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タックスニュース
2014.02.07


【時事解説】価格変動資産に注意



 貸借対照表には資産価格が金額で表示されています。

すべての資産について、貸借対照表に計上されている金額をそのまま額面通り受け取ることは危険です。

資産の中には価格変動リスクを有する資産があるからです。

 資産の分類方法にはいくつかあります。

代表的なものに流動資産と固定資産の分類がありますし、営業資産と非営業資産、あるいは、金融資産と非金融資産といった分け方もあります。

資産は原則的に取得原価で貸借対照表に計上されますが、価格変動リスクという観点で重要なのは、資産の回収金額が取得原価で確定しているかどうかです。

 資産の中で取得原価(貸借対照表計上価格)どおりに、最も確実に回収できるのは言うまでもなく現金預金です。

その他、受取手形、売掛金、貸付金などは契約により回収元本が確定している資産です(こうした資産をここでは「元本確定資産」と呼ぶことにします)。

一方、たな卸資産、土地、建物、株式などといった資産は、元本を回収しようとすると時価による売却になりますから、取得原価とは異なる価格で回収されます(これを「価格変動資産」と呼びます)。

 受取手形などの元本確定資産も相手先の倒産などがあれば、当初約束された元本が回収できない可能性がありますから万全ではありませんが、そうしたことがない限り、貸借対照表に計上されている価格で回収できます。

ところが、価格変動資産については元本回収という観点からすれば、貸借対照表価格はまったく意味を持たない過去の価格です。

価格変動資産は常に時価の変動にさらされている資産になります。

 資産に元本確定と価格変動があるなら、負債にも元本確定負債と価格変動負債があってよさそうですが、負債は買掛金や借入金といった契約によるものが主体になりますから、元本確定のものがほとんどです。

中には、退職給付引当金のように、時価に応じて変動する負債もないことはないのですが、時価の変動にさらされている割合は資産より圧倒的に少なくなります。

そこで、仮に負債のすべてを元本確定と考えると、価格変動資産の時価変動分はそのまま自己資本の増減に直結します。

 価格変動資産の価格変動分を考慮した自己資本を「実質自己資本」と呼びます。

実質自己資本は会社の安全性を判断する重要な概念ですから、実質自己資本がどうなっているかを常につかんでおく必要があります。

したがって、価格変動資産の時価の動向は常にウォッチしていなければなりません。

 価格変動リスクを避けるために、価格変動資産を持たないという選択肢もないではありません。

価格変動資産を持たなくて収益をあげられるビジネスモデルならそういう戦略もとれますが、資産が価格変動するからこそ収益があげられる、と考えることもできますから、積極的に価格変動資産を取得する経営戦略があっても構いません。

 大切なことは価格変動リスクがある資産とない資産を識別しておくこと、そして価格変動資産については貸借対照表価格をそのまま信じるのではなく、常に変動している資産価格のおおよそをつかんでおくことです。

その上で、自社の実質自己資本と企業体力を勘案して、価格変動資産をどれだか保有するかを含めた経営戦略を立てていくことになります。



記事提供 ゆりかご倶楽部





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