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タックスニュース
2016.04.11


【時事解説】再挑戦しやすいローンとは



 最近、リバースモーゲージが注目されています。

リバースモーゲージとは、主として他に収入のない高齢者が自宅を担保に今後の生活資金を借りるローンです。

借入人が生きている間は借入のみが発生して返済は行われません。

返済は借入人が死亡してから、融資の対象となった住宅を処分した代金により行われます。

 リバースモーゲージは借入金返済財源を借入人には期待せず担保物件の処分代金だけに求める点で日本のローンとしてはやや特異な位置づけにあります。

 借入人がどこまで返済義務を負うかという観点から、ローンはリコースローンとノンリコースローンの二つに分けることができます。

住宅ローンでいえば、ローンの返済が困難になったときに、融資対象物件(担保物件)を差し出してもそれだけでは免責されず、借入人が残った借入金の返済義務を負い続けるのがリコースローン、一方、担保物件となっている住宅を貸出側の銀行に差し出せば借入人はそれ以上の責任を負わないのがノンリコースローンです。

 我が国のほとんどの住宅ローンはリコースローンです。

住宅を処分してもローンが完済できなければ、住宅がなくなってしまったにもかかわらず借入人は借入金の返済を要求され続けます。

ところが、リバースモーゲージはノンリコースローンです。

そもそも借入人は他に収入がない高齢者ですから、そんな借入人に返済を要求することはできません。

 リコースローンとノンリコースローンには以下のような考え方の違いがあります。

第一に信用の根拠をどこに置くかということです。

根拠を借りる人に置くのがリコースローン、融資する物件に置くのがノンリコースローンです。

また、融資対象物件が値下がりすると、誰かが損失をかぶらなければなりませんが、その値下がりリスクを誰が負うかという見方からは次のようにいえます。

ノンリコースローンでは物件を差し出せば借入人はそれ以上責任を追及されませんから、値下がりリスクは融資側が負うことになりますが、リコースローンでは借入人が負います。

 リコースローンとノンリコースローンの区別は事業資金にもあてはまります。

会社で事業資金を借り入れる場合、社長に個人保証がついていればリコースローンですが、個人保証がなければノンリコースローンになります。

日本の中小企業の借入の多くは、社長の個人保証を要求されますから、ほとんどが個人として返済義務を負うリコースローンだといえます。

 リコースローンは人を重視する日本的風土になじんだローン形式だとはいえますが、逆に言えば、不況の時代には人に厳しいものがあり、事業に失敗した人の再挑戦を困難にさせている要因になっています。

アメリカは日本よりノンリコースローンが普及しています。

アメリカの景気回復が早い理由の一因にこうしたローン形式の違いがあるのかもしれません。

資本主義のダイナミズムを取り戻すために、これから我が国も、人と事業を切り離すノンリコースローンをもっと活用する必要があると思います。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)


記事提供:ゆりかご倶楽部




4月11日朝時点での新着情報は、以下の通りです。

国税庁ホームページ掲載日:平成28年4月8日

●租税特別措置法等(酒税関係)の改正について(平成28年4月)
●酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達の一部改正について(法令解釈通達)(平成28年4月1日)



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