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タックスニュース
2014.06.20


【時事解説】2013年中小企業基本法改正の特徴



 2014年4月に公表された「2014年版中小企業白書」において特徴的なのは、小規模企業(従業員数20人以下、ただし、卸売、小売、サービス業については5人以下)に特に焦点があてられ、小規模企業の実態や課題が明らかにされている点です。

こうした背景には、2013年9月に「小規模企業の事業活動の活性化のための中小企業基本法等の一部を改正する等の法律(小規模企業活性化法)」が施行された点があげられます。

そこで改めて、2013年中小企業基本法改正の背景をみていきましょう。

 1963年に制定された中小企業基本法は、1999年に中小企業を新産業の創出、就業機会の増大、市場競争の促進、地域経済活性化を促進する積極的な経済の担い手として位置づける形で大幅に改正されました。

しかしながら、中小企業全体の約9割を占める小規模企業は経営基盤が脆弱なため、近年、企業数、雇用者数ともに大幅に減少しており、中小企業政策が必ずしも小規模企業にしっかりと焦点をあてた政策体系になっていない点が課題としてあげられていました。

1999年の改正によって「中小企業の不利の是正」という政策目標が消えたものの、依然として企業の規模の違いによる不利は存在していたのです。

 他方、小規模企業は地域経済の安定において重要な意義を有していることから、地域経済の発展を起点にわが国経済全体の発展を果たす意味からも小規模企業の重要性が高まっていました。

 このような背景から、小規模企業に焦点を当てた中小企業政策の再構築を図り、施策を小規模企業に集中して講ずることを狙いとして2013年に中小企業基本法の一部が改正されたのです。(


 では、2013年に一部改正がなされた中小企業基本法はどのような特徴を有しているのでしょうか。

 第一に、中小企業基本法の基本理念に小規模企業の意義を規定した点があげられます。

具体的には小規模企業の意義として、「地域における経済の安定並びに地域住民の生活の向上及び交流の促進に寄与する」とともに「将来における我が国の経済及び社会の発展に寄与する」ことが謳われています。

 第二に、小規模企業に焦点をあてた中小企業政策の再構築が図れている点があげられます。

具体的には小規模企業への配慮規定であった第8条を「小規模企業に対する中小企業政策の方針」と改め、今回の改正で新たに「適切かつ十分な経営資源の確保を通じて地域における小規模企業の持続的な事業活動を可能にするとともに、地域の多様な主体との連携によって地域における多様な需要に応じた事業の活性化を図ること」、「小規模企業がその成長発展を図るに当たり、その状況に応じ、着実な成長発展を実現するための適切な支援を受けられるよう必要な環境の整備を図ること」が規定されました。

 第三に、女性や青年による創業の促進、海外における事業展開の促進、情報通信技術の活用の推進、事業の承継のための制度の整備など中小企業政策として今日的に重要な事項が規定されています。

 このような2013年の中小企業基本法改正を受けて、関係する個別法律において小規模企業の範囲の弾力化が図られていることから、今後どのような小規模企業振興策が打ち出されていくのかが注目されるところです。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)




記事提供 ゆりかご倶楽部


参考URL
2014年版中小企業白書(平成26年7月1日更新)過去の中小企業白書 中小企業庁


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