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タックスニュース
2013.08.23


日本の中小企業の海外直接投資の変化



 新興国市場の立ち上がりを受け、日本の大手完成品メーカーは部品調達先を新興国などからの現地調達へとさらにシフトさせていると考えられ、そのことが大手完成品メーカーに部品を納入している中小企業の海外生産の動向にも影響を与えています。

企業の海外生産は生産活動の目的でなされる海外直接投資の一形態ですが、製造業の海外直接投資は、その中身が時代を経て変化してきました。

 まず、1970年代〜1980年代前半は、日米間、日欧間の貿易摩擦が海外直接投資に影響を与えた時代でした。

欧米諸国は、対日輸入に対して様々な新しい貿易障壁を設けるとともに既存の障壁を高めていきました。

こうした動きを受けて、日本の製造業者は米国や西欧諸国に海外直接投資を行い、これらの諸国で現地生産を開始したのです。

 1980年代後半になると、プラザ合意後の円高・ドル安などに伴う、海外生産による低賃金労働の利用といった要因が海外直接投資に影響を与えました。

このためとくに賃金の低いアジア地域を中心に、労働集約的な生産工程や技術的にそれほど複雑でない生産工程の移転が行われたのです。

 そして1990年代以降になると、中国市場の拡大や、アジア地域の企業の能力向上、産業集積の進展が海外直接投資に影響を与えました。

とくに2000年以降はアジアの中でも中国向けの海外直接投資の増加がみられました。

 こうした中、製造業の海外直接投資においては、新興国市場の拡大・ニーズの多様化などを背景に消費地立地が進むとともに、アジア諸国のインフラ整備や地場企業の能力向上を背景とした積極的な展開がみられるようになっていったのです。

 では、現在の日本の中小企業の海外直接投資においては、具体的にどのような取組みが行われているのでしょうか。

アルミホイール及び自動車鋳造部品の製造販売を行うA社の事例で確認していきましょう。

 A社はアルミの材料開発、独自の鋳造技術、高品質の部品やホイールの技術開発力などといった総合的な技術力を強みとする企業です。

アセアンにはフィリピンとタイに生産拠点を有し、中国にも2箇所に生産拠点を有しています。

 現在、国内拠点では、研究開発、技術開発の機能を配置し、軌道に乗せてから海外拠点に技術移転しています。

しかし、A社は将来的には海外でも開発や試作を行うことを志向しています。
また、国内拠点では高付加価値品の製造を主に行っていますが、「日本でしかできないものはなく、海外はタイムラグだけ」というのがA社の生産に対する基本的な考え方です。

 現状各海外拠点では、タイではアルミホイール中心、中国では鋳造部品の素形材中心など製造品目、製造機能に違いがみられますが、今後はそれぞれの拠点でアルミホイールと自動車鋳造部品の両方を製造したいという意向をもっています。

 中小企業の海外直接投資では、顧客企業の動向に配慮しつつも、進出後は自社の強みなどを考慮しつつ、現地市場の拡大や進出先での産業集積の進展などを踏まえた主体的な海外戦略に基づいて積極的に生産機能の国際的配置を図っているのです。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)



記事提供 ゆりかご倶楽部





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