【会計Info】経理・税務会計情報サイト 

税制メールマガジン 第21号 


税制メールマガジン 第21号       財務省          2005/10/31 

------------------------------------------------------------------

◆ 目次

1 巻頭言 〜国のバランス・シートと“課税権”?〜
2 税制をめぐる最近の動き
3 時代の変化に対応した税制改正
4 外務省からみた租税条約
5 諸外国における税制の動き 〜ドイツの「大連立」政権と税制〜
6 編集後記

------------------------------------------------------------------

1 巻頭言 〜国のバランス・シートと“課税権”?〜

 先ごろ、財務省から、国のバランス・シート(平成15年度決算ベース)
が発表されました。国の財務体質を、毎年の「借金」というフロー(収支)
だけでなく、「負債」と「資産」というストック(残高)から見てみまし
ょう。

 一般会計と特別会計を合わせた国全体の資産は、貸付金(289兆円)
や有形固定資産(182兆円)等合計695兆円で、負債は、公債(50
8兆円)や公的年金の預り金(143兆円)等合計941兆円で、資産と
負債の差額は▲245兆円です。

 このバランス・シートを見て、「国は公債残高(508兆円)よりも大
きな額の資産(695兆円)を持っているじゃないか」という指摘をする
人もいますが、これは見方が誤っています。国は、695兆円の資産より
ももっと大きな941兆円にも及ぶ負債を抱えており、仮に資産を全部売
り払うことができたとしても、手もとには▲245兆円もの負債が残るの
です。民間企業で言えば債務超過の状態です。しかも、そもそも民間企業
とは異なり、国を清算するということはあり得ないので、資産を全て売却
するという想定自体も非現実的です。

 これに対し、「全部は売れないにしても、そのうちのほんの少し売りさ
えすれば財政赤字は解消するじゃないか」という意見もありますが、これ
も大きな間違いです。たしかに、695兆円の資産のほんの5%だけでも
売れば、財政赤字34.4兆円は消えるかに見えますが、資産(ストック)
の売却収入は一度限り得られるものでしかないのに対し、財政赤字(フロ
ー)を埋めるためには毎年の収入を確保し続ける必要があるのであって、
ストックとフローの違いを正しく認識する必要があります。
 
 突き詰めて言いますと、国のバランス・シートも民間企業のそれと同様
に概ね時価評価(値洗い)がなされていますので、何らかの有形固定資産
などの「実物資産」を売っても、有価証券などの「金融資産」を売っても、
それらの資産が「現金」という資産に振り替わるだけで、資産の総額は基
本的に変わらず、国の財務体質は改善しません。唯一、売却によって資産
の総額が増えるのは、民営化株の上場初値が上がったりして、時価が膨ら
む場合だけです。

 いずれにしても、資産(695兆円)の35%にも相当するほどの“債
務超過”を抱えているというのは、民間企業であれば財務体質として極め
て不健全、というより致命的です。こういう状態を曲りなりにも続けてい
られるのは、国は民間企業とは異なり、目に見えない資産として“課税権”
を持っているからだとされています。いざとなれば、課税によって、新た
な移転所得収入を得て、バランス・シート上の現金資産等を積み上げたり、
負債を消却したりすることができるという訳です。しかし、これは要する
に「増税」にほかなりませんから、国民の意思に基づく国会の議決が必要
であることは言うまでもありません。随時手中に収めることができる資産
では決してありません。

 この大幅な“債務超過”の状態は、見合いの資産が残らない赤字国債(
特例債)を出し続ける限り、そしてまた建設国債といえどもその見合いの
資産を地方自治体に無償で譲渡してしまう部分がある限り、増幅が続いて
しまうのです。

 バランス・シートは、国の財務体質がいかに痛んでいるかをもの静かに
(必ずしも雄弁にとは言えませんが)物語っています。

                              主税局広報担当主税企画官 矢野 康治

------------------------------------------------------------------

2 税制をめぐる最近の動き

 下記のとおり、税制調査会が再開されました。今後、平成18年度税制
改正に向け、審議が行われていく予定です。

【10月25日(火)】
  第33回総会
・税財政の現状と課題について 等

・税制調査会の資料は、下記URLにてご覧いただけます。

  http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/top_zei3.htm

・これまでの審議の概要等は、下記URLにてご覧いただけます。
 (順次、掲載を行っているため、直近の開催分が未掲載の場合がござい
ます。)

  http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy012.htm

------------------------------------------------------------------

3 時代の変化に対応した税制改正

 特に支障もないので、今時カメラも付いてない希少価値のある古い携帯
電話を数年間使用していましたが、子供にお父さんの画面見にくいよと言
われ、先日新しいものに買い換えました。そうしたら、画像は繊細な色ま
で再現され、音も数十和音出せ、また、カメラで撮った文章の文字を認識
して、活字として取り込んでしまうなど多彩な機能を備え、かつ、価格は
0円というなんとも信じ難い買い物でした。本当にここ数年、IT技術の
進化は凄まじいもので、どんどん生活が便利になっているんだなぁと実感
しました。

 そう言えば税制改正でもIT技術の進化に合わせて、今年の4月から税
務関係書類について、一定の要件の下、スキャナによる保存ができるよう
になりました。

 平成10年に初めて帳簿書類の電子保存ができるようになった時には、
当時のスキャナの精度やIT技術では不正把握の重要な端緒が消失してし
まうことから、認められていませんでしたし、スキャナ自体もあまり一般
的に普及していませんでした。しかし、最近ではハード、ソフト両面で電
子技術が向上し、電子署名という公的認証制度の登場、タイムスタンプと
いう改ざん防止技術などにより、改ざん防止が可能になり、使い勝手も大
変よくなりました。特に資金や物の流れに直結しない書類については、一
段軽い要件でスキャナ保存したいときにまとめてできるので、使い勝手が
よいかと思います。

 この他にも平成17年度改正では、ちょっと専門的ですが、破産法にお
ける租税債権の扱いが大きく変わった改正など、時代の変化に応じた様々
な改正を行っています。今年から税制改正内容の詳細をホームページにア
ップしていますので是非見に来ていただければと思います。

 最後に、これからは、女性が経済的に自立し社会にどんどん出て行き、
男性も家庭で自立しなければならない時代であると思い、先日近くの自治
体が主催する「男の料理教室」に行ってきました。

 そこで自宅で実践して、家族に大好評だったレシピをご紹介します。と
っても簡単だし、食事のあと、そっとデザートに出してあげたらお株が上
がるかも知れませんよ。

◎ 牛乳ゴマムース(4人分)
1) 6gのゼラチンに水60ccを混ぜる。
2) 牛乳(豆乳でもOK)400ccに砂糖大さじ2杯半を入れて火にかけ、
  すりゴマかねりゴマを大さじ1杯入れる。
3) 砂糖が溶けたら火から下ろし、ゼラチンを入れて溶かす。
4) 粗熱を取ったら好きな型に入れて冷蔵庫で冷やす。
5) 固まったら黒蜜などをかけて食べます。

 これからも、時代の流れを敏感に感じながら、主税局の一員として、公
平で国民の皆さんに喜ばれる税制改正を行って行きたいと思います。

                   主税局税制第一課 松崎 啓介

 平成17年度 税制改正の解説  
   
  http://www.mof.go.jp/finance/f1708betu.htm

------------------------------------------------------------------

4 外務省からみた租税条約

 「籍」は財務省主税局にありながら「席」は外務省国際法局にあるとい
う、ちょっと変わった立場から、私が現在担当している租税条約について
書きたいと思います。

 日本の対外的な窓口である外務省には、世界中の様々な国から様々な情
報が集まってきます。その中には、日本と租税条約を締結したいという要
望も含まれています。現在、日本はオランダ、イギリス、インドと租税条
約の改正交渉を行っていますが、多くの国が今か今かと日本との租税条約
交渉を待ち望んでいる状況です。

 どうして日本と租税条約を締結したいと考える国がたくさんあるのでし
ょうか?一番大きな理由は、世界第2位の経済大国である日本と租税条約
を締結すれば、日本と経済関係を深めることができ、ひいてはその国の経
済の発展に役立つから、ということでしょう。租税条約には、投資交流を
促進するための環境整備という側面があるので、日本企業が相手国へ進出
することを後押しします。日本企業が進出して経済活動を行えば、その国
のGDP(国内総生産)が増えます。雇用の場も提供します。日本企業の
優れた技術や経営方法を伝えることにもなります。この考え方は、外国企
業が日本に進出する場合にもあてはまります。現在、政府全体で対日直接
投資の促進を図っていますが、租税条約はまさにこの政策に資するもので
す。租税条約は、日本と相手国に「win-win」の関係をもたらすものとい
うことができるでしょう。

 租税条約は、諸外国との関係を強化する点で日本外交の重要な一翼を担
っていると同時に、日本企業の活動を支援する点で日本経済の発展に貢献
しています。対外的にも国内的にもメリットがあるのであれば、租税条約
交渉をどんどん進めればよい、ということになりますが、租税条約は、課
税権という国家の税収に直結するものを二国間でいかに配分するかを決め
るものなので、相手国との間で鋭く利害関係が対立することもあり、なか
なか思うようには交渉が進みません。特に、交渉相手国が開発途上国の場
合には、自国の税収を極力減らしたくないと考えるので、投資先国(源泉
地国)での課税を軽減させて投資交流を促進させましょうという日本の政
策を理解してもらうことは、必ずしも容易ではありません。こうした点が、
租税条約交渉の難しさであり、また、醍醐味であるといえるかもしれませ
ん。

 租税条約交渉は、これからも途絶えることなく続いていくことでしょう。
日本外交の末端に身を置く者として、交渉がまとまったときに、「日本と
租税条約を締結できてよかった。」と相手国から喜ばれるような租税条約
ができれば、と思っています。

             主税局参事官室(外務省併任) 中島 隆仁

------------------------------------------------------------------

5 諸外国における税制の動き 〜ドイツの「大連立」政権と税制〜

 前回のメルマガでは、ドイツの緻密な所得税計算方法をご紹介しました
が、今回はドイツの税制をめぐる現在の動きをご紹介します。

 9月18日に行われたドイツ連邦議会選挙において、与党SPD(社会
民主党)と最大野党CDU/CSU(キリスト教民主同盟・キリスト教社
会同盟)がほぼ同数の議席を獲得し、また両党ともに過半数に達しなかっ
たため、SPD、CDU/CSUのどちらが政権を取るのか不透明となる
異常な事態に陥りました。選挙から約3週間経過した10月10日になっ
てようやく、CDUのアンゲラ・メルケル党首を首班とし、両党による「
大連立」政権を作ることで合意に達しましたが、政策の内容も含めた正式
な連立協議は11月中旬までかかる見通しです。

 今回の選挙では、税制の問題も重要な争点となりました。背景には、ド
イツ統一以降の深刻な東西の経済格差があります。旧西ドイツ地域におけ
る失業率が9.5%であるのに対し、旧東ドイツ地域における失業率は
17.6%と2倍近くに達しており、旧東ドイツ地域に対する支援や社会
保障費の増大が連邦財政にとって大きな負担となっています。財政赤字は
EU諸国の財政規律を求める安定・成長協定に4年続けて違反することが
確実で、財政面での何らかの構造改革が不可避な状況です。

 選挙期間中、メルケル党首率いるCDU/CSUは、企業の負担を軽減
し、雇用を回復させるために、法人税率を引下げることや、日本の消費税
にあたる付加価値税を引上げて社会保障の財源とすることなど、税制面で
の改革案を多く提示しましたが、こうした改革案がどの程度今後の政策に
反映されるかは連立協議の行方に委ねられています。

 「大連立」政権の成立に伴い、内部対立の激化により政権が不安定化す
ると心配する声も少なくない一方、ドイツが抱える課題とその解決の必要
性は、両党の間で共通の認識となっているので、これまで両党の対立によ
って停滞していた構造改革が一気に加速するとする意見もあります。ドイ
ツの「大連立」政権が今後どのような政策運営を行うのかは、日本でも注
目していくべき問題であると思います。

                     主税局調査課 荒井 夏來 

------------------------------------------------------------------

6 編集後記

 秋も深まり少し肌寒く感じる気候となってきました。このような季節に
家族で公園めぐりをすることが、私の楽しみの1つです。色づく木々、芝
生が敷き詰められた広場、充実した遊具設備など、どの公園を訪れても様
々な楽しみを発見できます。これら公園を利用するのにお金はかかりませ
んが、我々が納めた税によって整備されていることは言うまでもありませ
ん。11月11日から『税を考える週間』が始まります。日常生活でどの
ような公共サービス(受益)を受けているのか、サービスの対価としてど
のように税(負担)があるべきなのか。受益と負担の関係を身近な出来事
を通じて改めて考えてみるのも、税を考える重要な視点の1つだと思いま
す。次回発行は11月下旬の予定です。(角田)

------------------------------------------------------------------

ご意見募集のコーナー

 税制調査会では、今後の審議の参考にさせていただくため、広く国民の
皆様から、御意見を募集しております。

http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/iken/iken.htm

このメールマガジンについてのご意見、ご感想はこちらへお願いします。

mailto:mg_tax@mof.go.jp

------------------------------------------------------------------

税制メールマガジンのバックナンバーはこちらからご覧頂けます。

http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/merumaga/merumagaback.htm

------------------------------------------------------------------

その他配信サービスに関する手続は、以下のアドレスでお願いします。

 財務省メールマガジンの配信中止・登録内容の変更はこちらでお願いし
ます。








川島会計事務所
人間中心のTAXを見つめています