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タックスニュース
2016.04.05b


《コラム》28年の寿命だった法人利子割



手取りから逆算して二重課税排除

 普通預金の受取利息には利息支払明細書が送られて来ないので、通帳に記載された受取利息の金額から逆算して、源泉徴収された所得税や復興特別税、利子割額を求めます。

他の受取利息の分も併せて計算された利子割額は、法人都道府県民税の申告で、税額控除され、控除しきれない額がある場合には還付されます。

 これは、法人の受取利息が、法人の課税所得に含まれることから、二重課税を排除するための必要な手続として行われます。


平成25年税制改正で制度設計の変更

 この会計処理と申告手続に変化が起きています。

平成28年1月1日以後に法人の受取利息に対する利子割の制度が廃止されたからです。

平成25年の地方税法の改正です。


納税者利便を装う弥縫策

 法人都道府県民税の申告書を見ると、「利子割還付額の均等割への充当」という欄があり、納税者が「希望する」「希望しない」を選択して、手続をすることができるようになっています。

10年ほど前から設けられているもので、納税者に利便性を提供するためにと解説されています。

 本当は、課税当局の事務と金銭負担の回避が本音です。

 利子割の課税徴収は、利子の支払金融機関所在都道府県で、当然複数になります。

利子割額の控除、還付は、法人の主たる事務所所在都道府県で一括処理するため、都道府県間で精算しなければなりません。

 また、7割の法人が赤字申告という状況の中では、利子割還付は普遍的であり、数円程度の還付に数百円の振込料を負担する実態に悲鳴をあげていた、ところです。


利子割制度創設時の状況とその後

 利子割の制度は、昭和62年度税制改正において創設され、昭和63年4月から実施されたものです。

当時においては、金融機関が個人と法人の口座を区別することが困難なので、区別なく適用することとされましたが、現在では、ペイオフや本人確認法、犯罪収益移転防止法などの制度に対応してきた結果、利子割制度から法人を全面的に適用除外とすることが可能となっている、と解説されています。

 来年の今頃の法人都道府県民税申告書からは、利子割控除と均等割への充当との欄は消えているはずです。


記事提供:ゆりかご倶楽部







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