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タックスニュース
2014.12.05


【時事解説】粉飾決算は割に合わない



 粉飾決算にも様々なバリエーションがあります。

減価償却計算における耐用年数の長期化や不良債権に対する貸倒引当金の過少計上でも、利益を捻出することができます。

これも意図的に行えば立派な粉飾です。

ただ、こうした手法は会計上の見積もりの操作であり、「見解の相違」と言えば言えないこともなく、粉飾の程度としては軽度です。

もっと悪質になると、売上高を水増し、借入金を過少に計上するようなこともします。

負債を収益に付け替えるのですから、利益も自己資本も過大に計上できます。

 粉飾は帳簿上の数字の付け替えだけでは済みません。

たとえ粉飾でも、利益が出ていれば納税しなければなりませんし、場合によっては配当をしているかもしれません。

粉飾にも“経費”がかかるのです。それは最終的に必ず資金繰りの破綻につながります。

 粉飾を行った経営者や担当者は、当初は粉飾がこんなに大規模に長期化するものとは考えなかったに違いありません。

今期は業績が悪いからやむをえないが、来期業績が戻れば正当なものに戻そうと考えていたはずです。

しかし、そう簡単に業績は回復しません。

かといって、いまさら粉飾を白状することもできません。

業績の悪化が継続すれば、決算を繕うために粉飾のスケールは徐々に大きくなっていきます。

 粉飾は麻薬に似ています。

一旦手を染めると、途中でやめることはできず、破綻するまで止まりません。

 決算書はこれまでの経営実績であり、この実績を基に将来の予想図を描きます。

「将来、私の会社はこんなバラ色の未来があるのだから、今、会社に資金を投下しても損はありませんよ」と訴えかけます。

決算書に示される現在までの実績が赤字や債務超過なのに、「将来になれば会社は立派に成長します」といくら説いても説得力はないかもしれません。

そこで、決算書を粉飾して現在までの実績を糊塗しようとします。

発射台のベースを高くすれば、将来像を説得力を持って語ることができるからです。

しかし、それで当面、会社は存続できても、資金提供者をだましたのですから、資金回収ができないときは厳しく断罪されます。

 業績が悪くなっても粉飾をせず正直に決算を組み、そこで資金提供者の了解が得られなければ、その時点で破綻するべきです。

この段階なら債権者の傷も浅いですし、真面目に取り組んだ結果であれば、周囲は理解してくれ再出発も可能でしょう。

しかし、粉飾をしてしまうと、債権者の損失は必要以上に膨れ上がり、債権者は激怒します。

また、決算書の粉飾はビジネスにおける最大の裏切りですから、粉飾を行った経営者に対する信頼感は地に落ちます。

いつの時代でもビジネスの基礎は人間に対する信用です。

粉飾はその信用を決定的に傷つけますから、どんなに更生したとしても再出発は困難になります。

さらに、場合によっては刑事罰を課せられることもあるのですから、粉飾に伴って払う代償は高くつきます。

 粉飾はとても割に合う行為ではありません。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)




記事提供:ゆりかご倶楽部



12月5日朝時点での新着情報は、以下の通りです。

国税庁ホームページ掲載日:平成26年12月4日

●OECD租税委員会による租税条約濫用の防止に関するディスカッションドラフトの公表について(平成26年11月)

●民活空港運営法に基づく公共施設等運営権実施契約により実施される更新投資の法人税法上の取扱いについて(文書回答事例)(平成26年11月28日)



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