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タックスニュース
2016.04.15


2016年4月の税務トピックス 空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例



空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例

はじめに

 平成28年度税制改正では、空き家の発生を抑制し、地域住民の生活環境への悪影響を未然に防ぐ観点から、相続により生じた空き家であって旧耐震基準しか満たしていないものに関し、相続人が必要な耐震改修又は除却を行った上で家屋又は土地を売却した場合、

その家屋又は除却後の土地の譲渡益から3,000万円の特別控除(以下「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。)ができることとされました。

 そこで、本稿では、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例制度の概要及び実務上の留意点について解説します。

T 制度の概要

 相続又は遺贈(死因贈与を含みます。)による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした個人が、

平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に、次に掲げる譲渡(その相続の開始があった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にしたものに限るものとされ、

その譲渡の対価の額が1億円を超えるものを除きます。)をした場合には、居住用財産を譲渡した場合に該当するものとみなして、居住用財産の譲渡をした場合の3,000万円特別控除を適用することができます(新措法35B)。

@ その相続の時からその相続の開始があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にした譲渡であること。

A その被相続人居住用家屋の譲渡又はその被相続人居住用家屋とともにするその敷地の用に供されている土地等の譲渡であること。

B その被相続人居住用家屋の除却をした後におけるその敷地の用に供されていた土地等の譲渡であること。


U 用語の定義

 前述したTにおける「被相続人居住用家屋」とは、相続の開始の直前においてその相続又は遺贈に係る被相続人(包括遺贈を含みます。)の居住の用に供されていた家屋(昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除きます。)であって、その相続の開始の直前においてその被相続人以外に居住をしていた者がいなかったものに限ります。

 また、「被相続人居住用家屋の敷地等」とは、相続の開始の直前において被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地又はその土地の上に存する権利とされます(新措法35C)。


V 適用除外

 その譲渡の対価の額とその相続の時からその譲渡をした日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にその相続に係る相続人が行ったその被相続人居住用家屋と一体としてその被相続人の居住の用に供されていた家屋又は土地等の譲渡の対価の額との合計額が1億円を超える場合には、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例は適用できません(新措法35DE)。


W 手続規定

 確定申告書に、地方公共団体の長等のその被相続人居住用家屋及びその被相続人居住用家屋の敷地等が前述したTA又はBの要件を満たすことの確認をした旨を証する書類その他の書類の添付がある場合に適用されます。


X 重複適用

 空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例は、「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(措法39)」との選択適用とされます。

また、「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2)」との重複適用が可能とされています(新措法36の2@)。


おわりに

 空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例における譲渡のタイミングは、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間の譲渡であって、かつ、相続の開始があった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡とされています。

そこで、平成25年1月2日以後に開始した相続から適用対象となりますので留意して下さい。


税理士法人右山事務所 所長 宮森俊樹


記事提供:ゆりかご倶楽部




4月15日朝時点での新着情報は、以下の通りです。

国税庁ホームページ掲載日:平成28年4月14日

●平成28年度(第66回)税理士試験受験案内



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