合と、いろんな見方があり確たる定義はありませんが、一般には歳出全
体、すなわち「政府の大きさ」=「行政サービス水準」=「受益のレベル」
をとらえることが多いようです。

 国・地方をあわせた広義の「政府の大きさ」について、国際比較をして
みると、日本の政府の大きさ(一般政府支出の対GDP比)は、0ECD
加盟30カ国の中では小さい方から7番目と、「高・中・低」の3グルー
プに分けるなら、「低」の部類に入ります。つまり相対的には「小さな政
府」となっています。

 これに対し、租税負担率は30カ国中低い方から2番目、これに社会保
障負担率を加えた国民負担率でみても低い方から5番目ですから、負担水
準についても、「高・中・低」の3グループに分けると「低」の部類に入
ります。(ちなみに日本よりも租税負担率が低いのはメキシコですが、同
国は米国と並んで社会保険の適用範囲が非常に限られた国であり、メキシ
コ以下に租税負担率や国民負担率を抑制することは事実上無理だと思われ
ます。)

 以上のことから、日本は「低福祉−低負担」の国ということになるかと
いえば、実は決してそうは言えません。なぜなら、「受益」と「負担」の
水準は大きく乖離しており、バランスしていないからです。このギャップ
すなわち財政赤字は、なんとOECD加盟30カ国中最悪(最大)となっ
ています。「受益」を「負担」が大幅に下回っており、その不足分を将来
世代に対して世界で最も大幅に先送りしている国となっています。この意
味において、日本は、「中福祉−低負担」の国というべきか、あるいは
「低福祉−超低負担」の国というべきか、いずれかの状態にあると言わざ
るを得ません。

 政府の大きさは国際的にみてかなり小さい部類でありながら、租税負担
などの国民負担は国際的に更に低い水準であるために、他に比類なきほど
の「負担の先送り」をしてしまっているという状態にあり、しかもそれが
景気回復後もなお構造的に続いているというのは決して健全な国とは言え
ないと思います。

 たとえば、自分の町内会の運営において、他の町内会に比して出費の水
準が特にかさんでいるという訳ではなくむしろ低い方なのに、町内会費が
他の町内会よりも突出して安いために、毎期大幅な赤字を出し続けている
としたら、どうするでしょうか。いやいやながらも会費を上げざるを得な
いとの判断に達するのではないでしょうか。

 政府は、「本年の年央を目途に、歳出・歳入一体改革の選択肢及び改革
工程を明らかにする」と閣議決定(1月20日)しています。いかにして
この負担の先送り体質から脱却するか、この国の「かたち」をどうするか、
まじめに考えなければなりません。

                              主税局広報担当主税企画官 矢野 康治

------------------------------------------------------------------

2 税制をめぐる最近の動き

 下記のとおり、税制調査会が再開されました。

【1月27日(金)】
 第37回総会・第46回基礎問題小委員会合同会議
 ・平成18年度税制改正案について
 ・平成18年度予算案について   等

・税制調査会の資料は、下記URLにてご覧いただけます。

  http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/top_zei3.htm

・これまでの審議の概要等は、下記URLにてご覧いただけます。
 (順次、掲載を行っているため、直近の開催分が未掲載の場合がござい
ます。)

  http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy012.htm


------------------------------------------------------------------

3 税収見積もりへ理解を!

 予算を作成する作業の一つである税収見積もりを終えて、その結果を予
算書という形で国会に提出することができました。税収見積もりを担当し
て今年で通算十数年経ちますが、毎回胃の痛む思いをしています。

 それというのも税収が予測どおりに入ってくるのか、それともはずれる
のか、7月上旬には厳然たる事実として明らかになるため、仕事の成果が
たちどころに数字で現れ、自分の仕事への評価がくだされるからです。

 税収が予測を上回った場合でも下回った場合でも見積もり誤りには何の
違いもなく、予測を誤ったという厳然たる事実は否定しようのないもので
す。特に予測を下回った場合には国会から警告決議を受けるなど各方面か
ら非難されることが多くなります。

 そのような状況の中で、数年前の新聞に「税収見積もりは職人芸」とい
う記事が載ったことがあります。記事の内容は景気動向や企業収益等につ
いて各方面へヒアリングし、個別税目ごとに精緻な計算を積み上げていく
職人芸だというものであり、見積もり担当者は不眠不休で地道な作業をこ
なしているというものであったと記憶しています。

 その後まもなく、予測を大きく下回った年度が2年続いた時期に、「税
収見積もり信頼性揺らぐ」、「税収予測精度アップへ」という記事になり
一転して自分の仕事に対する非難にかわりましたが、この2つの記事を要
約すると、「経済が生き物である以上、実際の動きが予測と異なるのは仕
方のない面もある。だが、予測を大きく間違えば景気見通しを誤ったそし
りを免れない。限られたデータと時間的制約のなか、将来の税収を正確に
予測するのは難しいが、できるだけ予測が当たるよう見積もり精度の向上
に努めなさい。」というものでした。我々、税収見積もりに携わる者への
エールだと受け止めたいと思います。

 今後ますます、国民の税収見積もりに対する理解が深まり、当方が行う
関係各方面へのヒアリングに対しても協力者が増えていくよう願うととも
に、我々見積もり担当者もできるだけ予測した税収が当たるよう、一層努
めていかなければなりません。

 ところで、職人芸とほめられた(?)税収見積もりを担当する立場の私
が、これこそ職人芸だと尊敬している職業の一つに時計師がいます。金属
のかたまりから歯車やねじなどの微細な部品を削り出し、磨き上げ、面取
りし、手作業によりムーブメントを組み上げて一つの機械式腕時計を完成
させる職人です。

 このように作り手の思いが染みこんだ一つの腕時計を手にすると、時計
はもとより身近に存在するあらゆる機械器具がデジタル化されてしまった
現代社会において残り少ない温もりを感じさせる道具の一つだといえます。

・租税及び印紙収入についての資料は、下記URLにてご覧いただけます。

  http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/008.htm

                      主税局総務課 兵庫 浩

------------------------------------------------------------------

4 諸外国における税制の動き 〜欧州における税制の調和〜

 お鍋のおいしい季節になりました。

 水炊き、豆乳鍋、キムチ鍋などなど、寒いのは苦手な私ですが、お酒を
飲みながら、ゆっくりと鍋をつつくのは、この時期ならではの楽しみの一
つです。鍋料理というのは簡単なようでいて、実は各々の具材の特性や相
性に配慮が必要な、奥深い料理です。意外な取り合わせでもおいしくいた
だける鍋は、「だし」に工夫があることが多いそうです。

 さて、今回は、欧州における税制の調和についてご紹介したいと思いま
す。

 欧州は、1950年のシューマン宣言以来、約半世紀の歳月をかけて、
少しずつ、でも着実に統合への歩みを進めてきました。税制についても、
同じことが言えます。一足飛びに加盟国すべてが同じ税制に・・・、とは
いきませんが、理事会指令などにより、域内税制の調和が図られています。

 付加価値税(日本でいう消費税)については、1967年の第1次指令
以降、数多くの指令が出されています。中でも、中心となるのは1977
年に出された第6次指令で、これまで幾多の改正を繰り返しながら、いわ
ゆる欧州型付加価値税の基本的な制度が整備されてきました。

 第6次指令では、税率はもとより、課税地、納税義務者、課税標準など
が定められています。例えば、税率については、標準税率は15%以上、
軽減税率は5%以上といった具合で、軽減税率を適用できる品目も決めら
れています。これまでのメルマガでご紹介してきた、フランスの標準税率
19.6%、軽減税率 5.5%(第18号 「ショコラと消費税」)や、
スロバキアの税率 19%(第19号 「〜1つの税制、1つの税率 −
東欧のシンプルな税制〜」)も、実は、この第6次指令に沿ったものです。

 指令は、付加価値税だけではありません。たばこ税、酒税といった個別
間接税にも指令があります。例えば、たばこ税については3つの指令が出
されており、紙巻きたばこの税額は、小売価格の57%以上かつ1000
本当たり60ユーロ以上とすることが定められています。

 一見、順調に進んでいるように見える税制調和の流れですが、その過程
では、加盟国間の熾烈な駆け引きもあります。現に、この原稿を書いてい
る今も、業界の要望を背景に、フランスがレストランでの飲食に対して軽
減税率を適用できるよう求める一方で、隣国ドイツは、それに反対する動
きを見せています。欧州税制が、鍋料理のようにおいしく一つにまとまる
には、もう少し時間が必要なようです。

                     主税局調査課  城戸 格

(参考)
 欧州委員会ホームページ(税制関係)

  http://europa.eu.int/comm/taxation_customs/index_en.htm

 欧州理事会指令(間接税関係)

  http://europa.eu.int/eur-lex/lex/en/repert/0930.htm

 税制メールマガジン バックナンバー

  http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/merumaga/merumagaback.htm

------------------------------------------------------------------

5 編集後記

 先ごろ、今年の東京都内のスギ・ヒノキ花粉の飛散数は過去10年平均
の半分以下で、昨年の1割前後という、私にとっては嬉しい予測が発表さ
れました。私たちの日常生活では、天気予報を始め様々な予報・予測が発
表されていますが、程度の違いこそあれ将来のことを予測する難しさは共
通していると思います。今号では主税局の主要かつ困難な業務である「税
収見積もり」についての一端を紹介させていただきました。次回発行は2
月下旬の予定です。(角田)

------------------------------------------------------------------

ご意見募集のコーナー

 政府税制調査会では、今後の審議の参考にさせていただくため、広く国
民の皆様から、御意見を募集しております。

http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/iken/iken.htm

このメールマガジンについてのご意見、ご感想はこちらへお願いします。

mailto:mg_tax@mof.go.jp

------------------------------------------------------------------

税制メールマガジンのバックナンバーはこちらからご覧頂けます。

http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/merumaga/merumagaback.htm

------------------------------------------------------------------

その他配信サービスに関する手続は、以下のアドレスでお願いします。

 財務省メールマガジンの配信中止・登録内容の変更はこちらでお願いし
ます。









川島会計事務所
人間中心のTAXを見つめています