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タックスニュース
2015.04.10


【時事解説】再挑戦を困難にする社長個人保証



 中小企業が銀行から融資を受けるとき、ほとんどの場合、銀行は「社長個人保証」を要求します。

社長個人保証は我が国の中小企業融資では、ほぼ常識とされていますが、果たしてそれでいいのでしょうか。

 中小企業の決算書は、上場企業のように公認会計士の会計監査を受けているわけではなく、決算書の正確性が制度的に担保されていません。

経営者が自分の都合のいいように決算書を作成している危険性を常に内包しています。

決算書が会社の真実の姿を表現していないとしたら、そうした会社にカネを貸す銀行は何らかの自衛策を取らざるを得ません。

 また、大株主で代表権のある社長であれば、個人財産の蓄財のために会社を恣意的に経営し、債権者(銀行)を意図的に害することも可能です。

社長に「会社財産は自分の財産と同じだと考え、全身全霊で経営してくれ」とプレッシャーをかける必要があるのです。

また、会社が社長個人の節税組織になっているとすれば、会社と社長個人併せての財産を貸出金の担保とする必要があります。

そこで、会社という法人にカネを貸しているにもかかわらず、社長の個人保証を取るという慣習が生まれてきました。

 社長個人保証は、万一の場合、個人の生活まで犠牲になるのですから、社長にとっては酷な制度です。

では、カネを貸す銀行にとっては望ましい制度なのかというと、必ずしもそうとは言い切れません。

 会社が倒産した場合、個人保証が存在すれば、銀行は引当金を積むにしても、社長の個人財産から回収できる可能性があるわけですから、貸出金を帳簿から落とすことはできません。

直接の債務者である会社と保証人である社長個人共に弁済能力がないと認められて初めて帳簿から完全に抹消できます。

したがって、社長個人の弁済可能性を追求しなければなりません。

債務者である会社から直接回収するならともかく、保証人である個人からの回収は気乗りのする仕事ではありません。

銀行はそんなことに時間と労力を取られるより、倒産した会社の貸出金を会社の倒産処理と同時に帳簿から落とし、新規の営業に向かった方がはるかに効率的です。

 それでも、銀行が社長個人保証から逃れられないのは、前述した決算書に対する疑念と会社を経営する社長個人に対する不信感があるせいです。

逆にいえば、社長が真摯に事業を遂行し、事業の状況を決算書で適正に報告し、それでも倒産してしまったら、銀行側も社長個人の財産を探し出して債権回収に充てたいとは思わないでしょう。

 社長個人保証は企業家の再挑戦を著しく困難にします。

停滞する日本経済において、企業家精神を持つ人は貴重です。

アップルのスティーブ・ジョブズのような優秀な企業家には、失敗をしても何度でも再挑戦できる社会であってほしいと思います。

 そのためには銀行側が考え方を変えるだけではなく、企業家の側も会社を公正に運営し、決算書で適正に企業内容を開示することに心がけ、個人保証がなくても借入ができるようにしておかなければなりません。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)



記事提供:ゆりかご倶楽部



4月10日朝時点での新着情報は、以下の通りです。

国税庁ホームページ掲載日:平成27年4月9日

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