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タックスニュース
2013.12.06


【時事解説】親族内承継のメリットとデメリット



 わが国の中小企業において、経営者の高齢化の進展などを背景に事業承継が課題となっています。

事業承継において重要となるのが後継経営者の選定ですが、中小企業において最も一般的なのが、実子(息子、娘)、配偶者、兄弟、娘婿などといった親族内の人物から後継者を選定する親族内承継です。

 親族内承継のメリットについてみていきますと、第一に社内外の関係者から心情的に受け入れられやすい点があげられます。

例えば、現経営者の長男が事業を承継するのが典型的な例ですが、この場合従業員や、取引先、金融機関などから、長男が事業を承継することに関して正統性の確保が容易となるため、事業承継後も従業員などの人心の掌握が容易になるなどのメリットが得られます。

 第二に、後継者を早期に決定することができるため、後継者教育のための長期の準備期間の確保が可能となる点があげられます。

後継者の育成は事業承継の課題の中でも最も重要なものの一つですが、親族内承継の場合、後継者候補が会社に入社する前から後継者を教育することも可能になります。

 そして第三に幼少期の経験、先代の下での勤務経験等により一族の経営理念・社訓が自然に浸透しやすい点があげられます。

 一方で、デメリットについてみていきますと、第一に親族内に経営の資質と意欲を併せ持つ後継者候補がいるとは限らない点があげられます。

この場合、親族内承継に固執すると却って事業を悪い方向に導いてしまうことも考えられます。
第二に、相続人が複数いる場合、後継者の決定や経営権の集中が難しい点があげられます。

 では、親族内承継を円滑に行うには、具体的にどのようなことに留意すればよいのでしょうか。それを理解するために、歯車の製造、販売を行っているA社の事例をみていきましょう。

 A社は、現社長の祖父が個人創業した直後から、歯車を作ってすぐに納品する即応体制を売りにしてきました。

創業者の頃には製品ラインナップを標準化した歯車の製造販売を開始、現在の「標準歯車のビジネスモデル」の原点は創業者の時代からできあがっていました。

 その後、現社長の父が二代目社長に就任、総合カタログの発行、営業所の開設など販路開拓を推進しました。

三代目社長には二代目の弟にあたる現社長の叔父が就任しました。

 現社長は母親から常日頃「お前が跡取りだ」と言われて育ったこともあり、小学生の時から将来A社の経営者になることを意識していました。

大学卒業後、米国の得意先での勤務を経てA社に入社、入社後は営業所勤務や工場の生産管理などの現場での経験を幅広く積みました。

その後、営業部長の勤務を経て先代社長の下で常務取締役に就任しました。

この間経営の基本を教わった後、39歳で四代目の社長に就任しました。

現社長は、標準品化した歯車だけを生産するのではなく、より顧客のニーズに応える必要性を感じて、社長就任後に計画生産で標準歯車を生産する工場と、顧客の個別のニーズに対応する工場の二本立てに区分するなどの経営革新に取り組みました。

 このように、親族内承継においては、後継経営者を早期に決定し、入社前に広い経験を積ませるとともに、入社後も社内の幅広い経験を積ませることが求められるのです。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)



記事提供 ゆりかご倶楽部





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