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税制メールマガジン 第22号


税制メールマガジン 第22号       財務省          2005/11/30 

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◆ 目次

1 巻頭言 〜国債発行額を「30兆円にできるだけ近づける」〜
2 税制をめぐる最近の動き
3 特集 〜政府税制調査会〜「平成18年度の税制改正に関する答申」〜
4 諸外国における税制の動き 〜アメリカにおける税制改革論議〜
5 貨幣大試験に行ってきました
6 編集後記

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1 巻頭言 〜国債発行額を「30兆円にできるだけ近づける」〜

 先ごろ、小泉総理より、平成18年度予算における国債発行額を30兆
円にできるだけ近づけるよう、指示がありました。

 今年度(平成17年度)予算の国債発行額は34.4兆円ですが、それ
がいかに大きいかを家計に置き直してみると、家計調査の平均月収40万
円の家計において、ローンの元利払い(国債費)に15万円が消え、手も
とに残る可処分所得25万円で、生計費(一般歳出)40万円と田舎への
仕送り(地方交付税交付金等)13万円を賄おうとしても賄いきれないの
で、不足分28万円を新たに借金(国債発行)しているという状態です。
その結果、年度末には5,300万円のローン残高(国債残高)を抱える
ことになろうとしている、という格好になっています。

 このローンの元利払い15万円には、元本返済分が8万円ほど含まれて
いるので、月々の借金残高の純増額は、新たな借金28万円からこの8万
円を差し引いた21万円です。平均的な年収の世帯で、ローン残高が毎月
21万円も増額しているような家計があるでしょうか。また、平均的な年
収の世帯で、ローン残高が5,300万円にもなろうとしている家計があ
るでしょうか。しかもこの借金は、住宅ローンのようなものならいざとい
う時には見合いの資産が担保としてあるから、ということになりますが、
この借金のうちの約半分は赤字国債相当分であって、見合いの資産があり
ません。

 こんな家計に融資する金融機関があるとすれば、それは、この借り手に
よほど資力のある人が保証人として付いている場合か、あるいは、借り手
によほど将来の高収入が見込まれている場合に限られるでしょう。

 これほどまでに不健全な借財体質にあるのに、低利で融資(国債の消化)
を受けていられる一つの要因は、国が債務不履行を起こすはずはないとい
う信用度の高さがあるからですが、その高い信用度の裏付けとしては、国
はいざとなれば家計や企業という民間経済主体にはない「増税」という手
段によって、今の収入(歳入)より高い収入(歳入)を手にすることがで
きると考えられているからです。この点は、先月号の巻頭言で「バランス
シートと“課税権”?」と題して申し述べたとおりです。

 実際、先進国で最も大きな財政赤字と国債残高を抱える日本の国債につ
いて、国債市場における評価が失墜せずに踏みとどまっているのは、日本
の財務体質を解析して、租税負担率が事実上世界一低く、この国はまだ引
き上げる余地があるから、いざとなっても立ち直れるだろうと見られてい
るからです。もっとも、この市場の見方は、実際に負担する身(負担する
側)の受け止め方と決して一致してはいません。“課税権”の行使などと
安易に語れるものではなく、歳出の切り詰めが必要であることは論を待ち
ません。

 国債発行額を30兆円に近づけることが出来たとしても、財政赤字の内
数でしかない基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の赤字だけでも
依然としてGDPの2%を上回る異常な状態です。市場の見方と負担者の
受け止め方のギャップがどう埋まっていくかが、今後の日本の財政健全化
の鍵を握っています。

                              主税局広報担当主税企画官 矢野 康治

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2 税制をめぐる最近の動き

 下記のとおり、政府税制調査会が開催され、11月25日(金)に「平
成18年度の税制改正に関する答申」がとりまとめられました。

【11月8日(火)】
  第44回基礎問題小委員会
  ・個人所得課税について、国際課税について、環境税・特定財源につ
   いて 等

【11月11日(金)】
  第45回基礎問題小委員会
  ・法人課税等、納税環境整備について、酒税について、固定資産税に
   ついて 等

【11月15日(火)】
  第34回総会
  ・平成18年度税制改正について

【11月22日(火)】
  第35回総会
  ・答申素案について

【11月25日(金)】
  第36回総会
  ・答申案について

・政府税制調査会の資料は、下記URLにてご覧いただけます。

  http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/top_zei3.htm

・これまでの審議の概要等は、下記URLにてご覧いただけます。
 
  http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy012.htm

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3 特集 〜政府税制調査会〜「平成18年度の税制改正に関する答申」〜

 政府税制調査会では、本年10月から、平成18年度税制改正について
審議が行われてきました。11月25日の総会において「平成18年度の
税制改正に関する答申」がとりまとめられ、小泉総理大臣に提出されまし
た。

 今回の答申は、平成18年度税制改正にあたっての指針を示したもので
あり、改正の具体的中身については、現在、与党でご審議をいただいてい
ます。
 

 政府税制調査会「平成18年度の税制改正に関する答申」(概要)

一 基本的考え方
○ まずはあらゆる分野で徹底した行財政改革を進め、公的部門の無駄を
 なくして欲しいというのが国民の声。税制調査会としても聖域なき歳出
 改革が不可欠と考える。
○ 他方、歳出改革を断行しつつも、なお必要とされる社会共通の費用に
 ついては、国民全体で広く公平に分かち合う必要があり、税体系全体の
 抜本的改革を総合的に議論。
○ 政府は来年半ばを目途に歳出・歳入一体改革の方向についての選択肢
 と工程表を明らかにするとしており、税制調査会としても諸改革の動き
 を十分に踏まえつつ、税制全体のあり方を総合的に検討。

ニ 主要な課題
○個人所得課税 
・ 税源移譲の実施にあたっては、納税者の税負担変動を極力小さくする
 ことに十分留意し、所得税と個人住民税の役割分担を明確化(個人住民
 税は応益性等の観点から税率をフラット化、所得税は所得再分配機能を
 適切に発揮させるように、より累進的な税率構造を構築)。
・ 定率減税は、経済状況が導入当時に比べ改善する中、見合いの財源な
 しに将来世代の税負担により継続されていること等を踏まえれば、経済
 状況を見極め、廃止すべき。
・ 個人住民税均等割の税率は、引上げが必要。

○法人課税 
・ 法人税率は、既に他の先進諸国並みで引き下げる状況にはなく、国際
 競争力維持の観点を踏まえれば、当面、現在の水準を維持することが適
 当。
・ 公益法人制度改革に対応する税制については、「新たな非営利法人制
 度」に関する法案の内容を踏まえ、改めて具体化に向け検討。

○国際課税 
・ 犯則事件に関し、租税条約の規定に基づく情報提供要請に応じるため
 の情報収集手段を拡充すべき。
・ 課税の適正化を図るため、非永住者制度を見直すとともに、条約と国
 内法の取扱いの差異を利用した租税回避の防止策について検討していく
 必要。

○酒税 
・ 税制の中立性や公平性を確保するため、酒類の製法や性質等に着目し
 て分類の大括り・簡素化を図り、酒類間の税負担格差を縮小する方向で
 包括的に見直す必要。

○固定資産税
・ 税収の安定的な確保と負担の均衡化・適正化の一層の促進が必要。

○租税特別措置等の整理合理化 
・ 研究開発税制(上乗せ分)、IT減税及び登録免許税・不動産取得税の
 軽減措置については、現行の措置を延長する必要はない。

○特定財源 
・ 道路特定財源等の特定財源は、一般財源として活用していくべき。
・ エネルギー関係諸税等は、資源節約・消費抑制・社会的コスト、諸外
 国との比較、温暖化対策との関係、厳しい財政事情等を考慮すると、納
 税者の理解を求めつつ、現行の税負担水準を維持することが適当。

○地球温暖化問題への対応 
・ 環境税については、多岐にわたる検討課題があり、その議論の状況を
 踏まえつつ、総合的に検討していく必要。

○納税環境整備 
・ 公示制度は、所期の目的外での利用等の諸事情を踏まえ、廃止すべき。
・ 相続税の物納制度の整備    
・ 無申告加算税の見直し   
・ 個人住民税の公的年金等からの特別徴収


※答申全文については、こちらからご覧いただけます。

 http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/tosin/171125a.htm

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4 諸外国における税制の動き 〜アメリカにおける税制改革論議〜

 今回はアメリカにおける税制簡素化の取組みをご紹介します。ブッシュ
大統領は、今年2月にスロバキアのズリンダ首相と会談した際、以前ご紹
介したスロバキアのシンプルな税制を絶賛したそうですが、それではアメ
リカの税制は一体どうなっているのでしょうか。

 アメリカの税制は、シンプルな税制には程遠く、租税優遇措置の多さな
ど、その複雑さは常々非難の対象となっていました。そこで、ブッシュ大
統領は、二期目政権の課題として「簡素、公平、経済成長の促進」を目標
とした税制改革を掲げ、今年1月に税制改革諮問委員会を設置しました。
さて、その諮問委員会ですが、去る11月1日に検討結果を報告書として
発表していますので、どのような内容となっているのか見てみましょう。

 税制改革の議論の中で、1つの論点となっていたのが、代替ミニマム税
の扱いです。代替ミニマム税というのは、通常の所得税の計算とは別に、
租税優遇措置などについて再計算した別の計算を行わせ、高い方の税額を
所得税とする制度です。同様の制度は法人税にもあります。この制度は、
元々、高額所得者の節税行為を規制する目的で導入されたのですが、代替
ミニマム税をも免れる節税方法もある一方で、中所得者までも対象となり
つつあるなど、実態が当初の目的とはかけ離れてしまっており、非難の対
象となっていました。

 報告書では、このような代替ミニマム税を廃止し、その財源として、住
宅ローン控除の縮減や地方税控除の廃止など政治的に困難と思われる改革
を提言しています。公平さを重視するあまり複雑な制度を導入しても、結
局公平さも保つことができなかったため、簡素さを回復する提言を行った
わけです。公平さのみならず簡素さも税制の重要な要素であることの一例
と言えそうです。その他にも、租税優遇措置の多くを廃止することなど、
簡素さを重視した提言がなされています。

 なお、諮問委員会では、消費税の導入の是非についても議論されました
が、結果的に提案は見送られました。報告書では、消費税について、経済
に与える負荷が小さく、経済効率的であるといったことや、執行コストが
低いことなどといった利点も挙げていますが、アメリカでは州・地方政府
が既に消費税に似た小売売上税を課しているため、州政府などの強い反対
にあうという事情があり、報告書でもその困難さに触れられています。ア
メリカでは、過去にも何度も消費税導入論議が沸き起こっては消えるとい
ったことを繰り返しているようですが、やはり連邦国家であることもあっ
て、そうした州政府との関係には難しい問題があるようです。

 今後は、報告書の発表を受けて政府内で具体的な税制改革案が検討され、
来年初め頃までには政府から議会へ提案がなされ、その提案を受けて議会
審議が開始されるものと見られています。アメリカの税制簡素化への道の
りはまだまだ長いようですが、シンプルな税制を望むブッシュ大統領率い
る政府がどのような改革案を提示するのか、引き続き見守っていきたいと
思います。

                     主税局調査課 馬場 啓明
 
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5 貨幣大試験に行ってきました

 先日(10月24日)、主税局長に同行して、大阪の造幣局で実施された
「製造貨幣大試験」に行ってきました。製造貨幣大試験とは、通貨に対す
る信認を維持するため、製造された貨幣の目方が正しいかどうか検査する
もので、明治5年(造幣局創業の翌年)、第1回が行われて以来、本年が第
134回目に当たります。

 現在の製造技術からみて当然でしょうが、すべての硬貨について合格で
した。製造貨幣大試験そのものは、30分あまりで終了し、その後、関西
の経済団体との意見交換会や懇談会、記者会見等々の行事がありました。
財務大臣以下、財務省の幹部が大阪に集まることはめったに無いと思われ
ますので、それが製造貨幣大試験が毎年行われている理由かもしれません。

 意見交換会等の堅苦しい話はさておき、お昼に、経済界のある幹部の方
が、「貨幣の精度は定められた誤差の範囲を大幅に下回るもので、技術は
非常に高いと感服するが、(1000枚当たりで僅か数グラムにせよ)プ
ラスの誤差があった。我々なら、原材料費を浮かせるために、認められた
誤差の下限ギリギリの物を作るのに」というような事を話しておられまし
た。貨幣については、偽造貨幣で自動販売機を荒らしたり、といった話も
ありますから、認められる誤差の範囲内なら軽くても良いということは決
してありませんが・・・。

 主税局には、毎日、皆様からの電話やメールが届きます。税制について
の質問も多いですが、「増税の前に、まず無駄遣いをなくせ!」と毎日の
ようにお叱りを受けます。硬貨の材料費の話は別にしても、民間のコスト
意識を見習って徹底した行財政改革を行わなければ、税制改革についての
国民の理解は到底得られないだろうなあ、と考えさせられました。

                     主税局総務課 島田 京平

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6 編集後記

 今号では米国の動きを紹介しました「諸外国における税制の動き」は、
読者の皆様から、わかりやすい、おもしろいなどご好評いただいており、
メルマガを編集している私自身も楽しみにしているコーナーです。財務省
HPでは、このコーナーの執筆者が作成した日本と諸外国の税制の比較表な
ど、様々な資料を掲載していますので、ご興味がある方はぜひこちらもご
覧ください。次回発行は12月下旬の予定です。(角田)

・国際比較に関する資料

  http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/hikaku.htm


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ご意見募集のコーナー

 政府税制調査会では、今後の審議の参考にさせていただくため、広く国
民の皆様から、御意見を募集しております。

http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/iken/iken.htm

このメールマガジンについてのご意見、ご感想はこちらへお願いします。

mailto:mg_tax@mof.go.jp

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