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2016.10.17


2016年10月の税務トピックス 他人の建物について行った内部造作の減価償却の方法



他人の建物について行った内部造作の減価償却の方法

はじめに
 国税庁ホームページに質疑応答事例の中に「他人の建物について行った内部造作の減価償却の方法(以下単に「内部造作の償却方法」といいます。)」は、建物として定額法により減価償却を行うという旨の照会要旨が掲載されています。

 本稿では、この質疑応答事例の照会要旨について検討します。

T 質疑応答事例の概要

 国税庁ホームページにおいて掲載されている質疑応答事例の概要をまとめると、次のとおりとされます。

1 照会要旨

 平成19年4月1日以後に行った内部造作の償却方法は、定額法によりその計算を行うこととなりますか。

2 回答要旨

 他人の建物について行った内部造作については、その内部造作が建物附属設備に該当する場合を除き、建物として減価償却を行うことになりますので、定額法によりその計算を行うこととなります。

3 理由

 減価償却資産の範囲に掲げる減価償却資産のいずれに当たるのかについては、明確な規定はありませんが、自己の建物について行った内部造作についてはその建物の耐用年数を適用する取扱い(耐用年数の適用等に関する取扱通達1−2−3)の考え方からすれば、他人の建物について行った内部造作についても、同条の規定上、建物附属設備に該当するものを除き、建物に含まれることと解するのが相当と考えられます。


U 質疑応答事例についての検討

1 減価償却資産の区分

 減価償却資産の範囲のうち、建物及び建物附属設備については、「建物及びその附属設備(暖冷房設備、照明設備、通風設備、昇降機その他建物に附属する設備をいう。)」と規定されています(法法2二十三,法令13一)。

このうち、建物についての定義は、法人税法上において明確な規定は存在しません。

例えば、不動産登記法において「建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない(不動産登記法規111)。」と規定されています。

そこで、不動産登記法では、他人の建物について行った内部造作を建物以外のものと想定しています。

また、会計上は、「他人の所有する建物及び建物附属設備について、自己の経営目的のために使用するように造作した場合の資本的支出を処理する『造作勘定』で表示するのが合理的である(勘定科目全書:嶌村剛雄・山上一夫編著・中央経済社)」とされています。

 実務上においても、不動産登記法及び会計上の考え方を受けて、他人の建物について行った内部造作を「造作又は建物附属設備」として処理し、貸借対照表及び資産台帳に計上しているのではないでしょうか。


2 償却の方法

法人税法における減価償却資産の範囲のうち「建物及び建物の附属設備又は構築物(法法2二十三,法令13一・二)」における減価償却資産の償却の方法は、「平成28年3月31日以前に取得された減価償却資産(建物を除く。)は定額法又は定率法」と規定されています(法法31,法令48の2@一イ)。

そこで、他人の建物について行った内部造作が法令上明確に「建物」であるとされる場合を除きその償却の方法は、定額法又は定率法を適用すべきであると考えます。

 ただし、平成28年度税制改正では、平成28年4月1日以後に取得された建物附属設備及び構築物の償却の方法は、定額法を適用することとされました(法令48の2,平成28年改正法令附則2)。


おわりに

 国税庁ホームページの質疑応答集は、「申告及び納税に関する法令解釈及び事務手続等について、納税者に分かりやすく的確に周知すること(国税庁の事務の実施基準及び準則に関する訓令4)」に基づき掲載されており、税法の取扱い及び手続などを分かりやすく解説した各種手引・パンフレット等と位置付けられております。

 上記T3の「理由」におけるアンダーラインを引いた箇所における文章のとおり、他人の建物について行った内部造作が「建物」としての法人税法上における明確な規定がない中で、「耐用年数の適用等に用いる耐用年数通達」における取扱いを減価償却資産の範囲の区分にまで準用し、「建物に含まれることと解するのが相当」と類推判断させ、国税庁のホームページに掲載し納税者を誘導することは、租税法律主義(憲法30,同法84)における「課税要件明確主義」の考え方からも相当ではないと私考します。


税理士法人右山事務所 所長 宮森俊樹


記事提供:ゆりかご倶楽部






10月17日朝時点での新着情報は、以下の通りです。

国税庁ホームページ掲載日:平成28年10月14日

●「平成28年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(平成28年10月5日)
●「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(平成28年10月5日)



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