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タックスニュース
2013.04.01b


2013年4月の税務トピックス



T 中小企業会計の考え方

 1.中小指針と中小要領

 法人税法及び所得税法において、原則として平成25年1月から全企業に対して、更正決定に係る処分に理由附記が法定化されることになりました。

これに伴い全企業に税法上の記帳義務が課されることになりました。

 従って、ここで中小企業会計について検討しておく必要があると思われます。

 税法は「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする」(以下「公正処理基準」といいます。)と定めています。

 中小企業の公正処理基準として、現在までに公表されているものとしては「中小企業の会計に関する指針」(平成17年8月1日施行)(以下「中小指針」といいます。)と中小指針よりも簡便な会計処理を認める「中小企業の会計に関する基本要領」(平成24年2月1日施行)(以下「中小要領」といいます。)の2つが存在します。

 中小要領の簡便な会計処理とは、中小指針に比して、

@中小要領は、安定的に継続利用可能とする観点から、国際会計基準の影響を受けないものとします。

A中小要領は、最低限必要な会計処理等を示したものですから、当該要領に示していない会計処理の方法が必要になった場合には、中小指針、法人税法の規定及び企業会計基準を準用することとされています。

 他方、中小指針は、計算書類等を取締役と会計参与(職業会計人としての税理士・公認会計士が会計参与設置会社の会計参与としての会社法上の役員となることをいいます。)が共同して作成し、さらに会計参与報告書を作成し、当該計算書類等又は当該報告書の変造を防ぐために会計参与が別個に保管し、閲覧に応ずるために、主として会計参与設置会社に求められる一定の水準を保ったものとして評価されています。

 しかし、中小要領も中小指針も共に中小企業の公正処理基準ですが、日々の会計処理においてどちらの方法を選択するかを考えて日々の会計処理を行うことは、会計の負担をさらに過重するものと考えられ、中小要領施行の意義を乏しくするものと判断されます。


2.中小要領と中小指針の一体化

 会計の機能は、大別して会計処理機能と会計報告機能の2つに分かれます。

 中小要領は、主として会計処理機能を担うものであり、中小指針は、主として会計報告機能を担うものと判断することができます。

 従って、日々の会計処理は中小要領で行い、決算を会計参与と共同で行い、決算調整により中小指針としての会計報告に変えていくことは、会計参与が職業会計人であることから可能と考えられます。

これにより中小企業に会計参与設置会社が増加し、中小企業会計の水準が向上することは、中小企業会計の向上につながることと判断されます。

私はこれを中小要領と中小指針の一体化と呼称していますが、会計報告機能を中小指針に格上げすれば、それに見合う決算調整に相当する部分の税務申告に係る税務調整が複雑化します。

 これについても会計参与に依頼して、税務調整(申告書別表調整)を行い、中小要領・中小指針・税務申告の一体化を推進すべきではないかと考えています。


U 4月の税務

 4月は、所得税確定申告も終わり一息つく月だと思われます。
 国税についての忙しい業務はありませんが、地方税については、固定資産税(都市計画税)の第1期分の納付月であり、かつ、固定資産課税台帳の縦覧期間(原則として4月1日から4月20日まで)の月であることも忘れないで下さい。


法学博士・税理士右山昌一郎



記事提供 ゆりかご倶楽部





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